タキロン、新世代の生体内吸収性骨接合材が米FDAの薬事承認を取得
新世代の生体内吸収性骨接合材の米国FDA510(k)取得
タキロン株式会社(大阪市中央区 森下誠二社長)は本年3月に、米国FDA(米国食品医薬品局、510k)から、新世代の生体内で活性(骨と直接結合して、骨と全置換する)を示し、分解・吸収する骨接合材(海外商品名;オステオトランスMX・国内商品名;スーパーフィクソーブMX)の薬事承認(販売許可)を得た。
この骨接合材は既に2005年8月に欧州の薬事承認を取得し、「オステオトランス」の商品名で欧州に輸出を始めている。今度の米国での承認範囲は顎顔面分野である。この度の承認により、米国に向けても輸出販売する準備が整った。今後引き続き、整形、トラウマ、頭蓋分野も認可を受ける予定である。
米国の整形/トラウマ/頭蓋顎顔面分野における骨接合材(金属製が中心)の市場規模は、日本の5~7倍程度であり、約500億円/年と推定される。タキロンでは今回承認を得た米国を含め、2008年度には10億円以上の海外売上を目指す。
現在日本国内では、骨接合材などの医療機器はほとんど外国製品の輸入に依存している。
本製品が日本発の新医用材料(ニューバイオマテリアル)として、欧州・米国で使用されることは日本の医療技術の世界発進としての意義が深いと考えている。
尚、本製品にかかわる米国での特許は、既に取得済みである。
【 参考資料 】
1.承認の概要
承認日:2007年3月14日
承認番号:K061881
2.承認された内容
(1)形状、組成
吸収性ハイドロキシアパタイト(HA)粒子とポリL乳酸(PLLA)の複合体(Composite)からなるプレート、メッシュ、スクリューなどの形状の骨接合材。
(2)使用目的
顎顔面分野における変形症、外傷修復手術用および再建手術用
3.オステオトランスについて
(1)概要
オステオトランスは、吸収性のHA粒子とPLLAの強化された複合材料からなり、生体内吸収性と生体活性(骨伝導性を持ち、骨と全置換する)とを併せ持つ。世界初の新世代のバイオマテリアルに位置づけられる骨接合材です。
(2)製品の特徴
1)力学的特性;力学的特性が強化され(曲げ強度270メガパスカル、衝撃強度は従来品の2倍強、圧縮強度はヒト皮質骨の10倍強)、ヒト皮質骨に近い剛性(曲げ弾性率7.6ギガパスカル)をもつ。
2)分解吸収性;完全分解吸収に要する時間が短縮された。
3)骨伝導性と骨置換性;分解吸収の進行に伴って骨接合材の周囲に新生骨が形成されるため、骨孔が残ることなく新生骨によって全置換される。
4)生体骨との結合性;周囲の生体骨と直接結合するので安定した初期固定力が得られる。
5)生体適合性、安全性;非焼成の吸収性HA粒子が含まれているので生体との親和性と安全性がさらに向上している。
6)X線造影性;HAがX線不透化であるためX線での術後観察ができる。
以上
<参考> FDA510(k)について
510(k)とは本来、アメリカ食品医薬品局(FDA)に提出する申請書を意味しますが、一般的には、アメリカ国内で医用機器を販売するに当たってのFDAによる国家規格として知られています。510(k)は製品の安全性や有効性のみならず、広告を含むラベル表示の適正に及ぶ厳しい規程を定めています。
(※ 参考画像は関連資料を参照してください。)