IRジャパン、D級デジタル・オーディオ・アンプ用評価基板をサンプル出荷
インターナショナル・レクティファイアー
デジタル・オーディオ・アンプの評価基板をサンプル出荷
~ 120W×6チャネル、THD(全高調波歪率)0.01% ~
パワー・マネジメント(電源管理)技術で世界をリードするインターナショナル・レクティファイアー・ジャパン(IRジャパン)株式会社(本社:東京都豊島区、江坂文秀代表取締役社長)は27日、D級デジタル・オーディオ・アンプ(*1)用評価基板「IRAUDAMP3」のサンプル出荷を開始しました。高耐圧のゲート駆動IC(IRS20124S)や小型金属パッケージ「DirectFET(R)」に収めたパワーMOSFET(IRF6645)などを搭載しています。
評価基板は、1チャネル当たり120W出力の駆動回路を6チャネル分搭載しています。ヒートシンク(冷却器)は不要です。
この評価基板に搭載された高耐圧ゲート駆動ICのIRS20124Sは、設定可能なデッドタイム(*2)発生回路を内蔵しています。雑音や供給電圧の変動に強いため、THD(全高調波歪率)は、出力60W、負荷抵抗4Ωのときに0.01%、4Ω負荷で120W出力のときの効率は94%が得られています。このICには、スピーカの配線が短絡したときなどに発生する過電流に対して出力のパワーMOSFETを保護する回路や双方向の電流検出回路を内蔵しています。
IRAUDAMP3は、2チャネルの駆動回路とスイッチ機能の実装面積が29cm2と小さく、DirectFETパワーMOSFET(IRF6645)を搭載しています。DirectFETパッケージは、寄生のインダクタンスが小さいため、スイッチング特性が向上し、EMI(電磁干渉)雑音が減少します。放熱特性が良いため、4Ωの負荷に対して120W出力できます。ヒートシンクが不要なので実装面積が小さくなり、部品配置の自由度が増し、アンプ・システム全体のコスト削減に貢献します。
評価基板の電源電圧は±35V、負荷抵抗は4Ω、内蔵発振器の周波数は400kHz(調整可能)、利得は26dBです。基板の面積は34.8cm×12.7cmです。サンプル価格は19万円(税込み)の予定です。データシートと画像データはIRジャパンのホームページ(http://www.irf-japan.com)から入手できます。
<DirectFET(R) パッケージ技術>
インターナショナル・レクティファイアー(IR)社が特許を取得したDirectFETパッケージは、これまでの標準プラスチック・パッケージでは実現できなかった新しい利点を提供します。金属缶に半導体チップを貼り付けた構造で、ボンディング・ワイヤーやリード・ピンがないため、寄生のインダクタンスが少なく、パッケージの裏表両面から放熱が可能という特徴があります。DirectFETパッケージは、欧州の規制RoHS(特定物質の使用規制)に準拠しています。
<用語説明>
*1)D級デジタル・オーディオ・アンプ:
アナログ・オーディオ信号をデジタル・パルス信号、すなわちPWM(パルス幅変調)信号に変換して伝送し、これを低域通過フィルタに通してアナログ・オーディオ信号を復元する方式です。効率が高く回路をIC化しやすいので、機器を小型・軽量化できます。D級は出力回路の形式の一種です。このほか、アナログ・アンプではA級、B級、AB級などがあります。
*2)デッドタイム:
ハイサイドMOSFETとローサイドMOSFETを同時にオフする期間のことです。ハイサイドMOSFETとローサイドMOSFETが同時にオンすると貫通電流が流れてしまうため、これを防止するために同時にオフする期間を作ります。出力回路を2つのMOSFETで構成した場合、上側のMOSFET(電流を供給する役割)をハイサイドMOSFET、下側のMOSFET(電流を吸い込む役割)をローサイドMOSFETと呼びます。
<インターナショナル・レクティファイアー(IR(R))社について>
IR社はパワー・マネジメント(電源管理)技術のリーダーです。IR社のアナログIC、アナログ/デジタル混在IC、最先端デバイス、電源回路やモーター制御回路の部品やシステムは、コンピュータ、インバータ・モーター搭載の白物家電製品、照明器具、車載用電子機器、宇宙航空用電子機器など幅広い分野において、機器の小型化、省エネ化、高機能化に貢献しています。本社は米国カリフォルニア州エルセグンド。
注:IR(R)、DirectFET(R) は、International Rectifier Corporationの登録商標です。当資料に記載されるその他の製品名の商標はそれぞれの所有者に帰属します。
