大日本印刷、米社と最先端フォトマスクの生産性と品質向上で共同開発を開始
大日本印刷 ブライオンテクノロジーズ
最先端フォトマスクの生産性と品質向上のための共同開発を開始
大日本印刷株式会社(以下:DNP)と米国・ブライオンテクノロジーズ(以下:ブライオン)は、最先端フォトマスクの生産性および製品精度の向上を目的とした共同開発を開始します。
この共同開発は、ブライオンが開発した、半導体回路パターン設計時の検証用シミュレーションシステムを、フォトマスク製造に応用するものです。
【背景】
半導体回路パターンの微細化に伴い、光露光装置の解像度は限界に近づいており、シリコンウエハーへ回路パターンを転写する際に、光の干渉によって近接した回路パターンの形状が変形し、設計通りの回路を形成できないという問題が発生します。こうした問題を考慮して、半導体メーカーは、フォトマスクの設計データにあらかじめ補正パターンを入れて、仕上がりの形状をコントロールするOPC(Optical Proximity Correction)処理を行っています。
今後、65nm(ナノメートル)、45nmなど、最先端の回路パターンが微細化してくると、OPC処理によるパターン形状がさらに複雑になることから、これまでのOPC処理だけでは、光露光条件により、シリコンウエハーへの転写が設計通りに行えない場合がでてくると予想されます。このような半導体製造プロセスで生じる、問題を未然に防止するためには、設計段階でOPC処理を行ったフォトマスクパターンが、シリコンウエハー上に実際にはどのように転写されるかを予測する、高精度な 光露光のシミュレーション検証を行うことが重要となります。
ブライオン社は、パターン上の代表的な点からシミュレーションを行う、従来の検証ソフトと異なり、フォトマスクパターン全体を使用した精密な光露光のシミュレーションを高速に行える「Tachyon(タキオン)システム」を開発し、多数の半導体メーカーに導入しています。
DNPは、最先端フォトマスク製造において、業界No.1の地位を獲得していますが、今後、微細化のさらなる進展により、フォトマスク製造における生産効率の低下や製造コストの上昇、納期の長期化などが発生すると予想されています。こうした問題に対応するためには、フォトマスクの製造プロセスの改善だけでなく、半導体の設計や製造上の問題点を理解し、半導体メーカーとの連携をより強化する必要があることから、今回、高精度な光露光シミュレーション技術を持つブライオン社と共同開発を行うこととしました。
【共同開発の内容】
今回DNP、米国ブライオン及び日本法人のブライオンテクノロジーズ株式会社(以下:ブライオンK.K.)は、Tachyonシステムに関するライセンス契約を締結し、DNP内に設置したTachyonシステムを利用し、フォトマスク製造への応用に向けた共同開発を行います。
具体的には、Tachyonシステムを導入していない半導体メーカーから支給された、フォトマスクパターンデータの露光シミュレーションの検証を行い、半導体製造時に問題となりうる回路パターンを特定し、半導体メーカーへフィードバックします。また、実際に製造したフォトマスクの回路パターンをTachyonシステムに取り込み、同様のシミュレーションを行えるシステムを開発します。これにより、今まで以上に高精度、高品質のフォトマスク製造を実現し、不良や欠陥を防止し、半導体メーカーを含む業界全体の生産性の向上に貢献することを目指します。
開発作業はDNPのフォトマスクの研究開発部門と、米国ブライオン及びブライオンK.K.で行われるため、ブライオンK.K.の開発能力が、さらに強化される事も期待しています。
ブライオンテクノロジーズについて
Brion Technologies,inc.(本社:米国カリフォルニア州サンタクララ 代表取締役:Eric Chen)は、2002年に株式非公開企業として設立された、半導体設計と製造シミュレーションシステムのパイオニアです。高精度かつ超高速データ処理シミュレーションエンジンであるTachyonプラットフォームにより、半導体マイクロリソグラフィにおける設計、フォトマスク製造、ウエハー製造に関連する諸問題を解決する能力を持っています。
ブライオン社やその製品の詳細につきましてはブライオンテクノロジー社のホームページwww.brion.comをご覧いただくか、+1(408)653-1500にお電話下さい。
大日本印刷について
大日本印刷株式会社(本社:東京都 社長:北島義俊 資本金:1,144億円)は、グループの年間売上1兆5,075億円、従業員数約35,000名の世界最大規模の総合印刷会社です。出版印刷、商業印刷、ICカード、ネットワーク事業、エレクトロニクス関連部材など幅広いビジネスを展開しています。エレクトロニクス分野においては、液晶ディスプレイ用カラーフィルターなど各種ディスプレイ部材や、フォトマスク、プリント配線基板など半導体部材の製造を行っています。特に、印刷技術を使った先端フォトマスクメーカーでは世界最大手になります。
ブライオンテクノロジーズ株式会社(ブライオンK.K.)について
ブライオンテクノロジーズ株式会社(ブライオンK.K.)は2005年12月1日に米国ブライオン社の日本での拠点として東京に設立しました。日本の半導体産業は世界市場の中でも設計、開発、マスクの製造販売、スキャナーの製造などの分野で非常に重要な役割を果たしており、ブライオンにとっても必要不可欠な重要拠点になります。
以上