花王、「日やけ止め化粧品の意識調査」をもとに紫外線防御粉体の新分散技術を開発
日やけ止め化粧品の意識調査と、紫外線防御粉体の新しい分散技術を開発
■日やけ止めを日常的に使用する人が増加
■「つけた後にベタつかない」など使用感への期待は9割を超える
■「高い紫外線防止効果」と「快適な使用感」を両立させた、新しい紫外線防止技術
花王株式会社(社長・尾崎元規)は、日やけ止め化粧品*に関する意識調査を実施し、このほどその調査結果をまとめ、さらにそれをもとに「高い紫外線防止効果」と「快適な使用感」を両立した紫外線防御粉体の新しい分散技術を開発しましたのでお知らせいたします。
*日やけ止め化粧品:以下、「日やけ止め」と略す
■調査目的
紫外線意識の高まりとともに、近年、日やけ止めはスポーツ・レジャー時だけでなく、日常的に使用する人が増えています。日やけ止めには、当然のことながら「紫外線防止効果の高さ」が求められますが、日常的に使用する人が増えるにしたがって「快適な使用感」へのニーズも高まってきています。そうした消費者動向やニーズを収集して新製品の開発に生かすために、調査を継続して行っています。
また調査結果を踏まえて、新しい日やけ止めの技術開発を進めています。
■調査結果
【日やけ止めの使用率、使用頻度、使用場面、品質重視点】
・日やけ止めの使用率は増加傾向にあり、05年(夏)では4割以上の人が使用しています。
・日やけ止め使用者の使用頻度は増加傾向にあり、05年(夏)では「毎日使用する」人が7割近くに達しています。
・使用場面では、「外出するしないに関わらず毎日使用する」人が5割近くに達し、日常生活において使用している人が増えてきています。
・日やけ止めを日常的に使用する人が増えるにしたがい、日やけ止めの品質重視点として、「つけた後にベタつかない」「つけた後、白残りしない」「特有のにおいが気にならない」など、使い心地に関する項目がより重視されるようになってきています。
【日やけ止めの効果~期待度と満足度~】
・同時に行った日やけ止めの期待度と満足度の比較では、「紫外線防止効果が高い」ことを9割以上が期待して、7割近くの人が満足しています。
・一方、つけた後「白くならない」「ベタつかない」「特有のにおいが気にならない」など、使用感に関する項目では、期待度と満足度が一致していないことがわかりました。
・以上より、紫外線防御効果を損なうことなく、使用感を向上させることが必要と分かりました。
■調査方法
訪問面接調査。対象者と調査時期は以下。
・日やけ止めの使用率
無作為抽出した首都圏在住女性、18~69才、534名、2002~2005年の1月と7月
・日やけ止め使用者の使用頻度、使用場面、品質重視点、期待度と満足度
日やけ止め使用中の首都圏在住女性、25~34才、582名、2002~2005年9月
■調査結果をもとにした紫外線防御粉体の新しい分散技術の開発
これらの調査結果をもとに「高い紫外線防止効果」と「快適な使用感」を両立した新しい紫外線防御粉体の分散技術を、このほど開発しました。
【紫外線防御粉体の新しい分散技術の開発】
・日やけ止めの多くは油剤と水部分から構成されており、その構造は油剤の中に水と紫外線防御粉体が分散しているW/O構造でした。これを肌に塗布すると、水部分には粉体が分散されていないため、紫外線防御粉体が存在しない穴状の塗りムラが発生することがありました。そこで水部分にも分散配合できる新しい紫外線防御粉体とその分散技術を確立しました。
・油の中に紫外線防御粉体と水を分散させ、その水の中にさらに細かい油滴が分散して、この中にも紫外線防御粉体を抱えたO/W/O構造の「マルチプルエマルション」を開発しました。水部分にも粉体が分散されているため、塗布した時に粉体が均一に広がり、塗りムラをなくすことができました。
【日やけ止めへの応用】
・塗りムラをなくすことで紫外線防止効果が増大するため、紫外線防御粉体と粉体を安定して分散させる油剤の配合量の減少につながりました。
・そのため、最高レベルの紫外線防止効果(SPF50+、PA+++)でありながら、油っぽさやべたつき感、日やけ止め特有のにおいが低減された快適な使用感の日やけ止めの製剤化を実現できました。
(※ 参考資料あり。)
これらの成果は、花王ソフィーナの日やけ止め「パーフェクトUVルーセント」、「パーフェクトUVニュアンスアップ」に応用しています。
本研究は、第24回IFSCC学術大会(国際化粧品技術者会 2006年10月16-19日、大阪)で発表いたします。