ファルコバイオシステムズ、米ジェントリスと「薬理ゲノム学」事業で提携
業務提携に関するお知らせ
当社は、ジェントリス・コーポレーション(Gentris Corporation :米国ノースカロライナ州モリスビル、以下ジェントリスという)との間で、ファーマコゲノミクス事業の日本国内での実施について提携することに合意し、本日付にて契約を締結いたしました。
本事業の実施に際して、当社はGLP (Good Laboratory Practice:医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準)に準拠した専用解析施設を立ち上げるとともに、本契約を通じてジェントリスが持つノウハウ、特許、商標等のわが国における独占的使用権を得ることにより、ジェントリスが既に米国で実施しているのと同様のFDA (Food and Drug Administration:米国食品医薬品局)基準に準じたファーマコゲノミクス試験を製薬会社等から受託できるようになります。
ファーマコゲノミクスは、新薬開発および既存医薬品の再評価に際して、患者のゲノム情報(SNP:single nucleotide polymorphism一塩基置換、等)に応じた有効性の確立や安全性の確保、重篤な副作用の回避を目的としています。ファーマコゲノミクスにより適用患者を分類することによって新薬開発の効率を上げることができ、また市販後の医薬品についても投与前に遺伝子検査を行うことで適切な処方を可能とし、副作用は起こさずに本来の効能が見込めることを事前に確認できるという、まさにオーダーメード医療の実現に必須の手段であると期待されています。
米国では、2005年3月にFDA がファーマコゲノミクスデータを新薬の申請時に提出するためのガイダンスを発表しました。わが国でも2005年に厚生労働省が製薬会社に対して医薬品開発への応用に関して実態把握のための意見聴取を行い、日本製薬工業協会がファーマコゲノミクス試験・研究の運用について試案を提示するなど、行政、製薬業界それぞれの立場で将来の本格的応用を視野に入れた準備を開始しています。厚生労働省厚生科学審議会では2010年頃までに、ファーマコゲノミクスに基づく医薬品の評価手法を確立するという目標を提示しています。
<今後の予定>
本契約の締結により、直ちにジェントリスからの技術移転を行い、GLP施設の稼働とともに事業の開始を行う予定です。当社とジェントリスは、密接な協力関係を築くことにより、日米で新薬の同時開発を計画するグローバル企業の要望を積極的に取り入れ、日本のファーマコゲノミクス市場の拡大を図る計画です。
事業開始後5年目までに累計5億円、10年目までに累計50億円の売上を見込んでいます。また、現在の中核事業である臨床検査に加えて、医療関連事業の柱として、ファーマコゲノミクスを含む治験関連検査の充実を図り、本事業との相乗効果を図って参ります。
以上
<ご参考>
ジェントリス・コーポレーション
2001年に設立されたファーマコゲノミクス分野のリーダー企業で、米国ノースカロライナ州モリスビルに本社・ラボを置く。米国内の製薬企業向けにファーマコゲノミクスの受託サービス、関連製品の製造販売を行っている。
創業者で、現在も社長兼CEOを勤めるマイケル・マーフィー氏は、20年以上前から米国でファーマコゲノミクスの可能性、重要性を提唱してきた先駆者の一人で、FDAのファーマコゲノミクス関連委員会の委員も務めている。
ファーマコゲノミクス
薬理ゲノム学、ファーマコジェノミクスとも言う。
一人ひとりのゲノム情報を基に、適切な治療薬の選択(いわゆるオーダーメード医療)を行うことを目的とし、今後新しい医薬品の開発には必須になるものと考えられている。即ち、医薬品を処方する前に、個々の患者のゲノム情報を調べることによって、医薬品の種類や投与量、投与方法を選択し、医薬品の効果を最大限に引き出し、副作用のリスクを最小限にすることができる。その結果として医薬品の無駄な使用や予期せぬ副作用を低減することができるため、行政、臨床医、医薬品業界の各方面から注目されている。
オーダーメード医療
医療(病気の治療・予防)を患者一人ひとりに応じて、適切な形で個別化すること(個別最適の実現)。薬物治療について言えば、従来のように症状、年齢、体重等の限られた基準で医薬品の処方を一律に決定するのではなく、患者ごとに異なるゲノム情報や生活環境などに応じてきめ細かく設定し、合理的、効率的な処方を提供することを指す。テーラーメード医療とも言う。
