J.D.パワー、「2006年中国自動車顧客満足度調査」の結果を発表
アウディ、中国のアフターサービス顧客満足度で第1位
2006年中国自動車顧客満足度(CSI)調査
CS(顧客満足度)に関する調査・コンサルティングの国際的な専門機関である株式会社J.D.パワーアジア・パシフィック(本社:東京都港区、代表取締役社長:蓮見南海男、略称:J.D.パワー)は、2006年中国自動車顧客満足度(Customer Satisfaction Index、略称CSI)調査の結果を発表した。
当調査は、新車購入時から12~18ヶ月経過した車の個人ユーザーを対象に、販売店のアフターサービス(整備・修理等)に関する顧客満足度を調べるもので、2001年から年1回の割合で実施している。今年は2004年9月から2005年5月までに新車を購入した消費者を対象に、2006年3月から5月に中国の主要20都市で面接調査を実施し、5,673人から回答を得た。調査対象メーカーは中国で新車を販売している全メーカー35社である。
中国のアフターサービスの総合的な満足度は7つのファクターで構成されている。それらのファクターは、総合満足度に対する重要度順に「不具合経験」、「ユーザーに親切なサービス」、「サービス・デリバリー(サービスにかかる時間とサービス後の車両返却)」、「サービスの質」、「サービス実施中の経験」、「サービス・アドバイザー」、「入庫時対応」となっている。顧客満足度は1,000ポイント満点で算出され、スコアが高いほど満足度が高いことを示す。
◆中国ブランドと海外ブランドの格差が縮まる◆
顧客満足度ランキングでは、アウディが第1位となった。スコアは昨年から13ポイント上昇の834ポイントで、これは当調査開始以来最も高い。アウディは対象メーカー中で唯一過去5年、上位3位内に入っているが、今年の調査でも、引き続き全体的に高い評価を得ている。7つのファクターうち6つでトップのスコアを獲得しており、残りの1ファクターでも2位のスコアを獲得した。昨年に比べ最も向上したファクターは、「サービス実施中の経験」と「サービスの質」だった。アウディの顧客の84%が、販売店のアフターサービスが以前よりも改善していることに「非常にそう思う」または「そう思う」と答えている。これは業界平均より11%多かった。
第2位は1位に20ポイント差で日産が入った。日産は7つのファクター全てにおいて高いスコアを獲得している。
第3位は初めて調査対象となったSGMシボレーで、「入庫時対応」で高い評価を得ている。SGMシボレーは「不具合経験」以外のファクターで高いスコアを獲得した。業界全体の顧客の5分の1(21%)が販売店のアフターサービスが期待以上だったと答えたのに対し、SGMシボレーの顧客は3分の1(33%)がそのように答えている。
J.D.パワーアジア・パシフィック上海オフィスの副事務所長メイ・ソンリンは「中国市場では競争が急激に激化している。このためメーカーが差異化を図ることが難しくなっている。生産台数の急増や車両価格の均一化のもと、販売店における施策がメーカーや販売店が重点的に取り組むべき重要なポイントとなっている。ほとんどのメーカーは、多数の競合相手がいる市場で自社のイメージアップを図るため、販売店ネットワークを通じて顧客志向の新サービスを積極的に展開している」と述べている。「販売店は顧客とブランドの主要な接点であり、優れたアフターサービスを提供することは、メーカーのブランド・イメージを高めるための効果的な手段となる。
急速に変化している市場の中で、販売店は顧客のロイヤルティ向上やアフターサービス・部品による収益を増加させるため、アフターサービスにおける顧客満足度向上を目指している。ロイヤルティ向上やアフターサービス・部品の収益が、減少している新車販売による収益を埋め合わせる可能性がある」(メイ・ソンリン)。
また、市場における差異化や顧客ロイヤルティの強化のために、顧客志向のサービス・スターンダード(販売店がアフターサービスで行う基本活動)をより多く実施していることがわかった。今年の調査結果では68%の顧客が24のサービス・スタンダードのうち18が実施されたと答えており、昨年の63%から上昇している。
強力な販売店ネットワークは、セールスやアフターサービス、ブランド・イメージにおいて重要な要因となる。そのため、多くのメーカーが市場における差異化を達成する手段として、以前にも増して顧客満足を重視している。今年の調査において業界全体で最も改善が見られたのは「サービス実施中の経験」で、昨年に比べて12ポイント改善していた。海外ブランドと中国ブランドの双方で2005年から改善していたのは当ファクターのみである。
顧客満足の重要性が認識されるようになってきたものの、改善の度合いが顧客の期待の増加に追いついていない。昨年の調査では24のサービス・スタンダードのうち17を経験した顧客の平均スコアは800ポイントだった。しかし、今年の調査では、実施するサービス・スタンダードを少なくとももうひとつ増やすか別のサービスを提供しない限り同レベルの満足度スコアを得ることはできなかった。
「同様の傾向が車両品質にも見ることができる。昨年は新車の不具合は1件までは受け入れられており、不具合指摘が1件だった顧客の平均スコアは業界平均を上回っていた。しかし、今年の調査では顧客は1件さえも受け入れられず、不具合指摘が1件だった顧客の平均スコアは業界平均を下回った。これは顧客の期待が急速に高まっていることを示している」(メイ・ソンリン)。
昨年は前年から大きく上昇していた顧客満足度の業界平均スコアは、今年は前年より僅か2ポイントのみの上昇で、798ポイントとなった。これは主に中国ブランドの改善によるものである。中国ブランドは昨年に比べ5ポイント上昇しているが(782ポイント)、海外ブランドは昨年から変わらなかった(802ポイント)。中国ブランドは「入庫時対応」以外の6つのファクターで改善が見られた。中国ブランドと海外ブランドの格差が縮小したことからも、業界の競争が激化していることがわかる。
中国ブランドの満足度向上の要因のひとつとして、販売店ネットワークにおいてサービス・スタンダードがより徹底して実施されていることが挙げられる。中国ブランドは最も重要なサービス・スタンダード15のうち11において、海外ブランドよりも実施率が改善している。
顧客満足度が顧客のロイヤルティに直接影響を及ぼすことが、調査の結果、明らかになっている。調査では、販売店のアフターサービスに対して総合的にどの程度満足しているかを聞いているが、10ポイント満点中5ポイントを付けた顧客では、その5分の2(42%)が少なくとも一度はアフターサービスのために正規販売店以外のアフターマーケット施設を利用したことがあった。一方、10ポイントを付けた非常に満足している顧客では、この比率が20%まで減少している。10ポイントを付けた顧客は5ポイントを付けた顧客に比べて「保証期間後も同じ販売店でアフターサービスを受ける」と回答した人の比率がほぼ6倍だった。
「競争の激化と維持費増加に伴い、販売店の優れたアフターサービスがメーカーや販売店、顧客にとって多くの機会を生み出す可能性がある。アフターサービスは顧客の購買決定に以前に増して重要な役割を果たしている。顧客志向の高いサービス・ネットワークはブランド・イメージを高め、販売店に潜在的利益を生み出す。つまり、顧客はより質の高い、信頼のおけるアフターサービスを受けることができ、メーカーや販売店はロイヤルティの高い顧客やアフターサービスによる収益増加を享受することとなる」(メイ・ソンリン)。
当調査はJ.D.パワーが中国で実施している4つの自動車関連調査のうちのひとつで、今年最初に発表するものである。新車セールスの満足度を調べる「2006年中国自動車セールス満足度(SSI)調査」は8月下旬頃に、新車の不具合について調べる「2006年中国自動車初期品質調査(IQS)」および新車の商品性魅力度を調べる「2006年中国自動車商品性評価(APEAL)調査」は12月頃に発表する予定である。
<株式会社J.D.パワーアジア・パシフィックについて>
当社は米国J.D.パワー・アンド・アソシエイツの日本を含むアジア地域でのビジネスの拠点として1990年に設立された。自動車業界を始めコンピューター、通信関連、OA機器、サービス産業、金融など様々な業界において顧客満足に関する調査やコンサルティングを実施している。ISO9001およびプライバシーマーク取得。会社概要や提供サービスなどの詳細は当社ウェブサイトhttp://www.jdpower.co.jpまで。
<J.D.パワー・アンド・アソシエイツについて>
ザ・マグロウヒル・カンパニーズの一部門であるJ.D.パワー・アンド・アソシエイツ(本社:米国カリフォルニア州ウェストレイク・ビレッジ)は、マーケティング・リサーチ、生産・販売予測、コンサルティング、教育・トレーニングおよび顧客満足度調査を実施している国際的な情報サービス企業である。数百万人の消費者からの回答をもとに品質や顧客満足度に関する調査を毎年行なっている。ISO9001取得。
<ザ・マグロウヒル・カンパニーズについて>
1888年に設立されたザ・マグロウヒル・カンパニーズは、スタンダード&プアーズ、マグロウヒル・エデュケーション、ビジネスウィーク、J.D.パワー・アンド・アソシエイツなどを通じて金融サービス、教育、ビジネスに関する情報を提供している国際的な情報サービス企業である。世界38カ国に290カ所以上の拠点を有し、2005年の売上高は60億ドルにのぼる。詳細はウェブサイトhttp://www.mcgraw-hill.comまで。
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