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2024'11.06.Wed
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2007'03.15.Thu

アストラゼネカ、イレッサに係る薬剤疫学的試験であるコホート内「CCS」の結果を発表

イレッサ(R)の薬剤疫学試験
日本人進行非小細胞肺がん患者における
急性肺障害・間質性肺炎発症危険因子の解明を進める


 アストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役社長:加藤益弘)は、本日イレッサに係る薬剤疫学的試験であるコホート内ケース・コントロール・スタディ(Case Control Study、以下CCS)の結果を発表しました。本試験は、進行非小細胞肺がん(non-small cell lung cancer、以下NSCLC)患者の治療12週間の急性肺障害・間質性肺炎(Interstitial lung disease、以下ILD)の累積発症率および化学療法剤と比較した場合のイレッサの相対的なリスク、さらにILD発症危険因子を検討する日本初の試験です1。イレッサ治療又は化学療法を受けた3000人以上の進行NSCLC患者を12週間にわたって追跡したところ、化学療法に比べイレッサ治療はILD発症リスクが高いことが示されましたが、イレッサ治療患者におけるILD発症率は、市販後調査「イレッサ錠250 プロスペクティブ調査(特別調査)」の結果よりも低いものでした。また、治療の別にかかわらず、全身状態不良などのいくつかの因子がILD発症に関与しており、これらのILD発症危険因子は、いずれも化学療法剤においても同様に危険因子であることがわかりました1。

本試験全体の結果は次のとおりです。

・進行NSCLC患者における治療12週間のILDの累積発症率は約3.0%でした(イレッサ治療患者:約4.0%、化学療法治療患者:約2.1%)1。
・イレッサ治療と化学療法間の背景因子の不均衡を調整した結果、イレッサ治療患者によるILD発症リスクは化学療法患者に比べ約3.2倍(95%信頼区間:1.9~5.4)でした1。
・前記背景因子の不均衡調整の結果、イレッサによるILDの発症リスクは、化学療法治療を受けた患者に比べて、主に治療開始後4週間が高く、約3.8倍(95%信頼区間:1.9~7.7)でした。一方、4週間後においては、イレッサによるILD発症リスクは約2.5倍(95%信頼区間:1.1~5.8)と、イレッサ治療と化学療法間のリスク差は治療開始後4週間よりも小さくなりました1。
・この点に関しては、既に国内添付文書にイレッサ投与開始後4週間は管理の下で、重篤な副作用発現に関する観察を十分に行うよう記載し、注意喚起がなされています。
・イレッサ治療患者におけるILD累積発症率は、特別調査の結果より低かったものの(4.0%対5.8%)1,10、異なる調査のデータを比較する際は注意が必要です。
・ILDを発症した患者における死亡率は、イレッサ治療患者で31.6%、化学療法治療患者で、27.9%でした1。

 本試験では以下に示すようなILD発症危険因子が確認され、これらの因子はいずれの治療法においても共通していました。

・治療
・喫煙歴有
・既存の間質性肺炎
・初回診断からILD発症日までの期間が半年以内であること
・全身状態不良(PS2以上)
・正常肺占有率(CT画像による)が低いこと(50%以下)
・55歳以上
・心血管系の合併症有
 
 このことからも、個々の治療方法を選択する際には、今回確認されたILD発症の危険因子を考慮する必要があります。

 これらの因子は治療の別にかかわらず、いずれも重要なILD発症因子であることが判明しました。例えば、全身状態の不良な患者は良好な患者に比較して約4倍(95%信頼区間:1.85~8.75)のリスクがあります。したがって、個々の患者さんへの治療法の選択にあたっては、ILD発症リスクを充分に評価する必要があると考えられます。

 本試験の調整医師である日本医科大学 呼吸器・感染・腫瘍内科の工藤翔二先生は次のとおりコメントしました。「今回の試験から、イレッサのみならず、化学療法剤による治療においても、ILD発症には複数の危険因子があることを考慮しなければならないことが明確になりました。イレッサ治療のILD発症リスクは化学療法より高いという結果が出ましたが、化学療法の副作用にも十分注意すべきものがあり、ILDを含む副作用のリスクを十分に考慮して、治療法を選択する必要があります」。

 アストラゼネカ株式会社 研究開発本部臨床統括部クリニカルサイエンス部 腫瘍領域医学専門家 蒋 海●は次のとおり述べました。「本試験はイレッサ治療と化学療法におけるILDについてのみ比較したものであって、各治療法の全体としての忍容性や有効性は検討していません。今回の試験で危険因子が確認されたこと、またリスク/ベネフィットを大きく変える結果が見られなかったことから、イレッサは進行したNSCLCに対して有効な治療薬であると考えられるため、今後は本試験結果を踏まえた適正使用を推進していきます」。

 当社はイレッサのCCSの結果を厚生労働省に報告しました。またこの新たな情報を速やかに医療機関へ伝達しています。

 ※●の文字は添付資料参照


References

1.Case Control Study 
2.Ferlay J, Bray F, Pisani P, et al.  GLOBOCAN 2002: Cancer Incidence, Mortality and Prevalence.  Worldwide IARC CancerBase No. 5. version 2.0, IARCPress, Lyon, 2004. 
3.Raghu G et al.  The epidemiology of interstitial lung disease and its association with lung cancer.  British Journal of Cancer 2004;91(Suppl 2):S3-S10.
4.Bhatia S, Hanna N, Ansari R et al.  A phase II study of weekly gemcitabine and paclitaxel in patients with previously untreated stage IIIb and IV non-small cell lung cancer.  Lung Cancer 2002;38:73-7.
5.Chen Y-M, Perng R-P, Yang K-Y et al.   A multicenter phase II trial of vinorelbine plus gemcitabine in previously untreated inoperable (stage IIIB/IV) non-small cell lung cancer. Chest 2000;117:1583-9.
6.Rebattu P, Quantin X, Ardiet C, et al.  Dose-finding pharmacokinetic and phase II study of docetaxel in combination with gemcitabine in patients with inoperable non-small cell lung cancer. Lung Cancer 2001;33:277-87.
7.Thomas Al, Cox G, Sharma RA et al.  Gemcitabine and paclitaxel associated pneumonitis in non-small cell lung cancer: reports of a phase I/II dose-escalating study. European Journal of Cancer 2000;36:2329-34.
8.Willner J, Schmidt M, Kirschner J et al.  Sequential chemo- and radiochemotherapy with weekly paclitaxel (Taxol) and 3D-conformal radiotherapy of stage III inoperable non small cell lung cancer: results of a dose escalation study. Lung Cancer 2001;32:163-71.
9.Onishi H, Kuriyama K, Yamaguchi M et al.  Concurrent two-dimensional radiotherapy and weekly docetaxel in the treatment of stage III non-small cell lung cancer: a good local response but no good survival due to radiation pneumonitis. Lung Cancer 2003;40:79-84. 
10.Yoshida S.  [The results of gefitinib prospective investigation].  Medicine and Drug Journal 2005;41:772-89.


Notes To Editors

 国内で毎年56,000人以上の死者を出す肺がんは今なお致命的な疾患です2。肺がんは潜伏期間が長いため診断された時にはすでにほとんどの患者が他の疾患にかかりやすい進行した病期段階に至っています。そのような疾患のひとつが急性肺障害・間質性肺炎(ILD)です。ILDでは肺組織が障害され、最後には呼吸機能不全を引き起こします。またこの事象は一度重篤な状態に至ると治療するすべがありません。日本では肺がん患者の2~8%でILDが発症しています3。また、さまざまな肺がん治療に関連してILDは認められます。化学療法あるいは放射線療法を受けた進行NSCLC患者の中で1~10%前後はILDを発症したとの報告があります4-9。一方、イレッサの特別調査におけるILD発症率は5.8%と報告されています10。


試験デザイン

※添付資料参照
 

アストラゼネカについて

 アストラゼネカは、医療用医薬品の研究、開発、製造及び販売、並びにヘルスケアサービスの提供などのヘルスケア事業を世界的に展開している医薬品メーカーです。239億5000万ドルのヘルスケア事業の売上高を有し、消化器、循環器、ニューロサイエンス、呼吸器、オンコロジー及び感染症製品の売上でリーディングポジションを確立しています。アストラゼネカは、Dow Jones Sustainability Index (Global)及びFTSE4Good Indexに選定されています。


詳細は、弊社のウェブサイト(www.astrazenecapressoffice.com)をご覧ください。

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