日本旅行業協会、「2006年9月期 第18回旅行市場動向調査」結果を発表
国内景気の回復と夏休み需要により海外DIはさらに上昇したが、国内DIは横ばいでマイナス値にとどまった。
3ヵ月後の海外DIはプラス値を維持するもやや後退し、国内DIはやや良化の見通し。
「2006年9月期 第18回旅行市場動向調査」
JATA(日本旅行業協会)では、旅行市場の動向を捉えるため、会員各社に定期的にアンケートを実施し、旅行の種類、方面、顧客層別に業況判断を指数化して四半期ごとにまとめている。
(調査の概要については末尾に記載)
2006年8月上旬から8月下旬にかけて実施した「旅行市場動向調査」によると、海外旅行市場は予測値には届かなかったものの引き続き上昇基調で推移し、国内旅行市場は横ばいでマイナス値にとどまった。
3ヵ月後の海外DIは後退するもプラス値を維持し、国内DIはマイナス値ながらやや良化が見込まれる。
-海外旅行-
海外旅行全般の業況について
国内景気の回復と夏休みのファミリー需要により、海外旅行全般のDIはさらに上昇した。
3ヵ月後はテロ対策や原油高の影響が懸念され、やや後退の見通し。
【現 況】
夏休み需要でファミリーに活気、海外DIは引き続き上昇基調
・「やはり景気の回復からか、全社的に旅行需要は上向いていると思われる。」
(海外旅行ホールセラー)
・「夏休みファミリー層の申込が増えている。 」(リテーラー2)
・海外旅行全般のDIは9ポイント上昇、前回予測には6ポイント届かなかったが、引き続き上昇した。前年同時期(7~9月)との比較では、21ポイント上回っている。
【3ヵ月後(10~12月)の見通し】
テロ対策や原油高が影響し、プラス値を維持するもやや後退が見込まれる
・「燃油サーチャージの大幅アップによる影響が出てくると予測される。」(総合旅行会社)
・「テロ対策として入出国の手続き時間が大幅に延び、海外旅行全般に影響するだろう。」
(インハウス)
・3ヵ月後(10~12月)の海外旅行全般のDIもプラス値を維持するが、やや後退の見通し。
【総 合】
・国内景気の回復と夏休みのファミリー需要により、海外旅行市場は前回よりさらに良化した。
方面別でみると、中国、アジア、ヨーロッパが好調で、特に中国については業務渡航、観光ともに活況を呈しており、海外旅行市場におけるシェアは拡大の一途をたどる。
3ヵ月後(10~12月)は、テロ対策や燃油サーチャージによる影響も懸念されるため、やや消極的観測となっている。
※詳細は添付資料参照
-国内旅行-
国内旅行全般の業況について
北海道、奄美・沖縄などロングデスティネーションが好調だが、
国内旅行全般のDIは横ばいのまま、前回の予想に反しマイナス値にとどまった。
3ヶ月後のDIは、マイナス値ながらやや良化の見通し。
【現 況】
ロング路線は好調だが、国内DIは前回の予想に反し、横ばいのままマイナス値にとどまった
・「夏休み期間はファミリー層向け、北海道や南の島々(屋久島、沖縄、石垣島、奄美など)が好調。」(国内旅行ホールセラー)
・「パッケージ旅行離れが進み、インターネットで個人が旅行手配をしている。」(リテーラー2)
・国内旅行全般のDI値は3ヶ月前(4~6月)から横ばいで、大幅な上昇が期待された前回見通しを13ポイント下回る-5にとどまった。
【3ヵ月後(10~12月)の見通し】
奄美・沖縄が依然好調、海外からのシフトも見込まれ、DIはやや良化
・「シニア層のロングステイ商品が好調で、秋以降も底固い需要を予想している。」
(リテーラー2)
・「治安や情勢、燃油サーチャージの負担増で国内旅行を選ぶ方が増えている。」
(国内旅行ホールセラー)
・3ヵ月後(10~12月)は奄美・沖縄がやや後退するも依然として好調であるほか、他方面でも好転が見込まれ、国内旅行全般のDIはプラス値には至らないものの良化の見通し。
【総 合】
好調な国内景気を背景に夏休み期間の国内旅行需要の大幅な伸びが期待されたが、好調だったのは北海道、奄美・沖縄などロングデスティネーションに限られ、国内旅行全般のDIは横ばいであった。
熟年、シルバーのロングステイが増加していることに加え、国際情勢などの海外での不安要因が国内旅行へのシフトを促し、3ヵ月後(10~12月)は良化が見込まれる。
※詳細は添付資料参照
■旅行市場動向調査について
JATA(日本旅行業協会)では、2006年1月にE-mail会員各社へ調査モニターへの登録を依頼し、登録のあった550社を会員として、四半期ごとに「旅行市場動向調査」を実施し、その結果を発表しております。
「旅行市場動向調査」は、現況・先行き(3ヵ月後)についてのアンケートに答えていただいたものから旅行市場の動向を把握することを目的としております。
調査では各質問事項に対し「良い」「普通」「悪い」「取り扱っていない」で評価を求め、回答数から「取り扱っていない」(無回答を含む)への回答を除いたものを母数として各回答のシェアを算出し、「DI」(=Diffusion Index ディフュージョン・インデックス)という景気動向指数に加工して発表をいたします。DI値の範囲は、全て良い(100)から、全て普通(0)、全て悪い(-100)の間の評価となります。
■調査概要
調査地域 : 全国
調査対象 : JATA会員各社の経営者など
調査方法 : インターネット調査
調査期間 : 2006年8月7日(月)~8月24日(木)
設定数 : 550社
回収数 : 233社
回収率 : 42.4%
■業態別区分について
「旅行市場動向調査」では、各業況を業態別に分析しています。
各業態の定義と今回調査での回答件数は下記の表の通りとなっています。
業態名 定義 件数
総合旅行会社 全国にネットワークを持ち、全分野に商品を持つ大規模な旅行会社 34
海外旅行ホールセラー 海外旅行を専業とするホールセラー会社 25
海外旅行系旅行会社 旅行業の取扱額が50億円以上で、うち海外旅行の取扱額が80%以上の旅行会社 9
国内旅行ホールセラー 国内旅行を専業とするホールセラー会社 11
リテーラー1 上記以外で旅行業の取扱額が30億円以上の旅行会社 32
リテーラー2 上記以外で旅行業の取扱額が30億円未満の旅行会社 85
インハウス 親会社の業務渡航などを中心に行っている旅行会社 37