フジテレビとKDDI、テレビ映像伝送を携帯電話で支援するシステムを開発
テレビ映像伝送を携帯電話で支援するシステムを共同開発
~中継現場と放送局を双方向にリンクする初の試み~
フジテレビジョン・KDDIの2社は、中継現場から放送局へのニュース・番組伝送を、au携帯電話を使用して支援する「μ-navi (マイクロナビ) システム」を共同開発しました。
●従来の伝送手法
遠隔地にある中継現場から放送局へのニュース・番組素材の伝送では、FPUと呼ばれる無線中継設備を使用しています。伝送前に当該設備をセッティングする際は、送信アンテナ (中継現場側) と受信アンテナ (放送局側) を正対させる必要があり、このため相互のオペレータが電話などで現在位置や受信状況を逐一連絡するなど、煩雑な作業を必要としていました。また、当該設備は、中継現場から放送局への片方向伝送であるため、中継現場で必要な放送局内情報を得ることは困難な状況でした。
●本システムを使用した伝送手法
本システムでは、KDDIが採用している、携帯電話用アプリケーションプラットフォーム、「BREWR」上で動くアプリケーションを新たに開発して、au携帯電話に搭載し、中継現場に持参した携帯電話と放送局間で双方向データ通信を行う事で、相互の情報 (携帯電話の現在位置や、放送局側の受信状況など) を瞬時に伝える事が可能です。
中継現場と放送局を双方向にリンクする本システムは、従来には無い初の試みであり、無線中継設備をセッティングする際の中継現場と放送局間の電話連絡を最小限に抑える他、放送局内の情報をリアルタイムに中継現場に伝え、携帯電話に表示します。また、au携帯電話の特徴を生かし、GPS衛星から取得した携帯電話の位置情報を放送局に伝え、位置情報を元にして中継回線の構築を自動的に行う事も可能となりました。
これにより、従来の煩雑な手法に比較して、作業の大幅な簡素化と高度な利便性を達成しました。
中継伝送ツールとして、au携帯電話を採用した事で、特別な端末開発を必要とせず、柔軟なカスタマイズが可能なBREW(R)アプリケーションのみの開発によって設備導入を可能としました。また、通信料金についても携帯電話のパケット定額サービスを利用する等、通信業界が提供するサービスを最大限に活用して、システム導入に際しての低廉化、開発期間の短縮を図りました。
なお、本システムのネットワークについてはKDDIが担当し、フジテレビジョンは携帯電話のアプリケーション開発とシステム全般を統括いたしました。
※ FPU: Field Pickup Unitの略でマイクロ波による無線中継設備
※ BREW: (Binary Runtime Environment for Wireless)
UALCOMM社が発表したcdmaOne/cdma2000携帯電話向けのアプリケーション開発プラットフォーム。C言語/C++言語を利用してのアプリケーション開発が可能。
BREW(R)およびBREW(R)に関連する商標は、QUALCOMM社の商標または登録商標。