米イーライリリー、アイコス社を21億ドルで買収
イーライリリー社、アイコス社の買収を発表
21億ドルの買収によりED治療薬Cialisを独占所有、2008年度以降の利益に寄与
米国イーライリリー社は10月17日、ICOS Corporation(アイコス社、本社:米国ワシントン州ボセル)を現金で買収するための最終的な契約を締結したと発表しました。契約の条件によると、リリー社はアイコス社の発行済み普通株式を1株当り32ドルで全株買収します。その総額はおよそ21億ドルになります。
リリー社とアイコス社は1998年以来、合弁会社のリリー・アイコス社を通じてCialis(発音:シアリス、一般名:タダラフィル)を製造・販売してきました。Cialisは2003年に発売された経口のPDE-5 阻害剤であり、勃起不全(ED)の治療薬として世界100ヵ国以上で販売されています。フランスやブラジルを始めとする多くの国でED治療薬市場トップの売上を誇り、米国では市場の25%以上を制しています。2006年上半期の世界売上は前年同期比34%増の4億5,600万ドルでした。
リリー社のシドニー・トーレル会長兼CEO(最高経営責任者)は今回の買収について次のようにコメントしています。「Cialisの価値を全面的にリリー社のものとし、EDに悩む男性にCialisの価値を提供し続けることができるのは喜ばしいことです。当社はアイコス社と非常に良好で生産的な関係を維持してきましたが、その関係は次のステップにも引き継がれます。Cialisの所有権を独占することにより、当社はこの重要な製品の更なる開発、マーケティング、販売において事業効率を高めることができます。今回の買収により、当社の2007年度売上は大幅に拡大し2008年度からは利益と利益成長率に寄与するようになります。そしてそれ以降は当社の売上成長率を着実に加速していくでしょう」。
また、トーレル会長は次のように付け加えています。「今回の買収はリリー社にとって財務的にも事業的にもメリットとなるものであり、両社の株主にとっても実質的な価値があります。また、私たちはタダラフィルの新たな適応を追求することにより、製品としてのポテンシャルを高めていきたいと考えています。両社には長期にわたる関係がありますので、事業統合もスムーズに行くはずですし、統合は患者さん、社員、および影響を受ける事業に対する十分な配慮のもとに行なわれます」。
アイコス社のポール・クラーク会長・社長兼CEOは次のように述べています。「当社の優秀な社員たちは16年という短い期間でアイコス社を米国でもトップクラスのバイオテクノロジー企業に育て上げてくれました。その道程で、彼らは一致協力してバイオテクノロジーから生まれた数少ないブロックバスター医薬品を創薬し、製品化したのです。10年近く緊密なパートナーであったリリー社による今回の買収は、当社の株主にとっても大きな経済的メリットとなるものです」。
アイコス社の役員会は今回の買収契約を満場一致で承認し、株主にも承認することを推奨しています。
買収は2006年末から2007年初頭にかけて成立するものと予想されています。成立にはアイコス社株主の承認、ハート・スコット・ロディノ反トラスト改善法による承認などの条件をクリアすることが求められます。
買収の成立に伴い、リリー社はアイコス社の仕掛買収R&D費を一時的な経費として計上しますが、その金額は現時点では未確定です。また、アイコス社の事業をリリー社の決算に含める影響は、リリー社の2007年度の利益においてほぼ希薄化されるものと予想しています。しかしながら、2008年度からの利益に対しては増加要因となり、キャッシュフローにもプラスに作用するものと予想しています。
(注:同製品は、日本では2005年に承認申請を行っています。)
イーライリリー社は、革新を追求する医薬品のリーディングカンパニーで、自社の世界各国の研究施設や外部の優れた科学研究機関との提携による最新の研究成果を用いて、各治療領域で最高レベルの豊富なポートフォリオの医薬品を開発しています。インディアナ州インディアナポリスに本社を置き、医薬品と情報の提供を通じて、世界の最も急を要する医学的ニーズへの「答え」を提供しています。
このプレスリリースには、リリー社経営陣の現時点での予想を基礎とする前向きな声明が含まれています。しかし、実際の結果は様々な要因によって実質的に異なることがあります。アイコス社買収後の期待された組織効率の実現、既存製品の売上増の継続、競合品の開発、新製品の承認と発売のタイミングとその成否、資産減損、組織改革、仕掛買収R&D費となる開発中の化合物の買収、為替レートの変動、特約店在庫の変更、ジプレキサ特許訴訟の行方、その他法規制の変化、行政当局による査察、特許に関する争議、既存製品と新製品に関連した訴訟、課税法の変更、医薬品の薬価・輸入・償還に関する行政当局の対応の影響を受ける場合があります。会社の業績に影響を与える要因に関する情報は、米国証券取引委員会に2006年8月に提出された当社の最新の届け出書10-Q様式をご参照ください。リリー社は将来予想に関する記述を更新する義務を負いません。
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