シミック、米アクシューム社とマイクロドーズ試験の受託業務で提携
シミック、医薬品の開発効率化を目指したマイクロドーズ試験の受託業務で
米アクシューム社と提携
シミック株式会社(本社:東京都品川区/ 社長:中村和男、以下「シミック」)は、このたびAccium BioSciences, Inc.(Seattle, Washington, USA、以下「アクシューム社」)と、医薬品の開発効率を高めるためにヒト薬物動態を早期に明らかにする“マイクロドーズ試験” を共同で受託する業務提携契約を締結しましたのでお知らせ致します。
疾病治療に有効で安全な医薬品候補化合物を適切に選択し、効率的に医薬品開発を進めるためには、ヒトでの作用を医薬品開発の早い段階で明らかにすることが極めて重要です。マイクロドーズ試験は低放射線量で標識した微量の薬剤をヒトに投与し薬物動態を早期に調べる手法で、欧米では2003年以降に治験ガイダンスが整備され普及し始めており、日本国内でも開発効率を高める手法として次第に注目を集めております。薬効用量の1/100または100μgという非常に低い投与量(マイクロドーズ)で実施するこのヒトRI薬物動態試験には、体内の薬物濃度を高感度で分析する技術が必要ですが、近年の加速器質量分析装置(Accelerated Mass Specstropy、以下「AMS」)という高感度分析技術の導入によりこの検討が可能となりました。
アクシューム社は、米国ワシントン州シアトルを拠点とするバイオベンチャーで、民間企業としては北米で初めて、自社のAMS装置を設置した研究センターを本年4月にオープンしました。アクシューム社はこの“AMSの医薬品開発への応用”を基盤技術として、マイクロドーズ試験のみならず、低放射線量で標識した微量の薬剤を用いる早期臨床試験(マスバランス試験、PK/ADME試験、代謝物プロファイリング試験)を受託しております。シミックは、ガイドラインが国内で整備されていないために現段階では国内で実施することが困難なこれらのヒトRI試験を受託するサービスを、アクシューム社との提携を通じて国内製薬企業に提供して参ります。
なお、今期における連結業績に与える影響は軽微です。
以上
【参考】
ヒト薬物動態試験: 医薬品の有効性、安全性に関するデータの取得、評価及び証明のために、薬物がどのように生体内で処理されるのかを明らかにする試験です。通常、血液中(場合によっては尿中又は組織中)の薬物及びその代謝物の濃度の経時的な測定を伴います。薬物動態試験により血液中又は他の適切な部位における薬物の吸収、分布、代謝及び排泄の様態を特徴づけられます。
μg : 10-6 すなわち100万分の1グラム
マスバランス試験: 投与後の薬剤が、血液、尿、糞など体内のどの部分に分布し排泄されるかを、各々の部位の薬剤濃度を測定し調べる試験です。
PK/ADME試験: PKは、薬物動態試験(Pharmacokinetic Study)の略で、通常、血液中(場合によっては尿中又は組織中)の投与薬剤及びその代謝物の濃度の経時的な変化を測定します。薬物の体内動態(ADME)は、薬物の生体内における移行と変化の過程。吸収(absorption)、分布(distribution)、代謝(metabolism)、排泄(excretion)、の一連の流れのこと。
代謝物プロファイリング試験: ヒト生体試料をHPLCで分離し得られる各々の画分について、超高感度のAMS測定を行うことにより、微量の代謝物をも同定する試験です。