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ニュースリリースのリリースコンテナ第一倉庫

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2024'11.29.Fri
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2007'04.13.Fri

塩野義製薬、高齢者の高血圧治療に関する大規模臨床試験の最終結果を発表

日本初、高齢者の高血圧治療に関する大規模臨床試験「JATOS」の最終結果発表について


 本日、「第21回国際高血圧学会(第29回日本高血圧学会併催)」(於:福岡)にて、高齢者の高血圧治療に関する日本初の大規模臨床試験「JATOS(=ジャトス:The JApanese Trial to Assess Optimal Systolic BloodPressure in Elderly Hypertensive Patients)」の最終結果が発表されましたので、お知らせいたします。

 「JATOS」は、高血圧治療に携わる多くの医療従事者が抱いてきた「高齢者の高血圧に対する降圧治療はどのように行うべきか?」という疑問に答えるべく、2001年4月より実施されました。

 本試験の結果は、高齢者の高血圧治療の治療ガイドラインに不足していたエビデンスを多くの点で補足したきわめて有用な研究結果としてのみならず、日本高血圧学会の後援のもと日本臨床内科医会が中心となって実施し、一般臨床医が数多く参加したことから、質の高い大規模な試験結果としても高く評価されています。

 試験成績の要点としましては、以下のとおりです。

1.高齢者高血圧治療における血圧管理の重要性が確認された。
2.十分な降圧に加え、危険因子(脳、心、腎、糖尿病、喫煙、脂質代謝)管理の重要性が確認された。
3.高齢高血圧患者においてSBPを140mmHg未満に降圧した際の安全性が確認された。
4.慢性腎臓病(CKD)は心血管疾患の危険因子であることが確認され、糸球体ろ過率(GFR)改善群では心血管疾患の発症が少ないことが明らかにされた。
5.メタボリックシンドローム症例では心血管疾患の発症率が高く、特に前期高齢者(65~75歳未満)のメタボリックシンドローム症例において積極的な降圧が推奨されることが示唆された。

 塩野義製薬は、この有用なエビデンス構築の一助を担い、今後さらに重点領域である循環器領域治療への貢献に傾注してまいります。


■試験デザイン
 日本高血圧学会の後援のもと日本臨床内科医会を中心に、全国1,028施設が参加。
 収縮期血圧(SBP)160mmHg以上の高齢高血圧患者(65~85歳)を対象に、SBP140mmHg未満を降圧目標とするA群と、SBP140mmHg以上160mmHg未満を降圧目標とするB群に無作為に割り付け、長時間作用型Ca拮抗薬である塩酸エホニジピン(ランデル(R)錠)を基礎薬とした降圧治療を2年間実施。2001年4月開始、2004年末に調査を終了。解析対象は4,418例。
 心血管疾患の発症率及びそれらの疾患での死亡率、有害事象・副作用の発現率などを評価項目とした。


■試験結果
○降圧することの重要性、危険因子(脳,心,腎,DM,喫煙,脂質代謝)の管理が重要
 イベント発症率と危険因子の関係を解析したロジスティック回帰分析において、各危険因子でのオッズ比は、年齢、脳血管障害で2以上、次いで腎障害、性、心臓障害、DM、喫煙、脂質代謝異常の順であり、いずれも約10mmHgの血圧差よりも強い関与を示した。さらに、これらの危険因子で補正してもA群とB群の間に有意差は認められなかった。これらの結果は、高齢者高血圧治療において血圧を管理することの重要性に加えて、修正可能な危険因子(脳、心、腎、DM、喫煙、脂質代謝)の管理が重要であることを示唆するものである。
 さらに、高齢高血圧患者においてSBPを140mmHg未満に降圧した際の安全性が確認されたことも重要である。

○前期高齢者と後期高齢者の降圧目標値が異なる可能性
 本研究の対象患者を75歳未満の前期高齢者と75歳以上の後期高齢者に分けて群・年齢別のイベント発症率を検討した。心血管疾患発症率が前期高齢者ではB群に比べA群で低い傾向が、後期高齢者では逆にB群に比べA群で高い傾向が認められた。
 これらの結果から前期高齢者には積極的な降圧(SBP140mmHg未満)を推奨できるかもしれない。また後期高齢者で特に危険因子を保有する患者においては慎重な降圧が望ましいと思われるが、この点に関しては更なる研究が必要である。

○慢性腎臓病(CKD)は心血管疾患の独立した危険因子
 近年、CKDが心血管疾患の独立した危険因子であることが明らかにされている。4,000例を超えるJATOSにおいて、推算式を用いたGFR値(糸球体ろ過率)と心血管疾患イベント発症率の関係を検討した成績でも、CKDは心血管疾患の危険因子であることが示唆された。また、エホニジピンを基礎薬とした2年間の治療でGFRの改善がみられ、改善群ではイベント発症が有意に少ないことが明らかにされ、エホニジピンの腎保護効果も確認された。

○高齢者高血圧におけるメタボリックシンドローム(MS)と降圧
 MSが心血管疾患の独立した危険因子であることが明らかにされている。JATOSにおけるMSの有病率は約30%であり、MS症例では心血管疾患の発症率が高かった。MS症例の前期高齢者においてB群に比べA群で有意にイベント発症率が低かったことから、MS症例における前期高齢者の積極的な降圧が推奨されることが示唆された。


以 上

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