森永乳業、新潟大とラクトフェリンによる口腔内歯周病菌抑制作用に関する共同研究を発表
～森永乳業株式会社 栄養科学研究所より～
森永乳業と新潟大学大学院医歯学総合研究科の共同研究
ラクトフェリンによる口腔内歯周病菌抑制作用について
～第４９回秋季日本歯周病学会学術大会（２００６年１０月２０日）発表内容のご報告～
森永乳業は、新潟大学大学院医歯学総合研究科吉江弘正（よしえ ひろまさ）教授の研究グループとの共同研究により、このたび乳由来のたんぱく質『ラクトフェリン』に、歯周病患者の歯周ポケット内に存在する歯周病菌「プレボテラ・インターメディア」を抑制する作用があることを示しました。この結果を、１０月２０日～２１日に大阪国際交流センターで開催された「第４９回秋季日本歯周病学会学術大会」にて発表いたしました。
ラクトフェリンとは、ヒトなどの哺乳類の乳汁中に含まれるたんぱく質で、抗菌活性や免疫調節作用など様々な生理機能を示すことが知られています。また、ラクトフェリンは唾液中にも含まれており、これまで口腔内の各種病原菌に対する抗菌活性が試験管内レベルで調べられてきましたが、今回はヒト試験による口腔内の歯周病菌を抑制する作用を初めて発表いたしました。
【 歯周病とは？ 】
歯周病は、う蝕（虫歯）とならんで歯科の二大疾患で、成人の約４０％が罹患していると言われています。歯周病になると、歯と歯肉の間に歯周ポケットが作られ、そこに毒素を産生する歯周病菌が激増し、歯肉に炎症を起こし、歯を支える歯槽骨を破壊します。また、歯周病菌が増加するとガスを産生して口臭の原因となります。なお、歯周病菌の一種「プレボテラ・インターメディア」は、歯周病患者の口腔から高い頻度で検出されます。
■日本歯周病学会発表内容■
（１）試験方法
新潟大学歯学部倫理委員会の承認のもと同意が得られた、深さ４～５ｍｍ程度の歯周ポケットを有する軽度慢性歯周炎患者６名を対象としました。ラクトフェリン０．３ｇ入りトローチ錠を摂取する患者（３名：ラクトフェリン群）と、プラセボ・トローチ錠を摂取する患者（３名：対照群）にわけて、両群とも１回２錠、１日３回、３ヶ月間トローチ錠を咬まずに口の中で溶かして摂取してもらいました。トローチ錠を１錠摂取すると、もとの唾液中にあるラクトフェリンの１０倍程度のラクトフェリン濃度が１時間以上口腔内で維持されることを確認しています。トローチ錠摂取開始直前、摂取後１週目、１ヶ月目、３ヶ月目に１患者あたり２被験歯について、歯周ポケットにペーパーポイントを挿入して滲出液を採取し、「プレボテラ・インターメディア」菌数をリアルタイムＰＣＲ法で測定しました。
（２）試験結果
トローチ錠摂取３ヶ月目の歯周ポケット内の「プレボテラ・インターメディア」菌数を摂取直前と比較すると、プラセボ対照群では５被験歯で増加、１被験歯で減少したのに対し、ラクトフェリン群では３被験歯で減少し、増加した被験歯はないことが判りました。その他の被験歯では摂取前から検出限界以下の菌数でした。これにより、ラクトフェリン入りトローチの摂取によって、歯周ポケット内の「プレボテラ・インターメディア」菌数が抑制されることが今回初めて明らかになりました。
【 図．ラクトフェリン摂取による歯周ポケット内の プレボテラ・インターメディア菌数の変化 】
添付資料をご参照ください。
以上の結果から、ラクトフェリンは口腔内の歯周病菌の抑制に有効であることが示唆されました。
森永乳業では、今後もラクトフェリンの歯周病に対する研究開発に積極的に取り組んでまいります。
以 上
今回発表した研究成果は、森永乳業製のラクトフェリンを用いた試験結果となりますが、森永乳業（株）および森永乳業グループ会社より販売しておりますラクトフェリンを使用した商品の効果・効能を示したものではございません。
＊参考資料あり。