NTTデータイントラマート、統合フレームワーク製品の基盤部分をオープンソース化
NTTデータイントラマートが主力商用フレームワークの基盤部分をオープンソース化、
Seasar ファウンデーション傘下にて独自ブランドの開発者コミュニティを創設
株式会社NTTデータイントラマート(本社:東京都港区、代表取締役社長:中山義人、以下NTTデータイントラマート)は、同社主力の統合フレームワーク製品「intra-mart フレームワーク」の基盤部分をオープンソース化し、特定非営利活動法人Seasarファウンデーション(所在地:東京都渋谷区、代表理事:栗原傑享、以下Seasarファウンデーション)に寄贈することを発表いたします。寄贈するソフトウェアの開発・配布については、Seasarファウンデーションの傘下プロジェクトとしてintra-martのブランドを継承したオープンソース開発コミュニティを創設し、オープンソースソフトウェアのプロジェクト管理運営手法をもって行ってまいります。なお、新設コミュニティサイト「Intra-mart Open Source Software Community」は25日にオープンする予定です。 http://oss.intra-mart.org/
intra-martフレームワークの製品内部に組み込まれている軽量プログラミングフレームワーク(サーバサイドJavaスクリプトエンジン)は、以前より簡易なスクリプトベースの習得しやすさと高い開発生産性において定評があり、1700社を超える数多くの導入実績を有しています。今回ここにAjaxとの連携機能を加え、さらに開発生産性を向上させた上でオープンソース化することといたしました。
これまでは、Ajaxの記述とサーバサイドの業務ロジックでは、いちいち言語を切り替えねばならず開発生産性向上のボトルネックになっていました。しかしこのAjax連携機能を組み込んだサーバサイドJavaスクリプトエンジンにより、開発者は一貫したJavaスクリプト言語で、クライアントサイドのAjaxコンポーネントからサーバサイドの業務ロジックまで記述することができ、従来よりも大幅な開発生産性の向上が実現できます。
あわせてintra-martフレームワークに同梱されているJ2EEフレームワーク「im-J2EE Framework」も同時にオープンソース化いたします。こちらはJ2EE開発における基盤部分であり、上位にはワークフローエンジンや帳票印刷ソリューションなどERPフロントを構築する際に役立つ業務特化のコンポーネント群が多数用意されています。
今回これらのオープンソース化したソフトウェアの寄贈を受け、新設される開発者コミュニティ運営に携わるSeasarファウンデーションは、国産オープンソースDIコンテナ「Seasar2」の開発プロジェクト運営に実績があります。Seasar2とは近年のJavaシステム開発シーンにおいて広く普及している国産のオープンソースDIコンテナで、これまで特別なスキルを必要としたエンタープライズ用途のJava開発を容易化することに寄与しています。
Seasarファウンデーションには、一からオープンに開発がスタートされるプロジェクトが多数ある一方、企業内で開発された商用ソフトウェア製品をオープンソースソフトウェアとして開発・配布を行うために、知的財産権の寄贈を受けつけてきており、現在時点において、初めからオープンソースなものと企業より寄贈を受けつけたものをあわせ、60を超える数のプロジェクトの運営を行っております。最近では中核の「Seasarプロジェクト(Seasarファウンデーションのフラッグシップコミュニティ。 http://www.seasar.org/ )」以外のブランドを持つ開発者コミュニティの創設についても、ソフトウェア寄贈元企業などと緊密な協力体制の下で、複数準備を進めています。
今回のオープンソース化のメリットには以下のようなものがあります。
1) 商用製品としてこれまで数多くの実績を持ち、また評価の高い軽量プラグラミングフレームワークをオープンソースとして提供することにより、これまで以上に幅広い利用者へと広げることができる。特にAjax を利用した業務アプリケーション構築において高い開発生産性を実現できる。
2) 開発者はこの開発フレームワークを基盤にして、intra-martフレームワークのワークフロー/ポータルなどのJava業務コンポーネント(有償)を必要に応じて組み合わせながら、さらなる短期かつ低コストでのWebシステム構築を実現することができる。
3) この取り組みを契機に、Seasar2等数多くのオープンソースソフトウェアと連携した製品が今後数多くラインナップされ、また相互に利用される機会が増えることにより、開発生産性をさらに向上させることが可能な新しいイノベーションを創出できる。
NTTデータイントラマートは今後もSeasarファウンデーションとの連携を強めながら、自社製品のオープンソース化とさらなる開発者への普及拡大に努めてまいります。
以上
■用語説明
(*1) intra-martについて:
intra-martは、Webシステム構築のための商用フレームワーク製品群の総称で、アプリケーションサーバ、J2EEフレームワーク、そしてビジネスモジュール群から成り、数多くの企業のWeb基盤構築に採用されています。特にintra-martが持つワークフローモジュールは日本独特の仕様に対応しており、海外製品との差別化を図った製品となっています。Ver6.0からは、Webシステム開発用の「スタンダード版」、ワークフロー/BPM構築用の「アドバンスト版」、それらに加えERPフロント/SOA対応用の「エンタープライズ版」の3種類の製品構成となり、目的に合った選択が可能となりました。
また最近、国内の独立系調査会社であるノークリサーチは『ERPユーザのフロントシステムの利用実態調査報告』と題する調査結果の中で、ERPフロントシステムはこれからの市場であるとして位置づけ、その中で現在、ベンダシェアおよび認知度においてintra-martをトップシェアであると評価しています。
*関連資料「SAPフロントシステム構築ツールシェア」参照
ノークリサーチ『ERPユーザのフロントシステムの利用実態調査報告』の全文については以下をご覧ください。
http://www.norkresearch.co.jp/main_files/erpfront.pdf (PDFファイル、2006年6月19日)
(*2) 軽量プログラミングフレームワーク(サーバサイドJavaスクリプトエンジン)について:
通常はクライアントのブラウザ内の処理記述に利用されることの多い「Javaスクリプト言語」を、そのままサーバ側の業務ロジックの記述にも利用できるようにしたフレームワークです。
このような簡易スクリプトを利用したWebシステム開発スタイルは最近「軽量プログラミング」と呼ばれ、その開発生産性の高さから注目を集めるようになってきています。
「intra-martフレームワーク」にはver1.0のスタート時(1998年)よりこの軽量プログラミングフレームワークが組み込まれており、これまでに1700社を超える数多くの導入実績を有しております。
■ NTT データイントラマートについて
株式会社NTTデータイントラマートは、「Enterprise Web Solutionの実現」を企業ビジョンとして掲げ、Webシステム構築のための商用フレームワーク製品「intra-mart」の開発及び販売を中心に事業展開しております。1998年より、当社が企画、開発した独自のシステム開発フレームワーク、業務コンポーネント群、アプリケーションシリーズは、現在1700社を超える企業へ導入されており、100社余りの販売特約店と共に、システム構築、コンサルティング、教育、運用支援に到るまでのトータルソリューションを、お客様に最適な形で提供しています。
( http://www.intra-mart.jp/ )
■ Seasarファウンデーションについて
SeasarファウンデーションはJava最先端技術による「Seasar2」などのエンタープライズ向け情報システム構築に資するエンジンやフレームワーク製品を、オープンソースにて開発しているコミュニティ多数を運営しています。最近はJavaのみならずPHPおよび.NETにもその活動範囲を広げ、商用ソフトウェアのオープンソース化にも大きな役割を果たしています。2005年12月に特定非営利活動法人(NPO法人、内閣府管轄)を設立しました。
( http://www.seasarfoundation.org/ )