アンリツ、光インタフェース対応のシグナルクオリティアナライザ「MP1800シリーズ」を発売
光インタフェースに対応した12.5Gbit/sビットエラーレートテスタ
シグナルクオリティアナライザMP1800シリーズ
アンリツ株式会社(社長 戸田 博道)は、光インタフェースに対応した12.5Gbit/s帯のBER(Bit Error Rate:誤り率)試験を実現したシグナルクオリティアナライザMP1800シリーズ(MP1800A/MT1810A)を開発。11月1日から受注を開始いたします。
MP1800シリーズは、小型で柔軟なシステム構成が可能なBER測定器です。12.5Gbit/sまでのBER試験が可能。XFP(※1)、SFP(※2)、PON-OLT(※3)など光トランシーバモジュールやデバイス、バックプレーン(※4)試験に最適です。さらに2台のMP1800Aに対応したMUX(※5) /DEMUX(※6)、シンセサイザーを組み合わせて使用することで、最高 50Gbit/sまでのBER試験が行えます。
* BER試験
BER(Bit Error Rate(Ratio))試験とは、パターン信号を発信端から投入し、ビットエラー(受信端でパルスが消滅したり、不要なパルスが発生したりすること)をカウントし、伝送品質を検証する試験です。試験構成はパターン信号発生機器とビットエラーをカウントする測定機器で構成されます。
[開発の背景]
インターネットの普及と伝送容量の増大により、バックボーンの伝送速度が2.5Gbit/s、10Gbit/sと高速化し、近年では40Gbit/sの伝送システムも商用化され始めています。これに伴い、伝送装置のデータ転送速度の高速化を可能とする光トランシーバモジュールやデバイスの研究、開発が盛んに行われ、さまざまなビットレート、信号レベル、パターンを送受信しその波形を評価できるBER測定器のニーズが高まっています。
そこで、アンリツは、既存の10G帯誤り率測定装置の小型化を図り、BER試験に必要な機能のモジュール化を実現。新たにシグナルクオリティアナライザMP1800シリーズを開発いたしました。用途に応じた試験システムが簡易に構築でき、12.5Gbit/s、43.5Gbit/s帯の高速伝送用モジュール、デバイスの開発・製造・検査が効率よく行えます。
[製品概要]
シグナルクオリティアナライザMP1800シリーズ(MP1800A/MT1810A)は、12.5Gbit/sまでの光トランシーバモジュールやデバイスに対応したBER測定器です。さらに、2台のMP1800Aに対応したMUX/DEMUX、シンセサイザーと組み合わせて使用することで、最高 50Gbit/sまでのBER試験が行えます。
プラグインユニット形式を採用した小型のBER測定器であり、5種類のスロット式モジュールと各種オプションユニットを用途に応じて選択でき、柔軟な試験システムの構築が可能。高速光トランシーバモジュールやデバイス、バックプレーンなどのBER試験が効率良く行えます。
MP1800Aは、6つのスロット式モジュールが挿入でき、Windows(R)(注)XPを使用したGUIとテンキー、ロータリーエンコーダを備え、研究、開発に適しています。MT1810Aは4つのスロット式モジュールが挿入できる低価格モデルであり、イーサネットを通して専用アプリケーションをインストールした外部PCから制御。製造・検査用途に利用できます。
(注)Windows は、Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標です。
[主な機能・性能]
□差動電気インタフェース搭載
高速インタフェースで必須の差動電気インタフェースを有しており、高速ICの評価に対応できます。
□豊富な評価用パターン
擬似ランダムパターン(PRBS)、ゼロ置換パターン(Zero-sub)、ユーザプログラムパターンに加え、実際の伝送装置で使われるフレーム信号とPRBSを組み合わせたミックスパターンやコンピュータ上での伝送信号をエミュレートできるシーケンスパターンを
使用できます。
□光波長、光パワーの条件変更が容易
光インタフェースとしてSFPまたはXFPの電気、光変換モジュールを用意しており、簡単に波長や光パワー条件を変更できます。
□測定項目:BER、インサーション/オミッションエラー(※7)、トランジッション/ノントラジッションエラー(※8)、周波数、データキャプチャ(128 Mbit)、アイマージン(※9)、アイダイヤグラム(※10)、Q値(※11)、バスタブ(※12)、ISI測定(※13)
[対象市場・用途]
□ 光トランシーバモジュール、デバイスの開発、製造、検査
□ 最高12.5 Gbit/sまでのPON-OLTアップストリーム試験
□ バックプレーン、マザーボード、光導波路の開発
□ 40 Gbit/s帯デバイスの開発、製造検査
[営業情報]
□受注開始:平成18年11月1日
□予定販売台数:国内/海外計 400セット(初年度1年間)
[用語解説]
(※1) XFP
10 Gigabit Small Form Factor Pluggable の呼称で、MSA光モジュールの一つ。
(※2) SFP
Small Form Factor Pluggable の呼称で、MSA光モジュールの一つ。
(※3) PON-OLT
PONシステムの構成要素の一つで、センター局に設置するOLT(Optical Line Terminal)と、加入者宅に設置するONU(Optical Network Unit)から構成されている。
(※4) バックプレーン
バックエンドに組み込まれている物理的な基板。
(※5) MUX
多数の入力信号を、時分割多重して一つの信号に変換する。
(※6) DEMUX
ひとつの入力信号を、時分割分離して多数の信号に変換する。
(※7) インサーション/オミッションエラー
本来0であるべきデータが1になったエラーをインサーションエラー、本来1であるべきデータが0になったエラーをオミッションエラーという。
(※8) トランジッション/ノントラジッションエラー
0または1が変化したビットのエラーをトランジッションエラー、0または1が連続したビットのエラーをノントランジッションエラーという。
(※9) アイマージン
指定した誤り率以下になるデータの時間軸、振幅方向の余裕区間を数値化する測定。
(※10) アイダイヤグラム
一定の誤り率になるポイントを結んで等高線を描く測定。
(※11) Q値
データに含まれる振幅ノイズ成分を数値化する測定。
(※12) バスタブ
データに含まれるジッタ成分を数値化する測定。
(※13) ISI測定
評価パターン内の各ビットにおけるエラー発生を表示し、エラーにおける符号間干渉の影響を解析する。