ローム、低消費電流で高品位な音声発声用ADPCMデコーダーLSIを開発
大幅な低消費電流を実現
音声発声用ADPCMデコーダLSI「BU8844FV」をロームが開発!
半導体メーカーのローム株式会社(本社:京都市)はこのほど、家電製品など向けに、低消費電流で高品位の音声発声を実現できるADPCMデコーダLSI「BU8844FV」を開発しました。この新製品は2006年9月から当面月産50万個の体制で量産を開始し(サンプル価格500円/個)、今後300万個まで供給できる体制を整える予定です。生産は、前工程をローム本社(京都市)、後工程はROHM ELECTRONICS PHILIPPINES,INC.(フィリピン)で行っています。
昨今、家電製品においては、誤操作の防止や高齢者に配慮した製品が求められており、声による操作や警告の案内機能を搭載したセットが増えています。しかしながら、高機能な音声発声機能を実現するには、システムのパフォーマンスに依存せず、音声を途切れることなく発声するノウハウ、また消費電力の増加が課題となっていました。今回ロームが開発した音声発声用ADPCMデコーダLSI「BU8844FV」は、従来品比1/6以上の低消費電流化を実現しました。また、音声発声に必要な機能を1チップ化したことに加えて、FIFO機能内蔵により、マイコンへの負荷を大きく低減、既存システムに大きな変更を加えることなくアドオンが可能です。またPC上で簡単に音声ガイダンスデータを作成・確認できるツールの提供を行うため、お客様側で簡単にガイダンス機能を作成することが可能です。さらに、1kHz単位でのサンプリング設定を可能にしたことや、コンテンツプロバイダの仲介やチューニングまでのトータルサポートにより、開発時におけるお客様の負担を大幅に軽減しています。こうした製品の特長とロームのサポート体制により、既存セットに手軽に音声発声を実現することが可能になりました。
<「BU8844FV」の主な特長>
1)1.3mAの低消費電流を実現(従来品比1/6)。
2)FIFO内蔵。音声データをまとめて転送することによりマイコンにかかる負荷を低減。
3)パソコン上で簡単にADPCM音声データを作成できるソフトウェアと、評価ボードの提供に加えて、コンテンツプロバイダの仲介やチューニングなど音声作りまでを含めたトータルサポートが可能。
4)音声発声用ADPCMデコーダ、FIFO、DAC、CPUインターフェースの全てを小型パッケージ(SSOP-B16)に1チップ化し、省スペースに加えて実装コスト削減にも貢献。
5)4kHz~48kHzまで1kHz単位でサンプリングレートの設定を可能にし、システムに最適なサンプリングレートでの高品位音声発声が可能。
6)音声圧縮されたADPCMだけでなく、音楽データで使用される16bit PCMデータも使用でき、音声だけでなく高音質な音楽再生も同時に実現可能。
ロームでは、得意の音源処理技術を活かした、ゲーム機、オーディオ、携帯電話など向けの音源LSIを数多く生産しており、ADPCMデコーダ技術を採用したLSIは任天堂株式会社様の新型ゲーム機「Wii」の無線式コントローラにも搭載されることになっております。今回開発した音声発声用ADPCMデコーダLSIは、これらの実績で培ったノウハウをふんだんに活かし、お客さまに使いやすい音声発声LSIです。ロームは今後ともお客様のニーズに沿った製品開発を進めると共に、さらなる製品シリーズの拡充に努めてまいります。
以 上
※「Wii」は、任天堂株式会社の商標です。
■語句説明
ADPCM:(Adaptive Differential Pulse Code Modulationの略)
適応的差分PCM。音声のデータ量を減らすための圧縮方式。音を一定時間ごとに数値化するところまではPCM 方式と同じだが、音が連続的に変化することを利用して、直前に数値化したデータとの差を記録することによってデータ量を減らす。
FIFO:(First-In First-Out の略)
データを一時的に蓄えておくRAM。