ランクセス、バイオディーゼル燃料製造の飛躍的な簡略化を実現するイオン交換樹脂レバチットを発表
ランクセス、
バイオディーゼル燃料製造の飛躍的な簡略化を実現する、イオン交換樹脂レバチットを発表
ドイツの化学会社ランクセスは、バイオディーゼル燃料の製造過程を大幅に簡略化できるイオン交換樹脂レバチットK2567(Lewatit(R) K2567)を発表しました。レバチットは、再生可能な原料から製造された、未精製のバイオディーゼル燃料に含まれるエンジンにダメージを与える塩分や、灰分、グリセリン化合物を環境にやさしく効率的に除去する方法です。現在、バイオディーゼル燃料の利用は世界中で広がってきており、特にトラック運送業界ではガソリンに代わる燃料として注目されています。日本においても、2006年末までに全国的にバイオディーゼル燃料に関する基準が設定される予定です。イオン交換器は、通常、水処理や脱塩応用の用途で使用されています。実際、イオン交換樹脂の約70%がこの分野で使用されています。しかし、ランクセスのバイオディーゼル燃料の製造のように他にも多くの用途に活用することができます。
バイオディーゼル燃料の自動車への使用が認められれば、厳しい欧州規格EN14214によってその品質の高さが保証されます。欧州規格EN14214は、バイオディーゼル燃料に含有する腐食性の水や、エンジンに付着する可能性のある塩分と灰分の含有量を微量にするよう規定しているほか、合金を腐食させる性質のある遊離グリセリンの含有量を最小量と規定しています。遊離グリセリンは、バイオディーゼル燃料を製造する過程で、未精製のバイオディーゼル(脂肪酸メチルエステル)を抽出するためのエステル交換反応によって発生する副産物です。バイオディーゼル燃料の原料である植物油の多くは、エステル交換時に発生するグリセリンの化合物が含まれており、この遊離グリセリンを最小量におさえることは、バイオディーゼル燃料を製造する上での大きな課題となっています。従来の技術では、この遊離グリセリンの分離工程は困難な上、有機汚染された廃水が発生するという問題がありました。しかし、酸性イオン交換樹脂のレバチットK2567は含有成分であるスルホンアンカー基のナトリウム型が、グリセリンと他の不純物に効率的に吸着するため、遊離グリセリンの分離を簡略化することが可能となりました。
通常の使用環境におけるレバチットK2567を使用したバイオディーゼル燃料の製造は次の通りです。最初に、脂肪酸メチルエステルを低粘度メチルエステルに変換します。この過程で、大半のグリセリンは物理的に分離されます。次に、摂氏30℃から40℃に調整されたイオン交換カラムで精密洗浄を行います。
イオン交換器の処理能力は、通常、樹脂量2m3から3m3で約1時間あたり4m3です。
イオン交換カラム処理前は、未精製のメチルエステルのグリセリン含有量は約500ppmですが、イオン交換カラム処理後は、10ppm以下、重さにして総重量の0.001%にまで減少します。これは、欧州規格EN14214で定められた数値の200ppmをはるかに下回るものです。また、灰分とアルカリ性度は、異なるイオン交換器グレード(レバチットCNP80)を使用することによって除去します。
ランクセスのイオン交換器は、効率的な稼働を実現しただけでなく、非常に大量のグリセリンを原料から除去します。1リットルのレバチットK2567で約180グラムのグリセリンを除去する処理能力を持っています。2m3の樹脂層は、再生せずに約700m3のバイオディーゼル燃料を処理することができます。また、このイオン交換器には、従来の方法に比べ廃水を排出しないという利点もあります。
このイオン交換器は、コンパクトでシンプルな構造になっており、誤作動を起こさず、特別なメンテナンスが不要です。この過程は、すでに工業規模での能力が実証されています。ランクセスのイオン交換器は、年間30万トンの能力を持つ有数のバイオディーゼル燃料製造プラントにおいて稼働しています。
イオン交換樹脂は、通常の環境で使用する場合、1週間に1度程度の頻度で再生が必要ですが、再生は2ベッドボリュームのメタノールでイオン交換カラムを約1時間洗い流すだけの簡単な作業です。再生後は、すぐに処理を再開することができます。
このリリースの原文(英語)は、以下のURLにてご参照下さい。
www.press.lanxess.com
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http://mediarelations.lanxess.com/lanxess/lnxnews.nsf/id/2006-0197-EN?Open&ccm=010000&l=EN
ランクセスについて
ランクセスは、ドイツを本社に、世界18カ国におよぶ50以上の拠点で事業を展開する大手化学会社です。化学会社バイエルの化学品事業とポリマー事業の一部を母体に、2004年に設立しました。高品質の化学品、合成ゴム、プラスチックを製造し、その製品ポートフォリオは、基礎化学品、機能性化学品、顔料、プラスチック、合成ゴム、ゴム薬品、皮革用化学品、繊維加工用化学品、物質保護剤、イオン交換樹脂など多岐にわたります。全世界の従業員数は約17,200人で、2005年の総売上は約72億ユーロにのぼります。ランクセスについての詳細は同社URLにてご確認下さい。
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