日本TI、高速・高分解能ADCの駆動向け高速差動アンプを発表
日本TI、超低歪み、16ビット精度の高精度オペアンプを発表
シグナル・チェーンの簡素化に役立つレール・ツー・レール出力、完全差動アーキテクチャのADC駆動アンプ
日本テキサス・インスツルメンツ(本社:東京都新宿区、社長:山崎俊行、略称:日本TI)は本日、高速、高分解能ADC(アナログ/デジタル・コンバータ)の駆動向けの高性能広帯域アンプ製品ファミリを拡充する高速差動アンプ『THS4520』を発表しました。『THS4520』は3.3V~5V電源で動作する高精度のデータ・アクイジション・システム向けに設計され、ワイヤレス通信機器、試験・計測機器、医療用画像処理機器など、高性能を要求するさまざまなアプリケーションに、レール・ツー・レール出力、低雑音と超低歪み特性を同時に提供します。本件に関する詳細は http://www.ti.com/sc06186(英文)から参照できます。
『THS4520』は出力同相電圧の独立した制御機能によって、高精度のデータ・アクイジション・システムの持つ広帯域、DC(直流)結合、チャネル数などの要件を満たします。この機能により、信号経路のデザインとは別に、広い電圧範囲に渡り、出力同相電圧を設定値から0.25mV(代表値)以内のオフセットで容易に制御できます。
『THS4520』は2nV/√Hz(代表値)と非常に低い雑音特性のほか、8Vp-pの出力振幅および100kHzまでの信号帯域幅の条件において、-115dBc(代表値)のHD2(第二高調波歪み)特性ならびに-123dBc(代表値)のHD3(第三高調波歪み)特性を提供します。
TIの16ビット、4MSPSの『ADS8422』をはじめとする高精度ADC製品は、『THS4520』の超低歪み特性の利点によって性能上の大きなマージンを実現できます。またTIの2回路内蔵、12ビット、65MSPSの高性能ADCである『ADS5232』をはじめとする高速ADC製品は、『THS4520』の低雑音特性、3.3V動作ならびに600MHzの広帯域の利点を活用できます。
TIの高速シグナル・コンディショニング製品担当のMichael Steffesは次のように述べています。「『THS4520』は1MHz以下の周波数において優れた直線性を提供することから、12ビット高速ADCの駆動用途のほか、高精度の16ビットADCの駆動にも最適です。『THS4520』は広範囲に渡るTIのシグナル・チェーン・ソリューションのポートフォリオをさらに拡充すると同時に、お客様において全く新しいレベルのシステム性能を実現します」
『THS4520』の諸特性は-40℃~+85℃の工業用温度範囲で規定されています。また、TIの完全差動アーキテクチャ 高速アンプ製品ファミリである『THS4508』、『THS4509』、『THS4511』、『THS4513』との間でピン互換性を提供します。
『THS4520』の主な特長
項目 THS4520
内蔵チャネル数 1
利用可能チャネル数 1回路
チャネルあたりの静止電流(最大値) 15.3mA
電源電圧(最小値) 3V
電源電圧(最大値) 5.25 V
最小安定ゲイン 1V/V
帯域幅(最小安定ゲイン時) 620MHz
帯域幅(2 V/V時) 450MHz
ゲイン帯域幅積(代表値) 1200MHz
出力振幅 レール・ツー・レール(正負両電源電位)
平坦帯域幅(0.1dB) 30MHz
平坦帯域内の電圧雑音(代表値) 2nV/√Hz
スルーレート(代表値) 570V/μs
セトリング時間(0.1%以内、代表値) 7ns
非反転入力電流雑音(代表値) 2pA/√Hz
出力電流(代表値) 105mA
入力オフセット電圧(最大値) ±2.5mV
オフセット電圧ドリフト(最大値) ±8μV/℃
第二高調波(100kHz時、代表値) -115dBc
第三高調波(100kHz時、代表値) -123dBc
入力バイアス電流(最大値) 10000nA
価格と供給について
『THS4520』は現在出荷中で、TIおよび販売特約店から供給されます。パッケージは16ピンQFNで、1,000個受注時の単価の参考価格は2.25ドルです。評価ボードおよびSPICEモデルも供給されます。
TIではアナログ技術者向けにセミナ、デザイン・ツール、技術資料、評価ボードならびにサンプル提供などの幅広いサポートを提供しています。TIの包括的なアナログ・デザイン・サポートの詳細ならびに最新の『Amplifier and DataConverter Selection Guide』のダウンロードに関しては、http://www.ti.com/analog(英文)から参照できます。
ハイパフォーマンス・アナログ製品に関する情報は、インターネットでも発信しています。(http://www.tij.co.jp/analog)
※すべての商標および登録商標はそれぞれの所有者に帰属します。
【テキサス・インスツルメンツおよび日本テキサス・インスツルメンツについて】
テキサス・インスツルメンツ(本社:米国テキサス州ダラス、社長兼CEO:リッチ・テンプルトン、略称:TI)は、グローバルな半導体企業であり、デジタル家電、ワイヤレス市場などに向けたDSP(デジタル・シグナル・プロセッサ)とアナログICを中核とするトータル・ソリューションを提供しています。そのほか、E&PS(教育関連)事業を展開、世界25ヶ国以上に製造・販売拠点を持っています。
日本テキサス・インスツルメンツ(本社:東京都新宿区、社長:山崎俊行、略称:日本TI)は、テキサス・インスツルメンツの子会社で日本市場における大手の外資系半導体サプライヤです。資本金は362億5,000万円です。大分県日出、茨城県美浦に生産工場があり、茨城県つくばと神奈川県厚木にテクノロジー・センターがあります。
TIに関する情報はインターネットでも発信しています。(http://www.tij.co.jp)
【読者向けお問い合わせ先】
日本テキサス・インスツルメンツ株式会社
プロダクト・インフォメーション・センター(PIC)
URL: http://www.tij.co.jp/pic/
以上