三菱自、新型「パジェロエボリューション」4台体制などパリダカ参戦の概要を発表
2007年ダカールラリー(通称パリダカ)
「チーム・レプソル三菱ラリーアート」、新型 『パジェロエボリューション』の4台体制で前人未到の7連覇・通算12勝目を目指して参戦
三菱自動車と同社のモータースポーツ統括会社MMSPは、2007年1月6日(土)にポルトガルの首都リスボンをスタートして1月21日(日)にセネガルの首都ダカールにゴールする2007年ダカールラリー*1(通称パリダカ)に、「チーム・レプソル三菱ラリーアート」(Team Repsol Mitsubishi Ralliart)から新開発の『パジェロエボリューション』(MPR13)の4台体制で参戦する。
ドライバーは、パリダカ通算2勝を挙げている日本人エース・増岡浩を筆頭に、四輪部門で同じく通算2勝のステファン・ペテランセル(フランス)、前回の2006年大会で初優勝を飾ったリュック・アルファン(フランス)、そして気鋭の若手ホアン・ナニ・ロマ(スペイン)という強力な4名体制。前人未到の同一メーカーによる、7年連続総合優勝と通算12勝目の獲得を目指す。
*1 大会正式名称は「ユーロミルホー・リスボン~ダカール2007」(Euromilhoes Lisbon - Dakar 2007)。冠企業のユーロミルホーはポルトガルのロットくじ運営組織
チーム・レプソル三菱ラリーアート(※参考画像あり)
■ チーム・レプソル三菱ラリーアート」
チーム代表 : 鳥居 勲(MMSP Ltd./MMSP SAS社長)
チーム監督 : ドミニク・セリエス(仏)
メインスポンサー : レプソル(スペインに本拠を置く石油会社)
出場車両 : 三菱パジェロ エボリューション(MPR13型)
出場ドライバー/コ・ドライバー :
増岡 浩/パスカル・メモン(仏)
ステファン・ペテランセル(仏)/ジャン-ポール・コトレ(仏)
リュック・アルファン(仏)/ジル・ピカール(仏)
ホアン・ナニ・ロマ(西)/ルーカス・クルス・センラ(西)
■ 「チーム・レプソル三菱ラリーアート」、2007年ダカールラリー展望
三菱自動車チームは、1983年の第4回ダカールラリーに初代『パジェロ』の市販車無改造仕様で初めて参戦して以来、24大会連続で出場している。4代目となった市販車の『パジェロ』は発売から25年目を迎え、累計生産台数でも250万台を突破。パリダカには25回連続で参戦という節目の大会となる。三菱自動車チームは、2006年大会で6連覇と通算11勝という同一メーカーによるものとしては共に最多となる記録を樹立しており、2007年大会では更なる記録の更新に期待と注目が集まっている。
ディフェンディングチャンピオンの「チーム・レプソル三菱ラリーアート」(以下、三菱自動車チーム)は、前回大会から不変の磐石な布陣で2007年大会に望む。その筆頭は、2002年大会と2003年大会で2年連続総合優勝を飾っている、日本期待の増岡浩。2004年大会でも僅差の総合2位を獲得している増岡は、2005年大会と2006年大会では無念のリタイアを喫しており、今大会は雪辱の一戦となる。ステファン・ペテランセル(フランス)は、二輪部門で歴代最多となる通算6回の総合優勝を飾っており、四輪部門転向後も三菱自動車チームで2004年大会、2005年大会と2年連続総合優勝を果たしている。元アルペンスキーチャンピオンのリュック・アルファン(フランス)は、三菱自動車チームから初めて出場した2005年大会でいきなり総合2位に入り、チームのワン・ツー・フィニッシュに貢献。さらに2006年大会では近年稀に見る接近戦を制して初の総合優勝を挙げた。パリダカ前哨戦となるUAEデザートチャレンジでも総合優勝を果たすなど好調を維持、今大会ではパリダカ2連覇を目指す。そしてホアン・ナニ・ロマ(スペイン)は、2004年大会の二輪部門で総合優勝を飾り、三菱自動車チームからの抜擢を受けて2005年大会から四輪に転向した期待の若手。2年目の2006年大会では総合3位に入り、期待通りの実力と才能を見せている。彼らのパリダカ合計優勝回数は5勝、ペテランセルとロマの二輪時代の勝利数も加えれば実に12勝という圧巻の数字となる。
三菱自動車チームは、これまでに培ってきた技術力と優位性をさらに高めた新開発の『パジェロ エボリューション』(MPR13)を、今大会に全4台投入する。2002年大会からFIAグループT1(改造クロスカントリーラリー車両)規定に則ったスーパープロダクション規定がトップカテゴリーとなったが、同規定に基づいて開発した初代『パジェロエボリューション』(MPR10)は、2003年大会で増岡浩の手によりデビューウィンを飾った。その後、2005年大会からMPR11、2006年大会からMPR12へとバージョンアップを重ね、デビューから負けなしの4連勝中。FIAクロスカントリーラリー・ワールドカップやバハカップにも参戦して、数多くの勝利を飾ってきた。
三菱自動車の技術開発本部モータースポーツ部長の中山修は、「ライバルたちの戦闘力を予測分析した結果、MPR13は『トータルバランスを高める』ことをテーマとして開発しました」と言う。「私たち三菱自動車チームには、1983年から連続して挑み続けてきた中で培ってきた圧倒的な技術とノウハウがあります。『パジェロエボリューション』も、実戦を通じてMPR10、MPR11、MPR12とマイナーチェンジを重ね、MPR13はその技術とノウハウを惜しみなく注ぎ込みフルモデルチェンジさせた、集大成となるニューモデルです」と語る。
また、三菱自動車チームを統率するドミニク・セリエス監督は、「いかなる形式のモータースポーツにせよ、そこで培った経験に勝るものはありません」と言い切る。「競技の性格や路面の特性を的確に把握し、スタッフ全員が自らの役割に応じて豊富な知識と経験に基づいて完璧な体制を整えられるのが、我々の強みです。6月と9月の2度にわたって、合計で1万km以上となる大規模なテストをモロッコで行いましたが、そこで得られた手応えには、とても勇気づけられました。また、『勝負はアフリカで』という従来からの戦略に変わりはありませんし、最後にダカールで笑うのは我々であると確信しています」と語った。
最後に、三菱自動車のモータースポーツ統括会社MMSPの鳥居勲社長は次のように語っている。「ライバルの台頭により、今大会はこれまでで最も厳しい戦いとなることでしょう。しかし、我々は、新しい『パジェロ エボリューション』の開発に、これまで以上に懸命な努力を傾けてきました。そしてスタッフ全員が勝利に向かって全力を尽くしています。僅かながらでもアドバンテージを持つのは我々だと思っていますし、7連勝と通算12勝で自らの記録を更新する自信があります。そして、6月に亡くなった三菱自動車チームのかけがえのないコ・ドライバー、アンリ・マーニュと彼の素晴らしい業績にその勝利を捧げたいと願っています」
■ 「チーム・レプソル三菱ラリーアート」、2007年ダカールラリー出場ドライバーラインナップ
増岡 浩 (Hiroshi Masuoka)
出身 : 埼玉県
生年月日 : 1960年3月13日
コ・ドライバー : パスカル・メモン(フランス)
日本を代表するクロスカントリーラリードライバーである増岡の国際ラリーデビューは、1985年のファラオラリーで、パリダカには1987年大会から出場。今回で19回目の挑戦となる。1990年大会と1994年大会では市販車改造クラス優勝を飾り、2002年大会では悲願の総合初優勝。続く2003年大会も制して2連覇を達成した。過去2回のパリダカでは連続リタイアを喫しており、今大会は雪辱の一戦として自身3度目の総合優勝に挑む。なお、コ・ドライバーには前回の2006年大会に続き、2002年の初優勝時のパートナーでもあるパスカル・メモンを起用する。
「前回大会では序盤でリタイアとなってしまい、非常に悔しい思いをしましたので、今回は何としてもよい結果を出したいと思っています。MPR13はとても扱いやすく、狙ったラインを外さない、優れたハンドリングを実現しています。テストも順調に消化できましたし、大いに手応えを感じているところです。このクルマで私にとって3回目の、三菱自動車チームにとっては12回目の勝利を挙げることができれば最高ですね」
ステファン・ペテランセル (Stephane Peterhansel)
出身 : フランス
生年月日 : 1965年8月6日
コ・ドライバー : ジャン-ポール・コトレ(フランス)
パリダカ二輪部門で史上最多記録となる6度の総合優勝を獲得しているペテランセルは、まさにパリダカの申し子といえる。二輪部門では1991年大会で初の総合優勝を飾り、以後1998年大会までの8回のパリダカで6勝をマーク。1999年大会から四輪部門に転向し、2002年夏に三菱自動車チームに加入した。そして2004年大会では四輪部門でも総合優勝を獲得。ユベール・オリオール以来、史上2人目の二輪・四輪両部門制覇を成し遂げた。さらに2005年大会でも優勝を飾って2連覇を達成している。コ・ドライバーは、四輪転向後、長年コンビを組んでいるジャン-ポール・コトレ。
「MPR13は走行安定性と旋回性能を高次元で両立させており、どんな状況においても安全に走らせることができます。従来型に対して大きな進化を遂げたことに満足していますし、このクルマで出場する今大会には、自信があります。ジャン-ポールと私のコンビネーションも良好です。ただし、ライバルたちも強力になっていますので、さらにベストを尽くしていかなければなりません。ダカールラリーは先が読みづらいイベントですから、これまでの私たちの経験のすべてを注ぎ込んで、3度目の勝利を目指していきます」
リュック・アルファン (Luc Alphand)
出身 : フランス
生年月日 : 1965年8月6日
コ・ドライバー : ジル・ピカール(フランス)
1997年のワールドカップ年間チャンピオン獲得など、アルペンスキーの元王者としてヨーロッパでは非常に高い知名度を誇るアルファン。スキー引退後はモータースポーツに打ち込み、自らチームを組織してル・マン24時間などの耐久レースに参戦。その一方でパリダカをはじめとするクロスカントリーラリーにも挑戦してきた。パリダカ初参戦は1998年大会で、翌1999年大会では市販車無改造クラスで優勝。三菱自動車チームには2004年夏に加入し、ワークス体制で2度目のパリダカとなった2006年大会で初の総合優勝。今大会は2連覇を目指す。コ・ドライバーのジル・ピカールは2006年大会以来のコンビ。
「ダカールラリーで優勝することは、私の夢でした。かつてスキー競技で何度も大きなタイトルを勝ち取ってきましたが、この競技で勝つことは別物ですね。何より、チーム一丸となって努力しなければ勝てません。私たちは三菱自動車チームという一つの形を作っていて、私はそのうちの一人のドライバーにすぎません。チームの誰もが重要な役割を担い、全員が仕事をまっとうしてきたことで、これまで幾多の栄光を勝ち取ってきたのです。そんな素晴らしいチームワークが、今大会でも再び発揮されることは間違いありません。ステファンもヒロシもダカールラリーを2回優勝していますから、私も彼らの仲間入りができるといいですね」
ホアン・ナニ・ロマ (Joan "Nani" Roma)
出身 : スペイン
生年月日 : 1972年2月17日
コ・ドライバー : ルーカス・クルス・センラ(スペイン)
チームメイトのペテランセルと同じように、パリダカの二輪部門で総合優勝を飾った後に四輪に転向してきたロマ。1994年にエンデューロ(二輪のオフロード耐久レース)のヨーロッパ選手権チャンピオンとなり、パリダカには1996年に初出場。そして2004年大会で総合優勝を果たした。2005年夏には彼の将来性を見込んだ三菱自動車チームに抜擢されて、四輪に転向。四輪で初のパリダカとなった2005年大会で6位、2年目の2006年大会では3位に入賞している。四輪転向以来、彼のコ・ドライバー兼指南役を務めてきたベテランのアンリ・マーニュ選手は、2006年6月のFIAクロスカントリーラリー・ワールドカップ第4戦モロッコラリーで発生したアクシデントによって還らぬ人となった。今大会では新たに同胞のルーカス・クルス・センラとのコンビとなる。
「新開発のMPR13のパフォーマンスは、とても素晴らしいです。砂丘やキャメルグラス(ラクダ草)が点在する土漠のような難しいコースを走るにおいても、理想的なバランスのマシンだと思います。従来型に比べて全体的に重心が低くなり、ドライブしやすくなっています。室内空間が広がったので、身長が高い私にとっても快適です。また、ルーカスとの新しいコンビネーションにもいいフィーリングを得ています。アンリと彼の経験に代わるものはありませんが、ルーカスと僕は同じスペイン語をしゃべりますし、ラリーを通じて一層良好なパートナーシップを築いていけると確信しています」
※出場車両:新型『パジェロ エボリューション』(MPR13)など詳細は添付資料参照
以上