NECエレクトロニクス、自動車向け半導体事業を強化
自動車向け半導体事業の強化について
~NEC九州および米国ローズビル工場を増強し、二拠点からの供給体制を確立~
NECエレクトロニクスはこのたび、自動車向け半導体事業強化の一環として、生産子会社の九州日本電気(熊本市八幡、以下NEC九州)および同NECエレクトロニクス・アメリカのローズビル工場(カリフォルニア州)を増強することにいたしました。その結果当社では、二つの工場から同一製品を供給する体制が整うことになり、供給能力の向上により安定した製品供給が可能となるため、ユーザーサービスを大幅に向上させることが可能となります。また、同事業の設計面での強化も併せて図るため、設計子会社であるNECマイクロシステムの九州事業場(熊本県上益城郡)において、技術者約50名を新規採用することにいたしました。
今回の増強は、生産および設計の両面を強化することにより、当社が世界に誇る自動車向け半導体事業でさらに確固たる地位を築くことを目的に行われるもので、生産面の強化策としては、
(1)車載マイコンとしては世界最先端の拡散プロセスを直径8インチのシリコンウェハーで処理するNEC九州の工場の生産能力を今年度末までに昨年度末比で約20%増強し、毎月6万枚体制とすること、
(2)ローズビル工場にNEC九州と同等の8インチウェハ対応の生産ラインを構築すること、の2点からなっております。
これらが実現すると、従来はNEC九州からの単独供給だった最先端プロセスの車載マイコンを北米でも供給できるようになり、ユーザーのニーズに合致した供給基地の二極化を完成させることができます。
また、NEC九州は、ローズビル工場の8インチ化に伴い、NECエレクトロニクス・アメリカ社に長期滞在者を派遣するなど、約20名の体制で新ラインの立ち上げ支援を行うことにしており、九州で培った技術が世界に羽ばたくことになります。
さらに設計面の強化策として、NECマイクロシステム九州事業所の自動車イコン設計技術者を現在の150名に比べて約3割増の200名となるよう50名の新規採用を行います。
当社はこれらの施策を着実に実行することにより、車載マイコンにおいて2010年には、昨年度末に比べて約6割増となる売上規模1,400億円の達成を目指し、業界をリードしていきたいと考えております。
自動車の電子化の進展に伴い、車載半導体の市場は2年前の約1兆6千億円から本年度は約1兆8千億円へと成長しており、今後も年率4%程度の成長が続くと予想されております。
このような状況の下、NECエレクトロニクスは2002年ごろから自動車向け半導体事業の将来性を認識し、経営の柱の一つと位置づけて、32ビットや8ビットのマイコン、金属酸化膜電界効果トランジスタ(MOSFET)を始めとするパワーデバイスに加え、自動車の安全に大きく貢献する画像認識プロセッサに代表されるシステムLSIなどを市場に提供するなど、積極的な事業を展開してまいりました。その結果、現在では関連製品の年間売り上げが昨年度約1,300億円に達する世界でも屈指の企業に成長いたしました。
この車載向け半導体領域において、NEC九州はNECエレクトロニクスグループの中心的な存在であり、この領域としては世界でも最先端となる150ナノ(ナノは10億分の1)メートルという、いわゆる髪の毛の500分の1 程度の幅で配線をシリコンウェハー上に形成する技術で業界をリードしております。
NECエレクトロニクスでは今回、この技術を駆使して生産ラインを増強することで、NEC九州における世界有数の自動車向け半導体の生産拠点としての立場を確固たるものにできると考えております。
また、NECエレクトロニクスは、米国NECエレクトロニクス・アメリカのローズビル工場にNEC九州と同様の8インチウェハ対応ラインを増設することにいたしました。これにより、従来NEC九州からの単独供給だった最先端プロセスの車載マイコンについて、北米にも生産拠点ができるため、生産基地の二極化、いわゆる「マルチファブ化」が実現することになり、(1)グローバルに生産活動を展開するユーザーは北米と日本の2拠点からワールドワイドに安定した製品供給を受けられること、(2)ユーザーの増産要求などに一層柔軟に対応できること、などのサービスの向上が可能になると考えております。また、マルチファブ化は、(3)為替変動による業績への影響を低減できること、(4)工場の稼働状況などの変化により生産工場を選定することができ、生産を効率化すること、などの当社にとっても利点があり、ユーザーと当社両サイドに利点を導く手段であります。
さらに、NECマイクロシステムの九州事業場を1986年に設立し、この地域における設計事業を拡大してまいりましたが、このたび、設計力のより一層の強化を図るために、人員を増強することにいたしました。
NECエレクトロニクスでは、これらの施策を着実に実行することにより、車載向け半導体分野における地位を確固たるものとするとともに、製品の開発、生産革新を図るなど、今後ともこの分野の事業をより一層積極的に展開したいと考えております。
NECエレクトロニクス、NEC九州、NECエレクトロニクス・アメリカ、NECマイクロシステムの概要については別紙をご参照ください。
以 上
<別紙>
各社の概要
◎NECエレクトロニクスの概要
社名: NECエレクトロニクス株式会社
所在地: 神奈川県川崎市中原区下沼部1753
代表者: 社長 中島 俊雄
設立年: 2002年11月
従業員: 約24,000人
売上高: 6,460億円(2005年度)
事業概要: システムLSI、ディスクリート・光・マイクロ波等の半導体の研究・開発、製造、販売およびサービス
◎NEC九州の概要
社名: 九州日本電気株式会社
所在地: 熊本県熊本市八幡1-1-1
代表者: 社長 今村 徹
設立年: 1969年9月
従業員: 2,300名
売上高: 641億円(2005年度)
事業概要: マイクロコンピュータ、システムLSI、ASメモリなどのLSI、超LSIの開発および製造
◎NECエレクトロニクス・アメリカの概要
社名: NEC Electronics America Inc.
所在地:
本社 2880 Scott Boulevard. Santa Clara, CA 95050-2554
ローズビル工場 7501 Foothills Boulevard Roseville, CA 95747-6504
代表者: 社長 川上 雄一
設立年: 1981年
従業員数: 1,150人
売上高: 954億円(2005年度)
事業概要: 半導体製造前(拡散)工程
◎NECマイクロシステムの概要
社名: NECマイクロシステム株式会社
本社所在地: 神奈川県川崎市中原区小杉町1丁目403番53(NEC小杉ビル)
拠点: 神奈川、北海道、山形、愛知、大阪、熊本
代表者: 社長 中柴 洋
設立年: 1980年
従業員数: 約1,800名
売上: 238億円(2005年度)
事業内容: 半導体の設計