NECエレクトロニクス、設計を容易にできるパワーMOSFETをサンプル出荷
パワーステアリングのモーター駆動回路などの設計を容易にできるパワーMOSFETのサンプル出荷開始について
~ スーパージャンクション構造を採用し、駆動電力を4割削減 ~
NECエレクトロニクスは、自動車のパワーステアリングのモーター駆動回路などを従来に比べて容易に設計できるようにするパワーMOSFET(金属酸化膜電界効果トランジスタ)を製品化し、「2SK4146」の名称で来年1月からサンプル出荷を開始することにいたしました。
新製品は、低耐圧領域での利用に最適なトレンチゲート構造と、耐圧を維持したままオン抵抗(注)を下げることができる「スーパージャンクション構造」という、二種類のMOSFET構造を業界で初めて組み合わせたことにより、実現いたしました。
これにより、電流の通り道であるセルをチップ上に多数集積しなくても抵抗値を下げられるため、パワーMOSFETの駆動容量(ゲート容量)を低減でき、現行機種に比べて約4割少ない駆動電力で動作させることが可能となります。また、セルの微細化により困難となる高耐圧化も実現でき、75ボルト(V)まで駆動電圧を高くすることができます。この結果、自動車のパワーステアリングや電動自転車のモーター駆動回路、液晶テレビのバックライト駆動回路などに用いる場合、パワーMOSFETに接続して搭載される前段回路の負荷を低減でき、装置の設計を容易にすることができます。
新製品のサンプル価格は100円であります。量産開始時期は来年度上期を計画しており、その規模としては月産300万個を予定しております。当社では、今後とも製品ラインアップの拡充と積極的な販売活動を行うことで、パワーマネジメントデバイス事業全体で、2008年度には、2005年度に比べて約35%多い年間1,000億円の売上を達成する計画であります。
近年、自動車、デジタル家電、携帯電話などの最終製品においては高機能化や複合化が急速に進んでおり、それらに搭載されたモーターを駆動したり、バッテリーの充放電を制御したりするパワーMOSFETにおいては、その市場が年率約10%の伸びを継続するなど、需要が拡大しております。
このような状況で、パワーMOSFETにおいては、上記のような高機能化や複合化に対応するため、設計の負荷を軽減しながら大きな電圧を効率的に扱える製品への要望が強まっております。
NECエレクトロニクスではこのような市場の要望に応えるため、スーパージャンクション構造を採用した今回の新製品を発売することにいたしました。
NECエレクトロニクスでは新製品が、装置メーカーの開発負荷を低減し、エンドユーザーの快適な利用環境を実現するものと考えており、今後も積極的に製品開発を継続し、品揃えの拡充を行う計画であります。
新製品の主な詳細については別紙をご参照下さい。
以上
(注)オン抵抗値:MOSFETがオン状態で動作した場合の抵抗値のこと。抵抗が少なくなればなるほど損失を低減でき、大きな電流を流すことができる。
<別紙>「2SK4146」の主な仕様
(※ 関連資料を参照してください。)