アナログ・デバイセズ、SHARCプロセッサーがギターのアナログ真空管増幅器の機能を再現
アナログ・デバイセズのSHARCプロセッサを、ダメージ・コントロール社(Damage Control)がDSPベースのギターに採用
SHARCプロセッサにより、ギターのアナログ真空管増幅器の機能を再現
アナログ・デバイセズ社(ニューヨーク証券取引所:ADI)は、米国のダメージ・コントロール社(Damage Control)が、同社の「TimeLine」と「Glass Nexus」製品ラインに、ADIのSHARC(R)プロセッサ「ADSP-21369」を採用したことを発表します。ダメージ・コントロール社は、SHARCプロセッサを利用することで、同社のデジタル・シグナル・プロセッシング(DSP)ベースのギターのアナログ真空管増幅器の機能を再現し、デジタル的に同機能を強化できるようになります。同社はTimeLineとGlass Nexus製品ラインのアナログ/デジタル・ハイブリッド技術を利用しながら、ADIのSHARCプロセッサの浮動小数点処理性能と、アセンブリ言語よりむしろC言語でコードを書ける統合開発環境ツール「VisualDSP++(R)」を活用しました。
最近のギタリストは、以前に比べ、ビンテージなギターの音色と同時に、広い音域にわたり微妙な音色の調整をする新しい機能も求めています。ダメージ・コントロール社は、このような要望に応えるためADIのSHARCプロセッサを採用し、ロバート・ランドルフ(Robert Randolph)、イングヴェイ・マルムスティーン(Yngwie J.
Malmsteen)、アール・スリック(Earl Slick)など世界トップクラスのギタリストの要望にも応える最高品質の音色と音響性能を兼ね備えた製品を生み出しました。
SHARCプロセッサにより、設計者はプロセッサの低い性能に悩まされることなく、想像力を駆使してアルゴリズムの開発と斬新なアイデアの創造に専念できるようになります。その結果、プロのギタリストは、音色、音域、表現スタイルを思い通りにコントロールでき、ミュージシャンやリスナーが慣れ親しんできた音質豊かなアナログ・サウンドを生み出すことができるようになります。
ダメージ・コントロール社は、これまでの製品ではアナログ・アーキテクチャを用いていましたが、SHARCプロセッサを搭載したTimeLineとGlass Nexusはデジタル技術への移行を意味します。
TimeLineはステレオ・パラメトリック・ディレイで、プロダクト・フェージング、コーラス、フランジャー、ビブラート、スラップバック・ディレイ、ロング・ディレイ、そしてリバース・ディレイを連続的にコントロールします。Glass Nexusでは、プレミアム・モッド・エフェクト・ペダルにより、12AX7デュアル・チューブにつながったカスタム・モジュレーション・エフェクトを操作できます。
ADSP-21369の浮動小数点性能により、ダメージ・コントロール社は、同社が開発したアルゴリズムにおいてゲインとダイナミック・レンジをコントロールすることができました。
オンチップ集積機能を特長とするSHARCでは、ホスト・プロセッサがインターフェースやシステム関連を処理する必要がなくなるため、開発コストと開発時間が節減できます。ダメージ・コントロール社は、SHARCプロセッサのデジタル・オーディオ・インターフェース(DAI)を用いました。DAIは、豊富なオーディオ専用ペリフェラル機能セットで、ソフトウェア・プログラマブルなシグナル・ルーティング・ユニット(SRU)、8個のシリアル・ポート(SPORT)、デジタル・ペリフェラル・インターフェース(DPI)機能が含まれています。SPORTは、様々なデジタルとミックスド・シグナル・ペリフェラル機器へのインターフェースを提供します。
SHARCプロセッサのADSP-21369は、32/40ビット浮動小数点プロセッサで、2MビットのオンチップSRAM、6Mビットのマスク・プログラマブルROMと、I/Oボトルネックを解消する複数の内部バスを搭載しています。同プロセッサは、ADIのエミュレータとVisualDSP++統合開発環境(IDE)を含む完全なソフトウェアとハードウェア開発ツール・セットである「CROSSCORE(R)」でサポートされています。ADIのプロセッサ、プラットフォーム、ソフトウェア・ツールによるアプリケーションの開発とプロトタイピングについて効率よく学べる評価ボード「EZ-KIT Lite(R)」も提供されています。
ダメージ・コントロール社シニア・パートナのデイブ・フリューリンク氏(Dave Fruehling)は、次のように述べています。「最近のミュージシャンは音に対するこだわりが強く、誰もが慣れ親しんできた、心地よいアナログ・サウンドを求める一方で、新しいデジタル機器が広範囲にわたり音色を調整できることを認めています。アナログ・デバイセズは、オーディオ信号処理のリーディング企業として高い評価を得ています。実際に、ADIのSHARCプロセッサを採用することにより、当社の設計者はプロセッサの性能の低さに煩わされることなく、新しいアルゴリズムの創造に時間を割くことができています」
アナログ・デバイセズ社コンバージェント・プラットフォーム&サービス・グループのゼネラル・マネージャ、ジェリー・マグアイヤ(Jerry McGuire)は、次のように述べています。「当社のSHARCプロセッサは、プロフェッショナル・オーディオ・アプリケーション向けのリーディング・プロセッサとして高い評価を得ています。最高400MHz動作のコアによる業界最高の浮動小数点性能を提供するSHARCは、ハイファイ・アプリケーションに最適なプロセッサです」
ダメージ・コントロール社は、SHARCに加え、8ビット高速低消費電力8チャンネル逐次近似A/Dコンバータ(ADC)「AD7908」などのADIの高性能アナログ部品も採用しました。AD7908は、SHARCプロセッサと容易にインターフェースがとれ、ユーザ・インターフェースや、デジタル・ポテンショ・メータ(デジポット)「AD5207」へのデジタル・シグナル・コンバージョン処理を行います。デジポットは、システムの許容誤差をキャリブレーションするために、オーディオ・シグナル・チェーン内で用いられています。
■浮動小数点DSP市場を牽引するSHARCプロセッサ
SHARCプロセッサは、優れたコア性能およびメモリ性能とそれを補完する卓越したI/Oスループットにより、10年以上にわたり浮動小数点DSP市場で圧倒的な地位を誇っています。SHARCファミリーは、1ドル当たり319 MFLOPSからのため、多種多様なアプリケーションで浮動小数点を経済的に採用することができます。最高性能のマルチプロセッシング向けでは、「TigerSHARC(R)」プロセッサが、毎秒10億浮動小数点演算(>1 GFLOPS)をはるかに超える性能を提供します。1Gバイト/秒のマルチプロセッシング・リンク・ポートは、複数のTigerSHARCプロセッサと、各デバイスに集積された24Mビットのオンチップ・メモリをグルーレスに接続します。
■アナログ・デバイセズについて
アナログ・デバイセズ(ADI)は、半導体市場において40年という長い間成長を続けてきましたが、その成長を支えてきたのが技術革新、高性能、および卓越した技術力を受け継いできた企業文化です。
ADIは、データ・コンバージョンおよびシグナル・コンディショニング技術の世界的リーディング企業として、業界で高い評価を得ており、実質的にあらゆる種類の電子機器分野を網羅する世界各国の60,000社以上の顧客にサービスを提供しています。アナログおよびデジタル信号処理アプリケーションに用いられる高性能集積回路の世界的なリーディング・メーカーとして、40年の歴史を誇るADIは、本社をマサチューセッツ州ノーウッドに構え、世界各地にデザイン、製造工場があります。アナログ・デバイセズの普通株はニューヨーク証券取引所に上場しており、ADIはS&P 500インデックスに挙げられています。http://www.analog.com
※SHARC、VisualDSP++、CROSSCORE、 EZ-KIT Lite、TigerSHARCは、アナログ・デバイセズ社の登録商標です。
【 製品に関する読者からのお問い合わせ先 】
アナログ・デバイセズ株式会社
ホリゾンタル・セグメント・マーケティング・グループ
電話 03-5402-8128