東芝など3社、45nm世代の高性能システムLSI向け量産技術を開発
45nm世代 高性能システムLSIの量産技術を開発
株式会社東芝、ソニー株式会社、NECエレクトロニクス株式会社の3社は、45nm(ナノメートル)世代の高性能システムLSI向け量産技術を共同で開発しました。
今回開発したのは、歪みシリコン(*1)やLow-k絶縁膜(*2)など、高性能化に必要な要素技術を最適に統合し、さらに高信頼性と両立するための詳細条件を確立した45nm高性能版プラットフォーム(基盤技術)です。
トランジスタの性能は、最適な歪み加工により前世代より30%以上の高速動作を実現するとともに、安定動作に関わるゲート絶縁膜も高信頼性LSIの平均寿命とされる15年を大幅に越える寿命を確認しています。
また、世界に先駆けて45nmLSIにNA1.0を超える液浸露光装置(*3)を適用したプロセス構築を行い、精度の厳しいSRAMメモリアレイ部で世界最小クラスのセルサイズ0.248μm2を実現しました。
さらに、加工が困難とされる多層配線部分においても、約98%以上の高い配線歩留まりと十分な信頼性を確保するなど、量産に対応できるレベルの完成度を実証しています。
3社では、45nm世代向けに高性能版と低消費電力版のプロセスを並行開発しており、今回の成果は高性能版の開発を基本的に完了した集大成といえるものです。3社は、低消費電力版のプロセスについても、2007年内の早期に開発完了を目指します。
なお、今回の技術については、米国サンフランシスコで開催されている半導体の国際学会IEDM(International Electron Devices Meeting)において、本日(現地時間12月13日)発表しました(講演番号27.2)。
<開発の概要>
* 関連資料 参照
(注)用語説明
*1: 歪み(ひずみ)シリコン技術は、結晶格子の歪みを利用してトランジスタ素子の電流駆動能力を向上させるもので、素子に応力膜などを施す技術が主流です。MOSFETの種類に応じ、nMOSには引っ張りひずみ、pMOSには圧縮ひずみを加えます。
*2: Low-k絶縁膜は、LSI加工の内、トランジスタ形成後のバックエンドプロセスに当たる多層配線工程で、配線層間の寄生容量を低減するために用いるLow-k(低誘電率)の絶縁膜です。一般にLow-k材料は機械強度が弱く、加工が困難であると言われます。
*3: 液浸露光技術は、回路パターンを高解像度に形成するため、露光装置の内部を液体で満たし、レンズのNA(開口率)が大気中の限界値である1を超えるレベルにまで向上させるものです。