富士キメラ総研、ブロードバンド・ビジネスの市場調査結果を発表
ブロードバンド・ビジネス市場調査を実施
―インターネット広告は2011年に7,540億円予測(対06年比 203%)―
マーケティング&コンサルテーションの(株)富士キメラ総研(東京都中央区日本橋小伝馬町 社長 表 良吉03-3664-5841)は、ブロードバンド・ビジネスに関わる通信事業者、ISP、CATV事業者、コンテンツ関連事業者、ハードベンダへのヒアリングを行い、ブロードバンド環境において展開される関連ビジネス市場の現状を把握し、今後の展開について調査分析した。その結果を報告書「2007 ブロードバンド・ビジネス市場調査総覧」にまとめた。
<調査結果の概要>
1.ネットワークインフラビジネス(加入者ベース)
■ブロードバンドアクセス市場
サービス 2006年見込み 2011年予測 対06年比
FTTHサービス 900万件 2,940万件 327%
ADSLサービス 1,440万件 760万件 53%
CATVインターネットサービス 361万件 498万件 138%
合計 2,701万件 4,198万件 155%
2006年のブロードバンドアクセスサービスの加入者は2,701万件の見込みとなっており、FTTHサービスが900万件、ADSLサービスが1,440万件、CATVインターネットサービスが361万件になる見込みである。各通信事業者がFTTHサービスを重視した事業展開を図っており、ブロードバンドアクセス人口に占めるFTTHサービス加入者数は33%を超え、FTTHサービスがブロードバンドアクセスサービスの主役となりつつある。FTTHサービスへの移行が進んでいることから、ADSLサービスの加入者数は減少していくと見られるものの、FTTHサービス未提供地域での利用や導入の容易さ、コストメリットなどから、今後も一定の需要が見込まれる。CATVインターネットサービスでは、超高速インターネット接続サービスの対応を進めているが、急激な市場拡大は見られず堅調に推移すると予測される。
■WANサービス市場(IP-VPNサービス、広域イーサネットサービス、インターネットVPNサービス)
2006年見込み 3,920億円 2011年予測 4,338億円(対06年比 111%)
WANサービス市場は今後もIP-VPNサービスと広域イーサネットサービスが中心と見られるが、サービス事業者数はこの二つに、インターネットVPNサービスを加えユーザーの用途や事業所規模、コストなどにあわせてシームレスに提供するスタンスをとっている。
法人向けの長距離データ通信サービスを主とするIP-VPNサービスは、低コストを訴求するエントリー型のサービスの提供が進んでいる。広域イーサネットサービスは、IP-VPNサービスと同様に幹線系の拠点において基幹系や勘定系のアプリケーションを利用するために用いられるケースが多い。近年では提供エリアの拡大やエントリー型の登場などによりターゲットユーザーが広がっている。
■モバイル/ワイヤレスアクセス市場
(携帯電話サービス、MVNOサービス、PHSサービス、公衆無線LANアクセスサービス)
携帯電話サービスは、依然として契約者数が増加している。3Gへの移行も順調に進んでおり、NTTドコモとソフトバンクモバイルが3.5Gに位置付けられる「HSDPA(High Speed Downlink Packet Access)」、KDDIが「EV-DO Rev.A」を導入する。各事業者が通信の高速化を進めるとともに、音楽配信やゲーム、SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)、検索機能などデータ通信サービスの充実を図っており、業界内の競争が激化していくと思われる。MVNO(Mobile Virtual Network Operator)サービスは、法人向け市場を中心に拡大が続いている。PHSサービスでは、NTTドコモやアステルグループ各社のサービス撤退・縮小が続く中、ウィルコムが定額制データ通信サービスと音声定額サービスにより加入者数を大幅に増加させており、市場を独占している。今後は高速化が進む携帯電話のデータ通信との差別化、魅力的な端末ラインアップの拡充などが求められる。公衆無線LANアクセスサービスは、サービス事業者の新たなアクセスポイントの設置、事業者間のアクセスポイントの共有により、サービス提供エリアが拡大し、利便性が向上することで加入者は増加すると見られる。また、今後はPHSデータ通信、携帯電話データ通信、WiMAXなどのワイヤレスブロードバンドサービスを補完するものとして位置付けられる。
2.プラットフォームビジネス市場
ブロードバンドの普及により、エンドユーザーが高速インターネットを利用できる環境が整っている。映像/音楽コンテンツやEコマース、ブログ/SNSなどの利用も増加しており、プラットフォーム市場は拡大している。インターネット広告は、多彩な広告モデルの登場により、市場が大きく拡大している。今後は、ゲーム内広告やRSS広告、インターネットCMなどの拡大が期待される。ブロードバンド化の進展により、企業ユーザーが画像や動画などを扱う傾向が高まっており、コンテンツ配信プラットフォーム市場が拡大している。ECサイト運営サービス市場は、オンラインショッピング/オンラインオークションが広くユーザーに浸透してきたことや各事業者がオンラインショッピングへの取り組みを強化したことで出店店舗が増加し市場が成長している。ブログなどコミュニティサービスとの連携を模索する動きも増加している。課金・決済プラットフォーム市場も、EC市場の拡大や非対面式クレジットカードの利用の拡大などにより市場は成長傾向にある。さらに、中小のEC店舗などの増加が見込まれる。
<注目市場>
インターネット広告
2006年見込み 3,716億円 2011年予測 7,540億円(対06年比 203%)
インターネット広告は、ホームページなどのWEBサイト上やe-メール内のスペースに掲載する広告を指す。インターネット利用者数及び視聴時間の増加に伴い、インターネットはメディアとしての価値が高まっており、今後も堅調に拡大していくと見られる。検索連動型広告やコンテンツ連動型広告はWEB広告と比較して単価が安いことから、ナショナルクライアントに加え、中小事業者も広告出稿が可能となり拡大しており、今後も市場全体の成長を牽引していくと見られる。
映像配信サービス
1.PC向け有料サービス
2006年見込み 149億円 2011年予測 450億円(対06年比 302%)
2004年頃の韓流ブームも追い風となり、サービスに対する認知度も少しずつ高まっている。今後も無料コンテンツや広告収入型の無料サービスとの連携を進めることで市場は拡大していくであろう。広告収入型の無料サービスとの連携では、同じコンテンツを提供する際に視聴期間などを上手く設定することが重要になる。
2.TV向けIP方式サービス
2006年見込み 194億円 2011年予測 1,100億円(対06年比 567%)
市場は、エンタウェイブがISPフリーと安価な料金プランを武器に多数の契約者を獲得したことで拡大している。2006年には、テレビCMにおける露出や、テレマーケティングによる拡販が行われており、引き続き市場は拡大傾向にある。2007年には「アクトビラ」におけるサービスの提供も予定されており、今後も市場は伸長していくと考えられる。
3.TV向け放送波方式サービス
2006年見込み 39億円 2011年予測 186億円(対06年比 477%)
放送波方式によるサービスであり、一本の光ファイバーで地上波、BS、CSの番組を視聴することが可能である。そのため、今後も高速なインターネット接続と多彩な放送番組の視聴を求めるユーザーを中心に利用が進んでいくと見られる。2006年には、オプティキャストが戸建住宅に向けたサービス提供を開始しており、市場は拡大する予測である。
SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)
2006年見込み(累計登録者数) 1,200万人 2011年予測 2,050万人(対06年比 171%)
2004年にミクシィやグリーなどの事業者がSNSを開始したことから利用者が増加し市場が本格的に立ち上がった。2006年も引き続き利用者の増加が続いている。大手サイトの利用者に加えて、様々な業種の事業者が会員向けサービスや販促ツール、社内向けの共有ポータルとしてサービスを活用するケースが増えており、今後も加入者の増加が続くものと見られる。市場の立ちあがり当初は、総合型SNSサービスが主流であった。しかし、総合型SNSにおいては、ミクシィやグリー、一部の検索ポータルサイトが提供するサービスの寡占状態となっており、後発の事業者にとって新たなユーザーの獲得が困難なため、2005年以降特定のジャンルに特化した専門型SNSが増加している。また、自社の商品やサービスのマーケティングツール用としてSNSを構築するケースが増加しており、今後も同様の傾向が続くものと予測される。
<調査対象>
* 関連資料 参照
<調査期間>
2006年9月~11月
<調査方法>
(株)富士キメラ総研専門調査員による調査対象・関連企業に対してのヒアリング取材及び(株)富士キメラ総研社内データベースの活用による調査・分析
以上
資料タイトル:「2007 ブロードバンド・ビジネス市場調査総覧」
体裁 :A4判 334頁
価格 :97,000円(税込み 101,850円)
CD-ROM付価格 107,000円(税込み 112,350円)
調査・編集 :株式会社 富士キメラ総研 研究開発本部 第三研究開発部門
TEL:03-3664-5847 FAX:03-3661-6920
発行所 :株式会社 富士キメラ総研
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