HOYAとペンタックス、経営統合で基本合意
HOYAとペンタックスの経営統合に向けた基本合意について
本日、HOYA株式会社(以下「HOYA」)とペンタックス株式会社(以下「ペンタックス」)は、平成19年10月1日をもって合併し、両社の経営を統合することで基本合意いたしましたのでお知らせします。統合後の新会社は社名をHOYA ペンタックス HD(エイチディー)株式会社(英文名 HOYA PENTAX HD Corporation)とし、戦略本社機能を担うコーポレート部門のもとに、HOYA、ペンタックスの各事業を分野ごとに再編してまいります。HOYAとペンタックスは最良のパートナーとして、互いの強みを組み合わせ、強固な事業構造を構築するとともに、戦略分野に経営資源を重点的に配分しうる体制を早急に整え、事業の成長を加速してまいります。
1. 経営統合の目的
HOYAとペンタックスは、対等の精神の下に、両社の保有する経営資源を相互補完的に活用することにより、強固な経営基盤を確立するとともに、シナジー効果の創出と成長の加速を通じて、顧客価値、株主価値の創出を目指してまいります。
統合後の新会社は、光学、映像、材料を共通の技術基盤として、ライフケア、オプティクス、情報エレクトロニクス、アイケア、イメージングシステムの事業分野を中心に事業ポートフォリオの最適化を図ってまいります。そして、情報エレクトロニクス分野とアイケア分野の安定した収益力を投入することにより、ライフケア分野の戦略的成長を目指すとともに、オプティクス分野の垂直統合によって事業構造を質的に転換し、競争力のさらなる強化を実現いたします。
それぞれの分野に関する基本的な方針は以下のとおりです。
●ライフケア分野(内視鏡、メディカルアクセサリー、ニューセラミックス、眼内レンズ): 戦略的成長分野と位置づけ、今後需要の高まる低侵襲医療領域を追求してまいります。内視鏡による低侵襲診断、腹腔鏡手術器具や内視鏡用処置具による低侵襲治療といった、診断から処置までの一貫した展開を図るとともに、ニューセラミックス、眼内レンズなどの生体機能置換製品の市場をグローバルに開拓することを主軸とします。研究開発投資、M&Aを通じた製品開発力の向上と、国内外の営業・マーケティング体制の拡充により成長を加速させ、事業規模の倍増を目指します。
●オプティクス分野(光学ガラス・レンズ、デジタルカメラモジュール、微小レンズなど): 設計から材料、レンズ、加工、モジュールまでの垂直統合により、コスト競争力を高めると同時に技術開発力を質的に転換し、強化いたします。また、HOYAとペンタックスの製造拠点、顧客基盤を相互利用することにより、成長著しいアジア新興勢力を含めた今後の業界の構造変化に対応しうる競争力を確保し、持続的成長を果たす所存です。
●情報エレクトロニクス分野(マスクブランクス、ガラス磁気ディスクなど): 世界トップシェアの事業であり、統合後の新会社の収益力の中心事業として競争力の強化と事業成長を図ります。
●アイケア分野(メガネレンズ、コンタクトレンズ): 安定的成長が期待できる事業であり、統合後の新会社のもう一つの中心事業として、競争力の強化と事業成長を図ります。
●イメージングシステム分野(デジタルカメラ、双眼鏡など): 高付加価値かつユニークな技術による製品で差別化を図ることで、競争力を発揮できる分野に特化して、事業価値を高めてまいります。また、新しい光学機器システム技術を生み出す母体と位置づけ、ライフケア分野、セキュリティ分野などにも水平展開を図る所存です。
●新規分野、その他の分野(ビジネスシステム・測量機器など)においても、将来的に収益力の強化および成長が見込まれる事業には積極的に投資を行う一方、選択と集中による事業の効率化と経営資源の有効活用を目指します。
2. 基本合意に至る経緯
HOYAは光学ガラスを出発点に、光学材料と精密加工技術を活かして事業領域を拡大してまいりました。積極的な技術革新によりグローバルにニッチな市場を創造し、トップの地位を確立することで高収益を実現しております。情報エレクトロニクス分野では半導体関連のマスクブランクスやHDD用ガラス磁気ディスク基板において世界でトップシェアを誇り、光学ガラス・レンズなどで世界のトップメーカーの一角をなしています。またアイケア分野でもメガネレンズなどでトップメーカーの一角を担っています。新たな事業領域の開拓にも積極的に取り組んでおり、中長期的には医療関連分野を更なる成長の中核と位置づけ、白内障治療に用いられる眼内レンズのグローバル展開に着手しております。
ペンタックスは、長年蓄積されたカメラ、レンズの開発から製造までのノウハウを活かし、その光学技術をコアとして、光学設計や画像処理などの技術を多様な製品分野へ応用することにより、光学・精密機器分野において技術力に裏打ちされた事業展開を進めてまいりました。ライフケア事業においては、内視鏡分野で早期から海外での展開を進め、グローバルな地位を確立しているほか、メディカルアクセサリー、骨補填材として用いられるニューセラミックスなどといった多様な製品を展開しております。オプティカルコンポーネント事業においては、デジタルカメラモジュール及びDVD/CD互換回折ピックアップレンズなどの高度な光学技術を軸に競争力を発揮しているほか、イメージングシステム事業においてもデジタルカメラで世界的なブランド力を誇っています。中長期的にはライフケア事業を成長戦略の中心に据え、事業の成長と拡大に向けてM&A、アライアンス、研究開発に積極的投資を行うなど、意欲的展開を通じて収益力の強化を進めております。
HOYAとペンタックスは光学技術の医療分野への応用において、内視鏡による診断、低侵襲治療およびニューセラミックス、眼内レンズなどの生体機能置換製品といった高度な医療製品を展開してまいりました。この分野においては市場が世界の広範な地域に拡大しつつあり、大きな成長が見込まれる一方で、競争がグローバル化していることから、将来にわたって成長を遂げるためには、製品開発およびM&Aを通じて技術面における優位性を確立するとともに、グローバルなマーケティング体制を構築することが喫緊の課題であるとの認識を深めてまいりました。
また、カメラのデジタル化以降、光学機器、関連部材の産業構造は大きく変化を遂げております。光学材料と光学機器の分野においては、アジア勢が強力な競争相手として著しい成長を見せており、その価格攻勢および高付加価値化は今後も続くものと見込まれます。さらに、デジタルカメラ分野では、従来の光学メーカーに加えて家電メーカーが参入するなど、競争は激化の一途をたどっています。このような環境の中で継続的な成長を遂げるためには、さらなる原価低減によるコスト競争力の強化に加え、技術を軸として付加価値を高めることで徹底した差別化を図ることが必要であり、そのためには事業構造の質的な転換が不可欠であると考えられます。
こうした認識のもと、HOYAとペンタックスは最良のパートナーとして各分野における互いの強みを組み合わせ、強固な事業構造を構築するとともに、戦略領域に経営資源を重点的に配分しうる体制を早急に整えることにより、事業の成長を加速するべきであると考え、今回の基本合意に至りました。
3. 統合形態
HOYAとペンタックスは、HOYAを存続会社として合併します。
4. 統合時期
合併期日は、平成19年10月1日を予定しております。
5. 商号
統合後の新会社名はHOYA ペンタックス HD(エイチディー)株式会社とし、英文名称はHOYA PENTAX HD Corporationとする予定です。
6. 組織・体制
(1)コーポレートガバナンス体制
統合後の新会社は委員会設置会社として、強固なコーポレートガバナンス体制を整えてまいります。取締役会は10名の取締役によって構成し、社外取締役5名、社内取締役5名(HOYA3名、ペンタックス2名の予定)とすることで、経営の透明性を確保いたします。
統合後の新会社の取締役会会長には浦野文男(現ペンタックス代表取締役社長)、代表執行役最高経営責任者には鈴木洋(現HOYA 代表執行役最高経営責任者)が就任する予定です。
(2)組織
統合後の新会社の組織体制は、「小さな本社と権限委譲された事業部門」を基本とし、適切な経過措置を経て、戦略本社機能を担うコーポレート部門と各事業分野に再編いたします。主な事業分野についての現時点における再編の方針は以下のとおりです。なお、統合後の新会社においては、事業分野ごとにHOYA、ペンタックスそれぞれのブランドを活かしてまいります。
・ ライフケア分野:HOYAのメディカル事業と、ペンタックスのライフケア事業を統合
・ オプティクス分野:HOYAのオプティクス事業と、ペンタックスのオプティカルコンポーネント事業を統合
・ 情報エレクトロニクス分野:HOYAのエレクトロオプティクス分野よりオプティクス事業を分離
・ アイケア分野:HOYAのアイケア分野よりメディカル事業を分離
・ イメージングシステム分野:ペンタックスのイメージングシステム事業を維持
・ その他の分野:HOYA、ペンタックスそれぞれの事業を維持
・ 研究開発部門:HOYAのR&Dセンターとペンタックスの研究開発本部をコーポレート部門として統一
7. 合併比率
ペンタックスの株主にはペンタックスの普通株式1株につきHOYAの普通株式0.158株が割り当てられます。
合併比率については、公平性を期すため第三者機関のフィナンシャル・アドバイザーとしてHOYAはUBS証券会社に、ペンタックスはモルガン・スタンレー証券株式会社にそれぞれ合併比率の算定を依頼し、その算定結果を参考にHOYA、ペンタックスで協議し決定したものです。両ファイナンシャル・アドバイザーはそれぞれ市場株価分析、DCF(ディスカウンテッド・キャッシュフロー)分析、類似企業比較分析等を用いてHOYA、ペンタックスの企業価値・株式価値を算定しました。これらの分析に基づき、HOYA及びペンタックスは、UBS証券会社及びモルガン・スタンレー証券株式会社より、それぞれ本合併比率が財務的見地より妥当である旨の意見書を取得しております。
また、UBS証券会社及びモルガン・スタンレー証券株式会社は、HOYAまたはペンタックスの関連当事者に該当しません。
なお、上記合併比率は、算定の基礎となる諸条件に重要な変更が生じた場合には、変更することがあります。
(※ 以下、詳細は添付資料「オリジナルリリース」を参照してください。)