富士キメラ総研、「2007 ストレージ関連市場総調査」結果を発表
フラッシュメモリ、HDD、DVD、次世代DVDなど外部記憶装置の世界市場を調査
-2011年の世界市場は06年比22%増の11兆6,000億円に拡大-
●次世代DVDドライブ(PC用)は5,515億円、06年の223倍に
●HDDは4兆3,277億円、06年比29.6%増に
●SSDは2,283億円、06年の7倍に
マーケティング&コンサルテーションの(株)富士キメラ総研(東京都中央区日本橋小伝馬町 社長 表良吉 03-3664-5841)は、外部記憶装置(ストレージドライブ)と、関連するメディア、デバイス・マテリアル47品目の世界市場を調査した。PC分野、Non-PC分野、ネットワーク分野に於ける外部記憶装置(ストレージ)の将来像予測と関連デバイスの市場動向及び技術動向を総括した。
この結果を報告書「2007 ストレージ関連市場総調査」にまとめた。
<調査結果のまとめ>
主要外部記憶装置(ストレージドライブ)の世界市場推移
※添付資料を参照
近年のインターネットやブロードバンド通信技術の進展により情報を効率的に記録・格納・管理する必要が急速に増加し、外部記憶装置(ストレージドライブ)の急速な進化と容量規模の拡大を背景に、新たなハードウェア、ソフトウェア製品のビジネスチャンスが創出されている。
今回の調査で取り上げた外部記憶装置14品目を合わせた市場規模は前年の9兆7,122億円から、06年は1.7%減の9兆5,479億円になる見込みである。しかし、11年は06年に比べ22%拡大して11兆6,000億円の市場になると予測する。
06年に市場がマイナス成長に転じる主な要因には、PC生産が当初見込みを下回り、PC用各CDドライブ(CD-ROM、CD-R/RW、Combo Drive)の減速があげられる。CD-ROM、CD-R/RW Driveは数量、金額ともに大きく減少し、Combo Driveも数量はプラスになるが金額は大幅マイナスとなる見込である。
AV分野のDVDプレーヤとDVDレコーダは市場飽和を迎えようとしている。プレーヤは10年、レコーダは11年に次世代DVD機に市場規模を逆転されて世代交代すると予測する。HDDは06年に単価下落が急速に進んだ。特に、2.5インチ型HDDの低価格化が進み、金額ベースの伸びは少なかった。一方、フラッシュメモリ市場では、07年以降、PC用のHDDキャッシュ向けの組み込み装置として、ハイブリッドHDDやNANDメモリをPCマザーボードに実装するRobson、そしてHDD代替のSSDの需要が立ち上がる。
1.注目されるストレージドライブ
(1)次世代DVDプレーヤ(Blu-ray Disc/HD DVD/Universal Player)AV分野
2011年予測 3,300万台、1兆1,100億円(06年比83倍)
06年のワールドワイドの次世代DVDプレーヤ市場は、数量ベースで24万台、金額ベースで134億円という結果になる見込みである。BD(Blu-ray Disc)プレーヤはSamsungELが06年6月に、ソニーが同じく12月に発売を開始した。06年は北米/日本を中心に市場を形成し数量ベースで4万台、金額ベースで41億円程度の実績を残すものと見込んでいる。HDDVDは東芝が06年3月に発売し12月には後継機を発売した。06年のHDDVD市場としては、数量ベースで20万台、金額ベースで93億円と見込んでいる。両規格対応のUniversal Playerは今年年初に米ラスベガスで開催された世界最大の家電見本市(CES)でLG電子(韓国)から発売が発表された。08年には数量ベースで120万台、金額ベースで1,050億円の市場と予測する。09年までは、両規格陣営が市場を形成するが、10年以降はUniversal Playerに集約されていく見通しである。
(2)ハードディスクドライブ
2011年予測 6億5,400万台、4兆3,277億円(06年比29.6%増)
3.5"HDDからモバイルHDD(1.8"、1.0"以下)までを対象とした。
06年のワールドワイドのHDD市場は、前年比13.1%増の4億2,970万台、金額では前年比1.8%増の3兆3,380億円となる見通しである。06年は、大幅な単価下落により金額ベースの伸びは低くなる。また06年はPC生産が当初の見込みよりも低くなったため、HDD生産台数も前年比10%台前半の増加で落ち着いたと見られる。05、06年のNANDフラッシュメモリの容量単価の下落率は、50-60%となっている。07年以降は再び40%前後に戻る見通しであるが、1.0インチ以下のHDDの市場性は低くなろう。今後は1.8インチHDDとNANDフラッシュメモリの競合が激化する見込みだが、単純な容量単価の比較では、1.8インチHDDが11年までは有利になると予測している。
2006年のメーカーシェアは、Seagate Technologyが約36%、 Western Digital、日立GST、Samsung、東芝、富士通と続く。
(3)SSD(Solid State Drive=HDD代替のNANDフラッシュメモリを使用したドライブ)
2011年予測 1,033万台、2,283億円(06年比6.8倍)
90年代から軍需と産業用途で使用されており、PC向けは、Samsungが06年から自社、ソニー、富士通のノートPCに供給を開始している。回転機構がないため、振動や衝撃に強く、伝送速度も速い。コストと、Multi Level Cellでは書き換え回数が課題である。07年には日系PCメーカーの大半がノートPCに標準/オプション採用する見通し。06年のワールドワイドの市場規模は、PCで5万台、その他用途向けで120万台と見込んだ。07年以降、PC向けが拡大し11年にはPCで800万台、車載用で80万台(HDDナビの代替需要)、その他産業用途で153万台を想定している。11年までのスパンでは、SSDのPCへの採用はノートPCの一部に限定されると予測する。
2.注目されるストレージデバイス
NANDフラッシュメモリ
2011年予測 427億個(2Gbit換算値)、2兆6,188億円 06年比79.2%増
06年ワールドワイドの市場規模は、前年比20.3%増、約1兆4,600億円と見込まれる。また数量では、2Gbitに換算して約24億個、前年の3倍になったと見られる。06年のメーカー別生産枚数シェアは、Samsung(韓国)が50%を占めて首位、東芝/Sandisk連合、Hynix(韓国)が続く。
11年には携帯電話内臓や新規需要としてPC向けで8Gbit、リムーバブル向けで16/32Gbitが主流になると予測する。11年には2Gbitに換算した数量で06年比約18倍、金額では2.6兆円規模になると予測する。SSDはノートPC向けで64Gbit以上の製品が800万台あると想定しており、11年のNAND総容量、約11兆メガMバイトの8%程度を占める。
フラッシュメモリの使用製品はメモリーカードが約50%を占め、ポータブルオーディオ、USBメモリが続いている。デジタルスチルカメラ(DSC)の外付けメモリーカード需要を中心に拡大してきたが05年からはiPodに代表されるポータブルオーディオや携帯電話向けの内蔵メモリ、カードが市場の牽引役となっている。07年以降、新たな需要としてPCが加わる。HDDキャッシュ(高速記憶)技術であるハイブリッドHDD、Robsonの需要やHDD代替のSSD(Solid State Drive)装置が期待されている。
コンテンツは、「写真データ」から「音楽データ」へと保存するデータ容量が増大する。さらに今後はDVCや携帯電話などにおける「動画データ」の格納用途が成長の鍵を握る。
3.主な使用製品市場とストレージドライブの採用動向
(1)デジタルAVレコーダ
2011年予測 6,494万台 06年比64.2%増
TV映像を記録するデジタルAVレコーダであり、DVD単体・VCRコンボ、DVD・HDDコンボ、次世代DVD単体、HDD単体、VCRなどを対象とした。今後は高画質映像を扱うニーズが高まるために大容量ストレージドライブに対する注目度はさらに加速する。
06年以降、次世代DVD(Blu-ray Disk/HD DVD)の規格統一の可能性がほぼ失われて、両陣営の主導権争いは様々な業界を巻き込み更に激化する。
06年のワールドワイドのAVレコーダ市場は前年比6.8%増の4,000万台となる見込みである。日本や欧州市場はDVD+HDD/DVD+VCR+HDDといったハイエンド機種のニーズが高く、北米ではDVD単体が主流となっている。11年まで市場はDVD+HDDを主流に成長すると予測する。
●ストレージドライブ搭載状況
06年のAVレコーダのストレージ搭載率は、DVD41.1%、HDD38.4%、VCR20.4%、次世代DVD0.1%になる見込みである。しかし11年には、現在と様変わりしてDVDの搭載率が35.6%、HDD54.1%、VCR3.4%、次世代DVD6.9%になると予測する。今後5年間でVCRはDVD+HDDの生産台数を下回り、低コスト化したDVD、HDDに移行する。07年には次世代DVDの市場拡大も予測され、11年予測ではDVDレコーダ市場の約7%は次世代DVDに移行する。家庭用AVのDVDプレーヤ市場も6,800万台程度を維持し、PCドライブと並ぶ最大の使用製品となる。
(2)デジタルカメラ(スチルカメラとビデオカメラ)
2011年予測 1億3,250万台 06年比19.4%増
06年のワールドワイドのデジタルスチルカメラ(DSC)市場は、数量ベースで前年比約10.7%増の9,300万台となると見込む。06年のデジタルビデオカメラ(DVC)市場は前年比12.5%増の1,800万台となる見込である。先進諸国では、買換え需要がメインであり、今後は新興市場での需要の伸びが市場を牽引すると見られる。テープレス方式へのシフトが始まっており、DVDカムやHDDカムがウエイトを増している。06年、DVCではソニ-がトップであるが、DSCではキャノンが首位のソニーを抜く見込みである。
●ストレージドライブの採用状況(DSCはフラッシュメモリ、DVCはDVD/HDD搭載とする)
DSCはカメラ付き携帯電話とDVCの静止画撮影機能と競合するケースも想定できるが、実際には光学系の相違などによって棲み分けされており、市場を侵食されることはほとんどない。DVCはテープレス方式へのシフトや、HDV方式、ハイブリッド方式の登場、フラッシュメモリカムによって開拓された新市場の拡大など搭載ストレージによる差別化が進んでいる。
(3)ポータブルオーディオプレーヤ
2011年予測 1億5600万台 06年比34.5%増
フラッシュメモリ、HDD、MD、CD、カセットテープ型のポータブルオーディオプレーヤ対象。
06年の市場規模は前年比25.5%増、1億1,580万台となる見込である。フラッシュメモリ型が113.7%増と大きく貢献している。HDD型はこれに市場を奪われている。MD型、CD型、カセットテープ型が軒並み減少する見通しである。デジタルオーディオは、06年にAppleが投入した「iPod nano」(2/4GBフラッシュメモリ)、「1.8"HDD型iPod」(30/80GB)に代表されるように今後はミドルからローエンドクラスで小型のフラッシュ型と、大容量+動画対応のHDD型、という構図で棲み分けながら拡大していくと考えられる。07年以降の成長率は次第に落ち着くと予測する。
●ストレージドライブの採用状況
06年のポータブルオーディオ向けストレージドライブ市場はフラッシュメモリ6,410万台、HDD1,940万台、MDドライブ280万台、CDドライブ2,500万台、カセットデッキ450万台になる見込である。さらに、11年のストレージドライブ市場はフラッシュメモリ型が06年から1.8倍の1億1,455万個、HDD2,546万台(同1.3倍)、CDドライブ1,500万台(同40%減)、カセットデッキ50万台(同89%減)になると予測する。
以上
<調査方法>
対象企業約50社に対して、富士キメラ総研専門調査員が直接面接取材及び電話取材し、関連文献、富士キメラ総研データベースを併用した。
<調査期間>
2006年10月~2006年12月
<調査対象>
(1)ストレージドライブ 17製品
CD-ROMドライブ、記録型DVD、次世代DVD、DVDレコーダ、HDDなど
(2)ストレージメディア 15品目
CD-R、CD-RW、DVD±R/RW、DVD-RAM、HD、データテープなど
(3)ストレージデバイス/マテリアル 15品目
光ピックアップ、半導体レーザ、ハードディスクサブストレートなど
<為替レート> 本調査資料では下記のレートを採用している。
年度 2004年 2005年 2006年 2007年以降
円/USドル 110 110 115 115
タイトル :「2007 ストレージ関連市場総調査」
体 裁 :A4判 350頁
価 格 :97,000円(税込み101,850円)
調査・編集 :株式会社 富士キメラ総研 研究開発本部 第一研究開発部門
TEL:03-3664-5815 (直) FAX:03-3661-5134
発行所 :株式会社 富士キメラ総研
〒103-0001東京都中央区日本橋小伝馬町2-5 F・Kビル
TEL03-3664-5841(代) FAX 03-3661-7696 e-mail:koho@fuji-keizai.co.jp
この情報はホームページでもご覧いただけます。URL:http://www.group.fuji-keizai.co.jp
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