米ザイリンクス、FPGAプラットフォーム用デザインツール「ISE」の最新版を発売
ザイリンクス、FPGAプラットフォーム用デザインツール
ISEの新バージョン9.1iを発表
新しいSmartCompileテクノロジで強化されたISE 9.1i により、
設計スピードを最高6倍に高速化、デバイス性能も30%向上が可能
プログラマブル・ロジック・ソリューションのリーダであるザイリンクス社は1月15日(米国時間)、FPGAデザインで最も広く用いられ、かつタイミング・クロージャ、生産性および消費電力問題などの設計課題に対応した統合ソフトウェア環境ISE(Integrated Software Environment)の最新バージョンを発表した。このISE 9.1iでは従来のバージョンに比べ実行速度が2.5倍高速化されていることに加えて、SmartCompileテクノロジの導入により論理変更が施されなかったブロックのロジック構成をそのまま保持しながら全体の設計速度を最高6倍まで速めることが可能である。ISE 9.1iは、65nmのVirtex-5プラットフォームに採用されているExpressFabric テクノロジを最適化し、競合のソリューションと比較して速度性能を平均で30%向上することを可能にしている。また、消費電力の要求が厳しいアプリケーションに対して、ISE 9.1iを使用することにより平均10%のダイナミック消費電力削減が可能であり特に優位性をもつ。
この革新的なテクノロジはザイリンクスとSynplicityが進めている「超高集積タイミング・クロージャ・タスクフォース」での技術開発を補完するもので、タイミング・クロージャの最速パスを確保し、業界をリードする生産性を提供すると同時に、最先端のVirtex シリーズとSpartan-3 ジェネレーションFPGAの消費電力と性能の最適化を図るものである。
<生産性の向上>
現在、回路設計時に、部分的に少しずつ追加される変更の度に全体の回路を再インプリメントするというプロセスで多くの時間を費やしている。これらの再インプリメントは時間がかかるだけでなく、変更とは直接関係ない回路の一部に悪影響を与えるリスクがある。ザイリンクスのSmartCompileテクノロジはこれらの問題を以下の技術で解決する。
・Partition(分割):
既存の配置配線を厳密に保持しながらカットアンドペーストできる自動分割機能により、デザイン・サイクルの後段階でのマイナー・チェンジの影響を最小化し、再実行時間を2.5倍高速化する。
・SmartGuide:
前回のインプリメント結果を活用することによって、小さな変更に対する再インプリメント時間を平均で半分に短縮する。
・SmartPreview:
配置配線プロセスの中断と再開が可能になり、デザインの状態を途中段階での評価用に中間結果を保存することができる。配線の状態やタイミング設計結果のようなデザイン情報を途中で事前評価することにより、ユーザは回路全体の完全なインプリメントが終わるのを待たずに重要なトレードオフの判断ができる。
SmartCompileテクノロジは、最高で6倍高速化、回路分割の正確な保存、および最終性能の早期把握を可能とする可視性向上で、設計生産性を1桁改善することができる。これらの改良は複雑で挑戦的なデザインでの2.5倍の高速化に加えて生産性を大幅に高める効果を持つ。
Anagran社のアレックス・ヘンダーソン(Alex Henderson)CTOは、「弊社ではPowerPC、MGT、Ethernet MAC、DSP48ブロック、FIFO、SERDESを始めとする、Virtex-4 FXで提供されているシリコン機能の大部分を利用しているため、デザイン検証の難易度は極めて高くなります。ISE 9.1iはタイミング制約条件を極めて容易に満たし、フロアプランニングのような人手を介する設計見直しの必要性を低減してくれます。ISE 9.1iではコンパイル時間も短縮されており、同じ回路で従来のISEで設計したフロアプランと比較して35%の時間短縮が実現しました。この新しいSmartGuideテクノロジにより、設計見直しの繰り返しで費やされるコンパイル時間について30%から50%もの短縮が可能であったという結果を得ています。このことにより、ISE 9.1iは設計時間を大幅に短縮してくれると確信を持っています」と語っている。
ISE 9.1iは以下のユーザ・インターフェイス強化策により、複雑性を緩和しFPGA設計者を支援する。
・ISEグラフィカル・ユーザ・インターフェイスからコマンドライン環境への移行を容易にするTc1コマンド・コンソール
・結果を再現するために必要であり、ソース・コントロールのためにインポートおよびエクスポートが可能なファイルを特定するソースコード互換性チェック機能
<タイミング・クロージャの高速化>
ISE Fmaxテクノロジの機能をベースに構築されたISE 9.1iデザインツールで特に注目すべき特徴は、高集積Virtex-5ベースのデザインの高性能結果と迅速なタイミング・クロージャである。ISE 9.1iの統合タイミング・クロージャ・フローは、強化された物理合成最適化機能を伴い、より高品質な結果を提供する。最適化された配線アルゴリズムは65nm Virtex-5 プラットフォーム のExpressFabricテクノロジによる斜め配線の効率的な利用を可能としており、遅延を最小化すると同時に高速性能を一段と高める効果を持っている。
ISE 9.1iの基盤は拡張されたタイミング・クロージャ環境、つまり制約条件のエントリ、タイミング解析、フロアプランニング、およびレポート・ビュー間の直観的な相互比較検討を可能とする仮想「タイミング・クロージャ・コックピット」であり、これによって設計者はタイミング課題をより容易に解析し、検討することができる。ISE 9.1iの統合タイミング・クロージャ・フローは、物理合成と配置タイミングの間のタイミング相関が改善された物理合成機能を含み、結果として高品質なデザインを生成することが可能である。
<消費電力の最適化>
ザイリンクスの合成テクノロジ(XST:Xilinx Synthesis Technology)と配置テクノロジにおける新しい消費電力最適化手法は、配線方法の改良と併せて、たとえばSpartan-3シリーズFPGAのダイナミック消費電力において平均10%の低消費電力化を可能としている。XSTは乗算器、加算器、BRAMのような機能ブロック上でのマクロプロセッシングに対して、特に低消費電力化を意識した最適化を可能とする。配置配線アルゴリズムは低消費電力化の配置戦略をとり、デバイス内の低容量ネットの採用を優先させて速度性能を犠牲にすることなく消費電力の最適化を図る。
<価格設定と供給体制>
ISE Foundation 9.1iはすでに利用可能で、価格は2,495米ドルからとなっている。60日間の期間限定の評価版も無料で提供される。ISE 9.1iソフトウェア・パッケージのすべてのバージョンはWindows 2000 、Windows XP Professional およびLinux Red Hat Enterprise 3.0と4.0 をサポートしており、ISE FoundationはSolaris 2.8 と2.9もサポートしている。
世界中で30万人を超えるユーザを抱えるISEソフトウェアは、Virtex-II、Virtex-II Pro、Virtex-4 および Virtex-5 プラットフォームFPGA、Spartan-3ジェネレーションFPGA、およびCoolRunner-II CPLDを含むザイリンクスの製品ファミリすべてに、直観的でフロント・ツー・バックのデザイン環境とプログラマブル・ロジック・デザイン・ソリューションを提供している。ISE 9.1iに関する詳細情報は Webサイトhttp://japan.xilinx.com/ise/marketing/でも入手可能である。
※このプレスリリースに記載されている会社名、製品名は、各社の登録商標または商標です。
<ザイリンクスについて<>
ザイリンクス社(NASDAQ:XLNX)は、プログラマブル ロジック ソリューションを提供するリーダである。1984年に創立され、米国カリフォルニア州サンノゼに本社を持つ。日本においては、1989 年にザイリンクス株式会社を設立し、FPGA および CPLD 製品とその開発支援システムの販売とサポートを積極的に行っている。同社についての詳細な情報は日本語対応ホームページ http://japan.xilinx.com/で公開している。