JFEスチール、非接触かつ面状での自動計測が可能な腐食診断装置を開発
配管腐食診断装置『Scan-WALKER(R)』 を開発
~非接触・連続自動計測により、診断を効率化~
当社はこのたび、鋼製配管や構造物の腐食減肉状態を、非接触かつ面状での自動計測が可能な腐食診断装置『Scan-WALKER(R)』を開発・導入いたしました。この装置は、センサーに低周波電磁誘導を原理とした16チャンネルの検出コイルを装備し、80mm幅で計測を行うため、広域範囲の腐食状態を効率的に診断することを可能とします。また、配管等の外面にマグネット車輪で吸着し、遠隔操作で360°方向に自由に走行できる自走装置にセンサーを搭載しているため、足場のない高所でも計測が可能です(写真―1、写真―2)。
老朽化した設備配管は、内部および外部から腐食が発生し、ガス洩れなどの危険性が増します。従来、配管の腐食減肉状態は、外側から超音波厚み計により測定する方法が主流でしたが、定点測定では孔食(注―1)の発見は困難であり、面状の計測には多大な労力と費用を要しました。当社では、非接触で連続的に自動計測する装置『Scan-WALKER(R)』を開発し、西日本・東日本両製鉄所のエネルギー配管を主体とした測定に活用し、大きな成果をあげています。
『Scan-WALKER(R)』は、磁化器に12Hz以下の交流電流を流すことで磁場を発生させ、鋼板の減肉した欠陥部位から漏洩した磁束を検出する、という原理を用いて測定します(図-1)。その特徴は以下の通りです。
(1) 非接触のため接触媒質が不要で、塗装や汚れ除去などの表面手入れが不要です。
(2) 連続自動計測ができ、パソコン画面でリアルタイムに計測結果(図―2)が確認できます。
(3) 計測結果は、カラーマップ表示され、欠陥位置が容易に判定できます。
(4) 画面上の任意の位置をクリックすれば、厚みや欠陥の大きさを計算し表示します。
【主な仕様】
計測可能板厚 : 保証12mm(最大16mm)
走行可能最小配管径: 500A(250R)
*これ以下の径ではセンサー手持ち測定
走行速度 : 高速1.8m/min、低速0.8m/minの2速切り替え
外形・重量 : 幅376×長さ180×高さ152mm・7.6Kg
(センサーおよびケーブル含む)
なお、今後、『Scan-WALKER(R)』は、当社のグループ会社JFEメカニカル(株)が製造・販売し、計測作業のご依頼にも応じてまいります。
(注―1) 孔食
金属の局部腐食の一種で、金属の表面に小さな孔(ピンホール と呼ばれる)ができ,その内部に腐食が進行すること。
『Scan-WALKER(R)』は、JFEスチールの登録商標です。