IDC Japan、国内通信サービス市場規模実績と予測を発表
国内通信サービス市場規模実績および予測を発表
・2006年におけるPSTN(Public Switched Telephone Network)およびISDN(Integrated Services Digital Network)で構成される音声市場は、前年比4.1%減の3兆4,000億円
・2006年における企業向けWANサービス、ブロードバンド、VoIPで構成されるデータ市場は前年比6.5%増の2兆2,000億円
・今後は音声市場の縮小が続く一方、データ市場は、ブロードバンドやVoIPが主要な成長セグメントとなり漸増傾向が継続
IT専門調査会社 IDC Japan 株式会社(所在地:東京都千代田区九段北1‐13‐5、代表取締役:竹内正人、Tel代表:03-3556-4760)は、国内通信サービス市場規模実績と予測を発表しました。これによると、2006年におけるPSTN(Public Switched Telephone Network)およびISDN(Integrated Services Digital Network)で構成される音声市場は、3兆4,000億円規模であり、前年比4.1%減のマイナス成長となりました。今後、同市場は、2006年から2011年の年間平均成長率(CAGR: Compound Annual Growth Rate)マイナス5.7%で縮小を続けるとIDCは予測しています。専用線、フレームリレー、ATM、IPベースVPN、広域イーサネット、ブロードバンド、VoIPで構成されるデータ市場は前年比6.5%増の2兆2,000億円規模でした。今後、同市場は、2006年から2011年のCAGR 3.4%と漸増傾向が続くとIDCでは予測しています。
2006年におけるデータ市場の内訳をみると、専用線市場 5,080億円、フレームリレー市場 600億円、ATM市場 426億円、IPベースVPN市場 1,880億円、広域イーサネット市場 1,903億円、ブロードバンド市場 1兆1,210億円、VoIP市場 1,086億円となっています。なお、IPベースVPN市場は、IP-VPN(スタンダード)、ライトVPN(ブロードバンドVPN/エントリーVPN)、インターネットVPNで構成され、それぞれ1,658億円、100億円、122億円となっています。今後、専用線市場、フレームリレー市場、ATM市場の縮小傾向が続く一方で、IPベースVPN市場、広域イーサネット市場、ブロードバンド市場、VoIP市場は成長するとIDCでは予測しています。
その中でも大きな市場変化として挙げられる点は、VoIP市場の急速な成長とIPベースVPNの成長の鈍化です。2006年におけるVoIP市場は、先述の通り1,086億円に達し、前年比で44.4%の伸びを示しています。今後、同市場は、2006年から2011年のCAGR 24.5%で成長を続けるとIDCでは予測しています。一方、IPベースVPN市場は、2006年におけるIP-VPN(スタンダード)市場は、先述の通り1,658億円に達していますが、前年比でマイナス1.4%を示しており、今後、同市場は、2006年から2011年のCAGRはマイナス0.6%で推移する見込みです。また、その他のIPベースVPN、広域イーサネット、およびブロードバンド市場は、順調に成長を続けながらも予測期間の後半から成熟の色合いを強めるとIDCではみています。
VoIP市場変化の最大の要因として、FTTH市場の成長が挙げられます。2006年のFTTH加入者数は800万近くに達し、ADSL加入者数は1,400万を超えるとみられますが、その差は、2007年で急速に狭まり、2008年には逆転するとIDCでは予測しています。2010年にBフレッツのユーザー数の目標を3,000万加入とするNTTの取り組みは、2006年のFTTH加入者数を確実に押し上げており、今後もこの増加基調が継続すると予測しているためです。
またFTTH、特にNTT東日本およびNTT西日本が提供するBフレッツの普及が拡大するとともに、IP-VPN(スタンダード)に接続される拠点の一部が、より低廉なBフレッツをアクセスとするインターネットVPN/ライトVPN接続に置き換わる可能性が高いと考えられます。これにより、IDCでは、2006年からIP-VPN(スタンダード)のアクセス回線契約数および売上高ともに減少に転じる、と予測を修正しました。
IDCが実施したユーザーデマンド調査結果によれば、光ファイバーの普及率は、すべての業種で40%前後を超え、社会インフラ、サービス、流通では60%以上となっています。特に流通は、1年以内に使用開始を予定しているとの回答が10%と最も高く、流通分野における堅調なインターネットVPNへのニーズと相まって、さらに光ファイバーの採用が進む可能性が高い分野です。
「2006年の国内通信サービス全般を見ると、法人向けサービスおよびコンシューマー向けサービスともに光ファイバーの普及拡大の影響が強くうかがえる。しかし、低廉なサービスの普及が拡大していることで、法人向けサービスの収益性が低下している。収益性向上のために、ネットワークの信頼性や品質の向上を図りながら、コスト以外にこれらの要素を重視するユーザー層をターゲットとする戦略がより一層重要になる」とIDC Japan コミュニケーションズのシニアマーケットアナリストである門脇 博之は分析しています。
今回の発表はIDCが発行したレポート「国内通信サービス市場 2006年の分析と2007年~2011年の予測」(関連リンク参照)にその詳細が報告されています。本調査レポートでは、2006年の国内通信サービス市場の動向について分析し、2007年から2011年までの市場予測を提供しています。市場分析は、主に『2006年 国内通信サービスの企業ユーザーデマンド調査(IDC #J6060104、2006年6月発行)』の調査結果、およびサービス提供事業者への取材内容および各社決算報告などのデータに基づいています。これにより、2007年から2011年までの市場予測では、最新の市場動向の変化を反映して更新を行いました。
(※レポートの詳細については IDC Japan へお問合せ下さい。)
【レポート概要】
国内通信サービス市場 2006年の分析と2007年~2011年の予測
http://www.idcjapan.co.jp/Report/T-com_Service/j7040102.html
<参考資料> (*関連資料参照)
図1. 国内音声(PSTN、ISDN)市場 エンドユーザー売上額および回線契約数予測、2005年~2011年
図2. 国内法人向けWANサービス市場 エンドユーザー売上額予測、2005年~2011年
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