日産自、交通事故低減のため携帯を使ったITSシステムの開発・実験を開始
日産自動車、歩行者の交通事故低減を目指した
携帯電話協調ITSシステムの開発及び検証実験を開始
日産自動車株式会社(本社:東京都中央区銀座 社長:カルロス ゴーン)は17日、車両対歩行者の交通事故低減を目的とし、車両やドライバー、及び歩行者が所持する携帯電話の通信を活用したITSシステムを開発し、車両への歩行者検知情報の提供について検証実験を開始すると発表した。
同社は、2007年4月以降、各携帯電話事業者が新規に提供する第3世代携帯電話*1が、原則としてGPS測位方式による位置情報通知機能を持つようになったことを受け、歩行者の所持する携帯電話の位置情報を利用して、クルマやそのドライバーと、歩行者が所持する携帯電話を通信させ、クルマ単独では対応が難しい「見えにくい場所にいる歩行者」に対する交通事故の低減を目指すシステムを開発する。
本システムの具体的な開発、及び検証実験内容は以下の通りである。
(1)携帯電話のパケット通信*2を利用して、車両のプローブ情報(走行情報)*3と歩行者が所持する携帯電話の位置情報を収集する。
収集した情報から走行車両と歩行者の位置関係を明らかにする。
(2)車両の進行方向前方に存在する歩行者を検出し、注意喚起が必要と判断した場合に、車両へ歩行者の存在情報を提供する。
同社は車両や歩行者の進行方向、また車両の走行速度や歩行者の移動速度、さらには車両と歩行者の距離など様々な条件に応じて詳細な実験を行い、どのような歩行者の情報をどのようなタイミングでドライバーへ報知するのが交通事故低減に寄与するのかを検証していく。また、ドライバーへの最適な報知方法(画面表示、音声など)についても、あわせて検証する。
尚、本システムの開発及び実験において、携帯電話を活用する通信技術については、株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ(以下、NTTドコモ)の技術協力を得て進める。
日産は、2006年10月より神奈川県において、交通環境の情報を利用した交通事故低減と、渋滞緩和を推進するSKY(スカイ)プロジェクト*4の実証実験を行っているが、今回の開発及び実験は、本プロジェクトの発展を主眼に、実施するものである。同社は、SKY(スカイ)プロジェクトで効果を検証して成功事例を築き、これを広く普及していきたいと考えている。
*1:高速なデータ通信や、音声、画像、動画等の大容量マルチメディア通信を可能とするITU(国際電気通信連合)が定めた「IMT-2000」規格に準拠したデジタル携帯電話。NTTドコモの「FOMA」は、W-CDMA方式を使用し、2001年10月より世界に先駆けてサービスをスタートさせた。「FOMA」はNTTドコモの登録商標。
*2:送受信するデータをある一定の大きさに小さく分割して通信する方式。データを小さく分割することによって、複数の人が一つの回線を共有することができ、通信回線を有効に利用することが可能となる。
*3:無線通信技術を用いて得られる車両の位置、速度などの情報。
*4:道路上にある通信設備などのインフラとクルマとの間で連携を行い、周辺車両の状況や自車を取り巻く交通環境の情報を利用して、クルマ単独では対応が難しい「見えにくい相手(交差点出合頭など)」に対する交通事故の低減を目指す。また、プローブ情報を活用して交通渋滞の緩和を推進し、ニッサン・グリーンプログラム2010で推進するCO2削減に寄与する。
以 上