JR東海と日立、二ホウ化マグネシウムを用いた超電導磁石を開発
二ホウ化マグネシウムを用いた超電導磁石の開発に成功
東海旅客鉄道株式会社と株式会社日立製作所では、金属系の新しい超電導物質として昨今注目を集めているMgB2(二ホウ化マグネシウム)超電導線材において、これを用いた従来と比べ大型(直径500mm)の超電導コイルを共同開発しました。
このコイルを使って、液体ヘリウムなどの液体冷媒を使用せず、冷凍機による伝導冷却方式により、超電導磁石として機能させる試験に世界で初めて成功しました。
1.今回の開発
(1)ポイント
・コイルの大型化(直径30mm⇒直径500mm)
・冷却方式の変更(液体ヘリウムなどに直接浸して冷却⇒伝導冷却)
(2)MgB2超電導コイル
・開発した超電導コイルは、Mg(マグネシウム)とB(ホウ素)の混合粉末を電気抵抗が低い銅と鉄からなる複合金属管に充填し、直径0.7mmまで伸線加工(150m)、これを直径500mmのコイル状に巻いて、加熱処理を行ったもの。
(3)浮上試験
・当社が新たに開発した試験装置にこの超電導コイルを組み込み、重さ約630kgの錘を浮上させることに成功しました。
・この時の中心磁界は、解析上、0.05T(テスラ)程度と想定されます。
2.今後の展望
今回の試験成果は、MgB2超電導線材がより実用的なシステムに適用できる可能性を検証するものです。
超電導磁石として機能させる試験に成功したMgB2超電導コイルを広く利用するために、今後は実用化に向けた課題として下記の点を中心に研究開発を進めていきます。
(1)線材の長尺化(1,000m級)に取り組み、コイルの大型化を目指します。
(2)線材自体の超電導電流特性の向上に取り組み、より高い発生磁界を目指します(中心磁界1~2T程度)。
(3)今回の研究開発を進めることにより、超電導フライホイール、医療診断機器MRIなどへの利用も期待できます。
※詳細は別紙「二ホウ化マグネシウム」をご覧下さい。