富士通、フルHDの映像を「H.264」方式でリアルタイムに圧縮・復元が可能なLSIを開発
業界初!フルHD対応、H.264映像処理1チップLSIを新発売
当社は、フルHD(1,920ドット X 1,080ライン)の映像をH.264(注1)方式でリアルタイムに圧縮・復元が可能なLSI「MB86H51」を開発し、7月1日よりサンプル出荷します。本製品は、メモリ内蔵型でフルHDのH.264ハイプロファイル(注2)に対応した映像処理LSIとして、業界で初めて1チップ化したものです。
本製品により、デジタルビデオカメラ、ハードディスクレコーダ、ホームネットワーク機器、監視カメラや放送機器など、民生用途から業務用途までの幅広い分野において、高精細フルHD映像の高画質な録画・再生・伝送が可能になります。
■MB86H51 製品写真
(※添付資料を参照)
ビデオカメラなどのデジタルAV機器では、映像の高精細化が進んでおり、今後は特に、最も高精細なフルHD画面への要望が見込まれます。こうした大容量の高精細映像データを圧縮・復元する技術として、MPEG-2(注3)などの従来方式に比べ高い圧縮性能を持つH.264方式が急速に普及しています。
当社では、MPEG関連LSIを早くから製品化し、H.264についても規格策定段階から標準化団体に参加することで、関連技術を蓄積してきました。
今回の新製品「MB86H51」は、出荷中のHD(1,440 X 1,080)対応LSI「MB86H50」をベースに強化したものです。本製品は、株式会社富士通研究所(以下 富士通研究所)(注4)独自の高圧縮技術による処理量低減、当社の組込みメモリ技術による小型・低消費電力化を実現しており、メモリ内蔵型でフルHDのH.264ハイプロファイルに対応した製品として、業界で初めて1チップ化したLSIです。
本製品は、高精細デジタルビデオカメラやホームネットワーク機器などの民生用途から、放送機器や監視カメラなどの業務用途まで幅広く搭載可能です。
なお、本製品について、5月22日(火曜日)から24日(木曜日)にドイツ(ケルン市)で開催される放送機器に関する展示会「ANGA cable 2007」にてデモ展示を行います。
■サンプル価格、およびサンプル出荷時期
製品名 「MB86H51」
サンプル価格(税込) 3万円
サンプル出荷時期 2007年7月1日
■販売目標
2007年度500万個 (H.264対応LSI全体で)
■本製品の特長
1.業界初、メモリ内蔵による小型・低消費電力化技術
本製品は256メガビットのメモリ(FCRAM 注5)を2個内蔵し、LSI内の最適設計により、小型・低消費電力を実現しています。1チップでメモリを内蔵し、フルHD対応の汎用製品は業界初です(2007年5月18日現在、当社調べ)。
2.HDTV映像・音声をリアルタイムに圧縮・復元
H.264方式のリアルタイムの映像圧縮は、従来方式に比べ10倍以上のデータ処理が必要となります。本製品は、さらなる高速処理を実現することで、H.264ハイプロファイルレベル4.0に対応しました。また、音声もMPEG-1 Audio Layer2などのフォーマットでリアルタイムに圧縮・復元します。
3.独自の圧縮・高画質化技術
人が見て画質劣化が気になりやすい部分(顔、ゆっくり動く物体など)を常時追跡し、該当部分をあまり圧縮せずに高画質となるようにし、それ以外はできる限り圧縮するという、メリハリのある圧縮制御を行う富士通研究所独自のアルゴリズムを開発しました。これによりMPEG-2に比べ同等の画質でデータサイズを2分の1から3分の1程度に減らすことが可能になりました。
■今後の展開
当社は今後も、フルHDトランスコーダや、さまざまな映像フォーマットに対応するフルHDマルチデコーダなどH.264処理用LSIにより業界をリードし、お客様に高性能なデジタル機器向け映像処理LSIを提供していきます。
■商標について
記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。
■関連資料 (※添付資料を参照)
主な仕様
以 上
◆注釈
注1 H.264 :
映像圧縮方式の一つで、MPEG-2など従来方式に比べて圧縮率の高さが特長。ITU-T(国際電気通信連合・電気通信標準化セクタ)とISO/IEC(国際標準化機構/国際電気標準会議)が共同で策定した、最新の映像圧縮の国際標準規格。
注2 H.264ハイプロファイル:
H.264の規格で定められたHD画面に対応した映像規格。
注3 MPEG-2:
映像圧縮方式の一つでMPEG規格の一部。DVDなどで広く用いられている。
注4 株式会社富士通研究所:
代表取締役社長 村野和雄、本社 神奈川県川崎市。
注5 FCRAM(Fast Cycle RAM):
富士通独自開発の次世代メモリコア技術。従来のDRAMと比較して、高速アクセス、低消費電力を実現。