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2024'11.26.Tue
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2007'06.04.Mon

第一稀元素、田中化学と固体酸化物型燃料電池(SOFC)の電極材料を開発

燃料電池分野における新製品の開発について


 第一稀元素化学工業株式会社(以下「第一稀元素」という)は、株式会社田中化学研究所(以下「田中化学」という)と、2006年1月より、最も発電効率が高く次世代の発電システムとして有望視されている固体酸化物型燃料電池(SOFC)の電極材料の開発について業務提携を行い、共同研究を行ってまいりましたが、この度、電極の導電性(電流の流れやすさ)を大幅に向上する新製品を開発いたしましたのでお知らせいたします。




1.新製品の概要

(1)製品名:SOFCアノード用NiScSZ(低温用)及びNiYSZ(高温用)

(2)組成:NiO-ScSZ複合粉、NiO-YSZ複合粉
  (注:NiOは酸化ニッケル、ScSZはスカンジア安定化ジルコニア、YSZはイットリア安定化ジルコニアのことです。)
(3)特長:SOFCの電極に不可欠な高い導電性(電流の流れやすさ)と、燃料ガスを効率よく導通できる気孔の制御が容易な湿式製法によるSOFCアノード用粉体材料

(解説)燃料電池の心臓部であるセルは、電解質とその両側の電極により構成されており、電子が流入する電極をアノード、電子が放出される電極をカソードと呼びます。SOFC燃料電池セルの開発メーカーは、現在NiOとScSZ、YSZを独自に混合し、アノードに仕上げています。この場合、NiOは導電体、ScSZ及びYSZは絶縁体のため、NiOとScSZ/YSZの分散性が不十分(十分に混ざっていない状態)だと満足な導電性が得られないという問題があります。
 さらに、燃料の水素ガスが電解質まで達するためには電極に通気性が必要で、最も理想的な量のガスを通すような気孔を作るためには、気孔形成剤を用いるなど複雑な工程が必要であり、コスト高の要因でした。
 当新製品は、NiOとScSZ/YSZの混合を粉体になる前の中間工程段階で行い、独自のノウハウにより粒子の形状と混合状態を最適な状態で安定させ、上記の問題を解決いたしました。これは、粉体制御に高い技術力を持つ両社の共同研究ゆえに開発が可能でした。(共同開発の背景と経緯:後述)

(4)導入メリット:
 発電特性としては、2割程度の出力アップが見込まれるほか、燃料電池セルのコストダウンと品質の安定が期待できます。


2.両社の紹介

(1)第一稀元素化学工業株式会社(東証第二部4082)
 第一稀元素は、自動車排ガス浄化触媒や電子材料、酸素センサー、ファインセラミックス原料などのジルコニウム化合物を製造販売し、高純度ジルコニウム化合物では業界トップを誇ります。また、燃料電池の電解質材料としても、ジルコニウムの有望性に早くから着目し、1980年代にはイットリア安定化ジルコニア(YSZ)の工業化に成功しました。更に、東邦ガス株式会社(名古屋市)と共同で、より高性能を有するスカンジア安定化ジルコニア(ScSZ)の開発に着手し、2004年には工業化に成功しました。これは、SOFC開発の流れを変える画期的材料であり、現在は多くのSOFCメーカーに対し、グローバルに供給しております。

 代表取締役社長: 杉井洋
 所在地:       大阪府大阪市住之江区平林南1丁目6番38号
 資本金:       7億87百万円(2007年3月20日現在)
 売上高:       140億45百万円(2007年3月期実績)
 従業員:       282名(パートタイマー・派遣社員を除く)

(2)株式会社田中化学研究所(ジャスダック4080)
 田中化学は、独自技術である「粒子球状化技術」をはじめ、ナノ領域における粉体制御技術をもとに、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池などのハイテク二次電池の正極材料に事業展開し、この分野でリーディングカンパニーとして地位を確立しています。これまでは電池材料・触媒分野での製品展開でありましたが、コア技術を生かした燃料電池分野、セラミックス分野などの新規用途開発事業にも注力しております。

 代表取締役社長: 田中保
 所在地:       福井市白方町45字砂浜割5番10
 資本金:       19億10百万円(2007年3月末現在)
 売上高:       201億17百万円(2007年3月期実績)
 従業員:       120名


3.共同開発の背景と経緯

 SOFCは、燃料電池の中でも数メガワット規模の大規模な分散型発電プラントに適しており、かつ最も高い発電効率が可能なデバイスであるため、早期の実用化が期待されています。
 一方、SOFCは発電に寄与する電極部分がセラミックスで構成され、また作動温度が約700~1,000℃と高いため、耐久性が重要な課題となっております。特にアノードは、発電に必要な水素ガスが通るための気孔を保ちながら(多孔質)、発電した電気を効率良く導電させる導電パス構造を安定して維持しなければなりません。このアノードの課題を解決するため、電極材料としてより一層の高分散化と適切な気孔率が具備できるNiOとScSZ/YSZの複合粉末が求められていました。
 この課題を解決するため、ジルコニウム化合物のトップメーカーである第一稀元素と、ニッケル化合物に豊富なテクノロジーを持つ田中化学は、2006年1月に業務提携し、両社が保有する粉体合成技術を融合させ、SOFCアノードに最適なNiO-YSZ粉末、NiO-ScSZ粉末の開発に取り組んでまいりました。
 そしてこの度、これらの課題を克服できる新しい粉末の合成に目途をたて、顧客へのサンプル提供を開始いたしました。これにより、実用化が一層加速されることが期待され、両社は今後も実証試験の結果を踏まえて、さらなる改良に向けた開発を共同で行ってまいります。


4.今後の取組について

 サンプルを提供したお客様からの情報や要望をフィードバックし、さらに高性能のアノード材料の開発を進めてまいります。本件の当面の窓口は第一稀元素が担当いたします。
 また、6月3日~8日に奈良市で開催される第10回SOFC国際シンポジウム(SOFC-X)にて両社共同で展示ブースを設ける予定です。
 さらに、他のタイプの燃料電池にはない特徴として、SOFCには多様な燃料で発電できる可能性があり、それが可能となれば、SOFCの有利性が一段と増加します。そのためには、電極自体の耐硫黄被毒、炭素析出の解消、さらには耐酸化などの発電効率低下や寿命低下につながる課題を解決する必要があり、そのための、新しいNiO-ScSZ,NiO-YSZの開発も手がけてまいります。


5.事業化の目処について

 今後SOFCメーカーの開発進捗状況に合わせ、サンプル出荷および改良を進めて行き、2008~2010年には量産体制確立を図ることにより本格的な事業化を目指します。量産時の体制については未定ですが、さらに両社の強みを融合させたコラボレーションを実現させ、トップサプライヤーを目指したいと考えております。


以 上


 (参考資料:固体酸化物形燃料電池(SOFC)について)
 ※添付資料を参照

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