NEC、サービス稼動後でもシステム構成拡張が可能なマルチレイヤ仮想化技術を開発
サービス稼動後もシステム構成の拡張を可能にする
マルチレイヤ仮想化技術を開発
~サービス基盤の拡張性・信頼性向上と運用管理容易化を実現~
NECはこのたび、IT・NWサービス基盤のソフトウェア/ハードウェア構成を、サービス稼動後であっても任意に拡張可能にする「マルチレイヤ仮想化技術」を開発しました。
このたびの開発は、仮想マシン(VM)によるソフトウェアレベルの仮想化とI/O仮想化技術「ExpEther(TM)(エクスプレスイーサ)」によるハードウェアレベルの仮想化とを連携動作させることで実現したもので、システムの拡張性・信頼性を向上し、容易な運用管理を実現するための基盤技術です。
本技術により、これまで、サービス需要の伸びや障害発生時の切り替えなどを予め想定した作りこみが必要だったサービス基盤のソフトウェア/ハードウェア構成を、サービスの運用状況に合わせてサービスを止めることなく動的に再構成できるようになります。
このたび開発した「マルチレイヤ仮想化技術」の特長は以下の通りです。
(1)サービスを実行するプラットフォームの動的な再構成・移動を実現
サービス実行中にサーバの処理能力を越えるサービスの伸びや障害が発生した場合に、サービスを止めることなくサーバ(CPU/OS)を変更できます。この際、当社のハードウェア仮想化技術「ExpEther」を用いることでI/Oとサーバのグループ構成を動的に変更できるため、事前に移行元と移行先のハードウェア構成を揃えるといった手間をかけることなく任意にシステムを再構成できます。
(2)インサービスでの再構成を実現
I/O移動時の一時的なI/Oアクセス制限とデータ待避・復旧を、仮想マシンのマイグレーションを含めたシステム再構築シーケンスに同期して、細かい粒度で精細に制御しました。これにより、システム再構成のためのマイグレーションやI/Oの移動時に発生するプロセス処理の実行停止時間をサービス運用上問題のない時間まで低減し、サービスを実行したままで上記の動的再構成を可能にしました。実際に低性能サーバ上でSIPサーバソフトウェアによるサービスを実行中に、その処理に用いているsATAハードディスクと連動して高性能サーバへとマイグレーションを行ったところ、サービスを止めることなくプラットフォームを移行して処理能力を増加できることを確認しました。
NGNでは「安心・安全」で「便利・快適」なネットワークと、そのネットワーク上で様々なサービスを提供するサービスプラットフォームの開発が望まれています。このサービスプラットフォームには、新たなサービスに対応するためのシステムの高拡張性、サービスを止めないための高信頼性、提供サービスに対応してシステム構成を容易に変更できる運用容易性、複雑化したハードウェアリソースの管理容易性などの実現が求められています。
本技術は、こうした次世代サービスプラットフォームに求められる要件を実現するものです。本技術により、サービス継続中でもサービスを実行しているCPUやOSまでも含めたプラットフォームの拡張および再構成が動的に可能となり、携帯電話キャリア、データセンタ、インターネットサービスプロバイダなど、サービスを中断できない環境で、負荷変動によるシステムダウンを回避しつつ、高信頼なサービスを提供し続けることが可能になります。
NECは今後、このたび開発した「マルチレイヤ仮想化技術」の対象領域を拡大すると共に、その管理・制御技術まで連携した動的再構成方式の研究開発を進め、拡張性・信頼性の高いNGNサービスを提供する次世代サービスプラットフォームへの適用を図っていきます。
なお、NECはこのたびの成果を、6月13日から15日まで幕張メッセ(千葉県・千葉市)で開催される「Interop Tokyo 2007」および、8月19日から21日までスタンフォード大学(米国・カリフォルニア州)で開催される「HOT CHIPS 19」で動態展示します。
本研究の一部は総務省の委託研究「次世代バックボーンに関する研究開発」プロジェクトの成果です。
以上
■本件に関するお客様からのお問い合わせ先
NEC 研究企画部 企画戦略グループ
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