NTTデータ、独社と協業し次世代「モデル指向開発技術」への取り組み強化
モデル指向開発への取り組みを強化
~独ikv++社と協業し、次世代の開発技術の社内外への展開を加速~
(株)NTTデータは、システム開発の設計記述表現にコンピュータ解釈可能な「モデル」を採用することで高品質のソフトウェアを実現する、次世代の「モデル指向開発技術」への取り組みを強化します。
このために、OMG(Object Management Group)(注1)が定めた標準技術仕様に基づく高度なモデル管理技術を保持する独ikv++社(アイケイブイ・プラスプラス)と資本提携を含む提携を実施し、ikv++社が新たに設立する日本法人を通して協業体制を強化します。
さらに、NTTデータは、モデル指向開発の実践を推進する専門チームを社内に編成します。この専門チームは、NTTデータ内におけるモデル指向技術適用プロジェクトを技術支援することに加え、この技術の導入を検討するお客様への技術コンサルティングも実施します。
【モデル指向開発とは】
システム開発プロジェクトでは、設計書などの開発成果物を作業工程毎に作成し、段階的に詳細化を進めることで開発作業を実施します。多くの場合、これらの開発成果物は文書で表現され、日本語などの自然言語による表記が多く用いられます。そのため、開発成果物の意味は曖昧になりがちで、誤りや誤解を引き起こしやすくなります。さらに、自然言語で書かれた開発成果物はコンピュータによる解釈が困難であるため、開発作業の機械化は困難となります。
これに対してモデル指向開発では、各開発成果物の構造と意味は、モデルを用いることにより厳密かつ高い抽象度で簡潔に定義可能となります。また、その表記法としては、自然言語に比べてより形式的な表現が可能であるUML(Unified Modeling Language)(注2)などの図表表現を用います。開発成果物をモデル表現することにより、誤りや矛盾の混入を減少させ、開発者間の誤解を防止することに加え、コンピュータも開発成果物を解釈可能となります。それにより、設計・製造作業の自動化、一貫性チェックの実施などの開発作業の機械化を可能にし、開発成果物の品質の向上と開発生産性の改善を実現します。
【NTTデータのモデル指向開発の取り組み】
NTTデータは、平成14年より技術開発本部にてモデル指向開発の基礎研究に取り組んできました。ここで培ったモデル駆動アーキテクチャに関する技術蓄積と、NTTデータのWeb開発フレームワークであるTERASOLUNAを活用し、平成19年からはモデル指向開発技術を活用した開発技法の展開を、中期経営計画におけるSI競争力強化施策の一つとして推進しています。今回のikv++社との協業は、この施策推進の一部となるものです。
【取り組み強化の内容】
1.専門チームの設置
NTTデータは、次世代のモデル指向開発の実開発プロジェクトでの適用を推進するために、実践的なプロジェクト支援を行う専門チームを新たに設置します。この専門チームは、モデル指向開発におけるエキスパート集団であり、モデル指向開発のコンセプトに基づく開発メソドロジーと開発ツール群の現場での適用を推進します。また、プロジェクトでの経験に基づき、メソドロジーとツールの継続的な改善を実施します。
2.モデル指向開発ツール群の整備
NTTデータは、社内で実施してきた基礎研究の成果を元に、ikv++社と共同で次世代のモデル指向開発を支える新しい開発ツール群を整備致しました。これは、ikv++社が提供するmediniを基盤として用い、そこにNTTデータのモデル開発技法と関連するノウハウを組み込んだツールセットです。このツールは前述の専門チームとikv++社によって、継続して改善・維持されます。
3.ikv++社との提携
上記ツールセットの適用範囲拡大に対応するため、ikv++社は新たに日本法人を設立し、日本国内における技術サポート機能を強化します。また、NTTデータがikv++社に8.9%の出資(4月6日実施)を行ないました。また、Supervisory Board(監査役会)に役員を派遣いたします。
【medini(メディーニ)について】
別紙参照
【両社のコメント】
ikv++ CEO Olaf Kath(オラフ・カート)
「今回のNTTデータの参画は、当社及び当社の技術への強い関心の表れです。戦略的提携を合意したことにより、当社の長年の顧客であるNTTデータは重要な戦略的パートナーとなりました。」
NTTデータ 第一公共システム事業本部長兼公共ビジネス推進部長 村松充雄
「ikv++社の技術は、モデル変換技術を用いてソフトウェア開発プロセスの自動化を実現するものです。これによって、私たちはお客様の業務を表現したビジネスモデルから、トレーサビリティを常に確保しつつITシステムの設計であるシステムモデルを構築できるようになります。これはソフトウェア開発技法の大きな進歩であり、これにより私たちは、お客様のニーズをより的確に反映し、かつお客様により安心してお使い頂ける高い品質のソフトウェアをご提供できるようになると考えています。」
【ikv++ 社について】
ikv++ 社はドイツ、ベルリンに拠点を置く、システム・インテグレーションおよび組み込みソフトウェア開発へのモデル駆動技術適用のための製品・サービスのリーディング・プロバイダです。ikv++の技術であるmediniは顧客のソフトウェア開発手法とツールの統合を可能にします。この技術は、複雑なソフトウェア開発プロセスにおいて、労働集約的な作業の削減と開発成果物の一貫性の取れた管理を可能にします。これによって、要求分析から始まり設計、製造、試験へと至るソフトウェア開発プロジェクトの自動化を実現します。NTTデータ、日立INSソフトウェア、サムスン電子、トヨタ自動車グループといった世界的な企業が既にmediniを活用しており、開発コストを削減していると同時に開発リスクの回避にも役立てています。
【今後について】
NTTデータは、次世代モデル指向開発技術の実プロジェクトでの適用を推進し、その適用範囲の拡大を行なうことで、H22年度までに年間50開発プロジェクト以上での適用を可能にする体制作りを目指します。また、次世代モデル指向開発の適用を検討中のお客様に対する技術コンサルティングを行なう体制も確立します。
(注1)OMG(Object Management Group) 1989年に分散オブジェクト標準策定のために設立された非営利団体。近年は、モデリング言語およびその関連技術の標準化を行なっている。
(注2)UML(Unified Modeling Language) OMGが標準化した統一モデリング言語。クラス図やシーケンス図などのソフトウェア開発で利用されるモデル表記法を定義している。UML2.0以降では、大幅に表記法が拡張されると共に、モデルのコンピュータ解釈と開発作業の自動化のための配慮がなされている。
【お問い合わせ】
(その他、モデル指向開発に関するお問い合わせ)
NTTデータ 公共ビジネス推進部 技術戦略部 斉藤 TEL 050-5546-8263