NECなど3社、製造業など向け「3次元CADシンクライアントソリューション」を発売
製造業の最高機密である設計データのセキュリティ強化と利便性を両立する
業界初の「3次元CADシンクライアントソリューション」を発売
~国内大手電機メーカーでシステムが稼動開始~
日本電気株式会社(注1、以下 NEC)、株式会社トヨタケーラム(注2、以下 TCI)、NECネクサソリューションズ株式会社(注3、以下 NECネクサ)は共同で、業界初の「3次元CADシンクライアントソリューション」(注4)を商品化し、本日より販売および出荷を開始いたしました。
本ソリューションは、国内大手電機メーカーの設計現場に本格導入され、本年5月よりシステムが稼動開始しております。
本ソリューションは、サーバに格納している設計データや設計環境(OSやCADソフト等)を設計者が利用時にクライアント端末側にダウンロードし、クライアント端末のCPUやグラフィック性能を用いてデータを処理するシンクライアント方式です。
製造業の最高機密である設計データを設計者各々の端末に保存することなくサーバで集中管理するため、データの紛失や漏洩を回避し、セキュアなチーム設計環境を実現します。これにより、開発期間の短縮とコスト削減、設計現場の「見える化」に大きく貢献いたします。
本ソリューションは、TCI製のシンクライアント対応3次元CADソフトウェア「Caelum XXen on Ardence(ケーラム ゼン オン アーデンス)」と、ソフトウェア「Ardence」・「System Management for Ardence」およびハードウェア「Express5800/50,100シリーズ」からなるNECのネットブート型シンクライアントシステム(注5)を組み合わせたものであります。
TCIは数年前からシンクライアント方式による設計環境の実現を進めておりました。一方NECも製造業に向けたシンクライアントソリューションの展開を進めており、「Caelum XXen」のチーム設計機能の先見性と将来性を評価し、このたび両社による商品化に至りました。
本ソリューションではセキュリティ強化に加え、CADソフトなどの設計環境を維持しながら、大容量の設計データの高速処理と効率的なシステム管理を実現します。また、設計者がシンクライアント端末を利用しない夜間に、管理サーバ側からシンクライアント端末を自動的に起動し、端末のCPUパワーを用いて大量のデータ変換を自動的に行うなどといった新たな用途にも活用が可能となります。
新ソリューションの構成および価格は以下のとおりであり、NEC、TCI、NECネクサの3社は共同で、今後2年間で25億円の販売を目指しております。
商品名 3次元CADシンクライアントソリューション
構成 Caelum XXen on Ardence、Ardence
System Management for Ardence
シンクライアント端末、サーバ
価格(税別) 135万円/台~ (注6)
「3次元CADシンクライアントソリューション」の主な特長は以下のとおりです。
1.既存の設計環境を維持しながら、セキュリティを大幅に強化
・シンクライアント端末「Express5800/50シリーズ」のCPUやグラフィック性能を用いてデータを処理するため、数百メガバイトという大容量な設計データの高速処理やスキャナ等の設計業務特有の周辺機器の柔軟な利用など、従来と同等の設計生産性を実現。
・OSや「Caelum XXen」などのアプリケーションはシンクライアントサーバで一括管理されるため、クライアント利用者によるウィルス感染などのセキュリティリスクを防止。
また、これまで各設計者の端末に保存されることもあった設計途中のデータを含む全データをサーバで集中管理することで、最高機密である設計データのセキュリティ確保や、万一、端末の障害が発生した場合も設計データの遺失・漏洩リスクを最小化。USBなどのI/Oポートをサーバ側からロックし、より強固な情報漏洩対策も可能。
・「Caelum XXen」は業界初のインターネット対応リアルタイム・チームデザインCADであり、日本の製造業の特長である「組織の力」を生かすため、インターネット環境下で設計・製造の各工程間における地域、時間の壁を超えて同時にチーム設計を可能とする。今回、シンクライアント環境にも対応することで、さらにセキュアなチーム設計環境を実現できる。
2.端末運用のTCOの大幅低減とIT資源の有効活用を実現
シンクライアント管理サーバに格納するNEC独自の統合管理ソフトウェア「System Management for Ardence」の機能により、以下を実現。
・「Caelum XXen」をはじめとするアプリケーションのバージョンアップやパッチの適用、端末の増設や交換時に各種設定が不要になるなど、システム管理の負担と工数を大幅に軽減。設計環境を更新する際は、システム管理者がサーバにのみアクセスし、その影響が各端末を利用する設計者の効率に影響しない仕組みとなっている。また、設計者も各々のPC環境をメンテナンスする必要がなくなり、設計に集中できる。
・設計者がシンクライアント端末を使用しない夜間に、サーバから各端末を起動し、端末のCPUパワーを活用しながら大量のデータ変換を一括処理するなど、PCリソースを24時間活用することが可能となる。これまで業務時間中に膨大な時間を要して個々人のパソコンで行っていた処理を、自動で効率よく行うといったIT資源のさらなる有効活用を実現。
昨今、企業においては、情報漏洩対策やセキュリティ対策への取り組みがますます重要になっております。特に製造業においては、設計・生産の最適化や市場投入の迅速化に向け、グローバルな分散開発も増加しています。また、企業機密である設計データの一部は、その作成途中などに設計者各々の端末に保存される場合もあり、管理の強化が課題となっております。このたび発売するソリューションは、こうした製造業特有の課題を解決し、製造業の競争力の源泉とも言える製品開発情報のセキュリティを高めるものであります。
今後、NEC、TCI、NECネクサは、「3次元CADシンクライアントソリューション」の機能強化ならびに販売を積極的に進め、顧客企業の開発力強化に貢献してまいります。
尚、本ソリューションの概要は別紙および以下のURLをご参照ください。(※別紙は添付資料を参照)
また、「第18回 設計・製造ソリューション展」(会期:6/27(水)~6/29(金) 会場:東京ビッグサイト)にて、デモンストレーションをご覧頂けます。
以 上
(注1)本社:東京都港区 代表取締役執行役員社長:矢野 薫
(注2)本社:愛知県名古屋市 代表取締役社長:新木 廣海
(注3)本社:東京都港区 代表取締役執行役員社長:渕上 岩雄
(注4)Computer Aided Designの略。コンピュータを用いて部品や製品の設計を行うシステム
(注5)米Ardence社製ミドルウェアソフト「Ardence」を用いて、サーバに格納しているOSとアプリケーションを利用者が作業を始める都度クライアント側にダウンロードする。作業の結果はサーバの記憶装置に書き込むためクライアントからのデータ流出の恐れはない。
(注6)シンクライアント端末50台構成、「Caelum XXen on Ardence」は25フローティングライセンス、Ardenceサーバは冗長構成にした場合の端末1台あたりの価格。本価格にはディスプレイおよびSI費を含まず。
*本文に記載されている会社名、製品名は各社の商標または登録商標です。
シンクライアントシステムに関する情報
http://www.nec.co.jp/clsol/netboot_cad.html
本ソリューションに関するお客様からの問い合わせ先
NECファーストコンタクトセンター
電話:(03)3455-5800
株式会社トヨタケーラム カスタマビジネス部 第2 AE室
電話:(052)223-3853
eメール:marcom@caelum.co.jp