富士フイルム、非標識創薬スクリーニングシステム「AP-3000」を発売
世界最速のSPR法スクリーニング技術で医薬品候補化合物の探索を支援
非標識創薬スクリーニングシステム「AP-3000」
新 発 売
富士フイルム株式会社(社長:古森 重隆)は、表面プラズモン共鳴(SPR)技術(※1)を基盤とした、世界最速のSPR法(※2)非標識創薬スクリーニングシステム(※3)「AP-3000」を6月18日より発売いたします。
(※1) 表面プラズモン共鳴(SPR:Surface Plasmon Resonance)技術 :
金膜表面に生じるプラズモン(自由電子の集団的な振動)の光吸収パターンを調べ、金膜表面の屈折率を測定する技術。病気の原因となるタンパク質を金膜上に固定し、そこにさまざまな化合物を流すと、薬効の可能性のある化合物とタンパク質が結合した場合に金膜表面の屈折率変化が生じ、新薬候補化合物を探索することができる。
(※2) 平成19年5月時点当社調べ SPR法による非標識スクリーニングにおいて。
(※3) 非標識創薬スクリーニング :
創薬(医薬品開発)を目的として、病気の原因となるタンパク質、あるいは化合物に、蛍光材料などの標識を付けることなく、タンパク質と化合物との相互作用を測定する手法。蛍光材料などの標識を付けて測定する手法は、標識法と呼ばれている。
大量の化合物ライブラリーの中から医薬品の候補となる化合物を短期間で探索することが求められる創薬スクリーニングにおいては、従来、蛍光法など標識法スクリーニングでの測定が中心でしたが、蛍光材料などの標識との結合力が低い化合物の測定が難しいという課題がありました。一方、従来のSPR法は、標識を使わずに特定したいタンパク質と化合物の結合を測定するのに有効であるものの、検査ごとの装置の洗浄や測定光学系の調整が必要で、手間と時間がかかるため、創薬スクリーニングの手法としては使われていませんでした。
今回発売いたします非標識創薬スクリーニングシステム「AP-3000」は、創薬スクリーニング現場で求められている、従来の手法では測定が難しかった化合物のスクリーニングを、高速(3,840化合物測定/日)かつ、測定用試料をセットしてからスクリーニングデータの出力までを全自動で行うシステムです。
「AP-3000」は SPR法をベースに、当社の持つ精密なプラスチック成形技術を用いて、ディスポーザブルタイプの測定系一体型センサーチップを開発したことで、検査ごとの装置の洗浄や測定光学系の調整といった手間を簡素化し、測定時間を大幅に短縮するとともに、高い測定再現性と容易なメンテナンス性を実現しました。また、化合物測定に最適化した独自の微量サンプル送液・測定技術と高容量タンパク質固定化膜を開発したことで、貴重なタンパク質および化合物ライブラリーの使用量を低減することが可能となり、低いランニングコストも実現します。
さらに、デジタルミニラボやバイオ関連画像解析装置の開発で培った、レーザー測光技術とCCD光検出技術を生かした測定方式(※4)を搭載したことで、従来の方法では測定困難であった結合力の弱い低分子化合物の検出も可能としています。
(※4) レーザービームをタンパク質が固定されている測定位置に正確に照射し、金膜表面より反射された光の角度変化を、CCDにより1/10,000度の精度で測定。
近年、新薬の開発においては、期間の短縮や投資削減のため、病気に関わるタンパク質の構造情報に基づいた合理的な薬の設計手法(SBDD手法 :Structure-Based Drug Design)が注目されています。「AP-3000」は、タンパク質と化合物の結合を高速で測定するものであり、SBDD手法の発展にも大きく寄与するものです。
なお、当社は「AP-3000」を6月20日~22日まで東京ビッグサイトで開催される「第6回国際バイオEXPO」に出展いたします。
富士フイルムは、今後も医薬品開発に重要なタンパク質研究において、独自技術を進化させ、事業を強力に推進していくことで、医療、ひいてはライフサイエンスの進歩に大きく貢献していきます。
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