ガートナー ジャパン、「中堅企業におけるIT投資動向」調査結果を発表
ガートナー ジャパン発表
中堅企業におけるIT投資動向
IT予算増加傾向の中、SFA/営業支援、ERPの普及が進む
ガートナー ジャパン株式会社 (所在地:東京都目黒区、代表取締役社長:日高信彦) のリサーチ部門は、日本の中堅企業のアプリケーション投資動向に関する調査結果を発表いたしました。
2006年5月に実施した同調査によると、従業員数300~999人の中堅企業における2006年のIT予算は、2005年に比べて22.6%が「減少」であるのに対し、35.6%が「増加」と、引き続き増加傾向にあります。さらに昨年5月の調査では、2005年のIT予算が、2004年に対し24.0%が「減少」、32.4%が「増加」であったことに比べても、IT予算の増加傾向が一段と強まる結果となりました。
中堅企業におけるIT投資が活発化しつつある中、ビジネスに直結する業務アプリケーションについて、今後3年以内に新規導入を予定している領域を尋ねたところ、「SFA/営業支援 (9.7%)」「ERP (統合業務パッケージ)(8.2%)」「経営情報管理・意思決定支援 (7.7%)」が上位を占めました。
全体的にほとんどのアプリケーションで、中堅企業より大規模企業の方が導入意欲は高くなっていますが、大規模企業に比べてこれまで投資が遅れていた「SFA/営業支援」については、新規顧客の獲得や既存顧客ニーズの深耕化の重要性が高まることから、大規模企業よりも中堅企業の導入意欲が高まりつつあることが示されました。さらに、「マーケティング支援/MRM」への取り組みも、同様の理由で大規模企業よりも導入意欲が高まっています。
また、ここ数年、中堅企業市場においてアプリケーション・ベンダー間の競合が激化しつつあるERPも、引き続きグループ企業の再編および連結経営強化、オフコンのリプレースなどを背景に、「SFA/営業支援」に次ぐ高いニーズとなりました。
その他、「経営情報管理・意思決定支援」「文書管理・情報共有」においても300~499人の比較的規模の小さい層を中心にニーズが高く、単にプロセスの効率化にとどまらず、情報を有効活用していきたいというユーザーの意向が中堅企業において高まりつつある状況を示しています。
逆に、大規模企業において関心の高いナレッジ・マネジメントについては、中堅企業における3年以内の導入予定は5.4%にとどまっており、企業規模によるニーズのギャップが見られました。これは、文書を含む情報量の差によるものと推測されます。
図1 今後3年以内に新規導入を予定しているアプリケーション領域
出典:ガートナー (ITデマンド調査室)/調査:2006年5月
(*添付資料参照)
同時に、IT投資の効果を高めるための対策についても尋ねたところ、企業規模にかかわらず、「情報の適切な管理と有効活用」が重要性の高い項目として挙げられました。また、多くの項目で大規模企業の選択率が高い中、「ネットワーク環境の見直し」や「データの統合」では中堅企業の選択率の方が高くなっていました。また、「利用部門によるITの利用促進」「利用部門へのITトレーニング」といったエンドユーザーのリテラシーの問題を指摘する比率も高い傾向にありました。特にITトレーニングの問題については、中堅企業の中でも規模の小さい層で選択されるケースが多く、特に従業員数300~499人の層では、「情報の適切な管理と有効活用」「ネットワーク環境の見直し」に次いで高い選択率となりました。こうしたユーザー・ニーズは、中堅市場をターゲットとするITベンダーにとって、潜在的なビジネス・チャンスに結び付くキー・ファクターになり得るでしょう。
中堅市場でベンダーが大きなシェアを獲得するには、上記のアプリケーション分野にフォーカスすることが重要です。また、それとともに、こうした投資効果を挙げるための施策を支援するコンサルティング力、実行能力を強化することが、競合の進む同市場における差別化の一因となるとガートナーでは考えます。
図2 ユーザーが必要と考える潜在的投資分野:IT投資の効果を高めるために重要な対策 (複数回答可)
出典:ガートナー (ITデマンド調査室)/調査:2006年5月
(*添付資料参照)
注:2006年5月調査の対象は、従業員数50人未満の企業を除いた、中小規模企業から大規模企業までの幅広い層の企業です。すべて日本でビジネス活動を展開する企業で、回答者はIS部門の管理者です。アンケート用紙の全返送数 (有効回答企業数) は1,060社となっており、回答企業の内訳は、企業規模300人未満:47.4%、300~1,000人:38.5%、1,000人以上:14.1%で、調査期間は2006年4月15日~5月30日です。
本リリースに関する詳しい調査内容は「2006年前期 企業ユーザーITデマンド調査報告書」でご覧いただけます。また、2006年9月8日と9月12日に小田急ホテルセンチュリーサザンタワー (東京都新宿) において開催する「ガートナー ジャパン 国内中堅企業におけるIT投資動向セミナー」では、本発表に関する分析をはじめ、中堅企業向けに日本のITサービスのトレンドや情報セキュリティに関する知見を提供します。本セミナーに関する詳細な情報は弊社Webサイトをご覧ください。
http://www.gartner.co.jp/info/briefings/tasp/20060908/
<ガートナー社の概要>
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