凸版印刷、フルデジタルのコンピュータ自動組版システムを開発
凸版印刷、高度な組版に対応する独自の次世代DTPシステムを構築
~次世代CTSシステムにAdobe(R) InDesign(R) CS2 を採用
凸版印刷株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:足立直樹、以下 凸版印刷)は、アドビ システムズ インコーポレーテッド(本社:米国カリフォルニア州サンノゼ、社長兼CEO ブルース チゼン、以下 アドビ システムズ社)のAdobe(R) InDesign(R)をプラットフォームとして活用した、フルデジタルのコンピュータ自動組版システム(Computer Typesetting System :CTS ※1)を開発しました。このシステムは大量ページの印刷物をメインターゲットとした次世代DTPシステムです。凸版印刷のグループ工場では、本システムを活用した生産ラインを構築し、2006年8月より本格稼動を開始します。
この次世代CTSで制作フローを構築することにより、凸版印刷は印刷物の最適な制作環境を構築し制作期間を短縮するとともに、インターネット、携帯電話などへ向けた効率的なクロスメディア展開を実現しました。
今後も出版印刷、商業印刷業界のニーズにあった、様々なソリューション開発や、効率的なワークフローの構築・提供を行っていくため、凸版印刷はアドビ システムズ社との連携をさらに強化していきます。凸版印刷では、次世代CTSにより、今年度 15億円の売上を目指します。
【背景】
従来、大量のページの印刷物では、パソコンを使用するDTPではなく、より高性能な専用コンピュータを使用したCTSと呼ばれるシステムで、印刷用データを制作することが主流でした。
しかし最近では、印刷物のコンテンツをインターネットやDVD、携帯情報端末など印刷物以外のメディアへ活用する需要が急速に増えたため、コンテンツのクロスメディア展開を効率的に行うワークフローを構築する事が大きな課題となっています。
【次世代CTSの特徴と利点】
このたび開発した次世代CTSでは、アドビ システムズ社のDTPソフトであるAdobe InDesign CS2を標準プラットフォームとして採用し、凸版印刷が独自に考案した出版コンテンツのXML構造と、Adobe InDesign CS2を連携させました。InDesign形式のドキュメントとXMLデータの一体化、およびInDesign形式のドキュメントから極めて精度の高いテキストの出力を完全自動化し、印刷物、Web、DVD、携帯情報端末等へのコンテンツのクロスメディア展開が容易に可能となりました。
また、凸版印刷がCTSで培ってきたコンピュータ文字・組版ノウハウを独自ソフトウエアとして開発、プラグインとしてAdobe InDesign CS2に組み込むことで、高度な組版を実現するとともに、大量ページにわたる索引・目次の自動生成や、文章量変更にともなう挿絵挿入位置の自動変更など、様々な作業の完全自動化を実現しました。これにより組版処理にかかる手作業を大幅に排除し、大量データを扱う場合の安定性を確保できます。
さらに今後、凸版印刷が蓄積してきた膨大なフォント(約72万文字)の中から、凸版印刷が権利を有する固有の日本語フォント(凸版フォント)をOpenTypeフォントに変換し、同システム上で順次対応します。これにより従来のCTSで使用されていたフォントがすべて使用可能となります。
【次世代CTSの概要】
1)想定ターゲット:書籍、情報誌、TV番組誌、年鑑・百科・事典、国語・漢和・多国語辞書など
2)プラットフォーム:Windows版Adobe InDesignおよびMacintosh版Adobe InDesign
3)凸版印刷が開発した主な自動処理機能:
以下の機能を完全自動化。組版処理(印刷物ページデータ制作処理)の約85%を自動化可能。
◆本文の納組み・判断組み
◆本文テキスト増減に自動的に連動する挿絵・画像などの配置処理(内部空白)や自動頁生成
◆爪・柱、索引の自動作成、大量ページの自動結合などの完全自動化
4)クロスメディア機能:
◆汎用フォーマット(XML形式)によるテキストデータの自動入出力および編集が可能。
◆携帯書籍コンテンツ(XMDF形式)への変換 など
5)処理速度について(参考):
情報誌1,000頁を約1時間
6)フォント対応:
◆従来のCTSシステムで使われていた「凸版フォント」(凸版明朝体、凸版太明朝体、凸版ゴシック体、凸版太ゴシック体、ほか)が利用可能。
◆Adobe InDesign CS2で使用可能なフォント全てに対応。
アドビ システムズ株式会社 代表取締役社長 ギャレット イルグは、「日本の大手印刷会社である凸版印刷が出版印刷向けの基幹システムにAdobe InDesign CS2の本格採用を決定し、稼動を開始していることを大変嬉しく思います。今回の発表は、日本の出版印刷市場全体が、これまで当社の提案してきたAdobe Creative Suiteをプラットフォームとしたワークフローソリューションに確実に移行しつつあることを示すものであり、DTPワークフロー改革が過渡期から本格的な成長期の段階に進んでいることを証明するものです。今後も、アドビ システムズは、凸版印刷との協力関係をより一層強め、コンテンツビジネスの新たな可能性を拓いていきます。」と述べています。
凸版印刷株式会社について
凸版印刷は、1900年創業の総合印刷会社で、印刷技術と印刷製版技術を核に、証券・カード、商業印刷、出版印刷、パッケージ、産業資材、エレクトロニクスなど、さまざまな領域で事業を拡大しています。「情報コミュニケーション産業」のリーディングカンパニーをめざす同社にとって、出版印刷、商業印刷は最も重要な事業分野です。
同社に関する詳細は、Webサイト http://www.toppan.co.jp/ でご覧いただけます。
アドビ システムズ社について
アドビ システムズ社は、時間や場所、利用するメディアや機器を問わず、あらゆるユーザのアイデアや情報との関わり方に変革をもたらしています。アドビ システムズ 株式会社はその日本法人です。
同社に関する詳細な情報は、Webサイト http://www.adobe.co.jp/ に掲載されています。
(※1)CTS(Computer Typesetting System コンピューター・タイプセッティング・システム)国内では1970年に誕生。従来の活版製版(文選、植字作業など)をデジタル化したコンピュータ自動組版システム。パーソナルコンピュータを活用した一般的なDTP(デスク・トップ・パブリッシング)と比較では、(WYSWYG)コンピュータ作業の視覚的な対話性は低いが、大量のデータを高速処理する作業に優れる。
Adobe、Creative Suite、およびInDesignはAdobe Systems Incorporated(アドビ システムズ社)の米国ならびにその他の国における商標または登録商標です。その他すべての商標は、それぞれの権利帰属者の所有物です。
以 上