島津製作所、ノイズ低減と分析安定性の向上を実現したプロテインシーケンサーを発売
操作性、解析機能を向上。高感度なタンパク質のアミノ酸配列決定に最適な
プロテインシーケンサPPSQ-31A/33Aを発売
島津製作所は、最新ソフトウェアによる、操作性とデータ解析機能の大幅な向上と、PTH-アミノ酸*1の分離検出に最新の高速液体クロマトグラフ(以下HPLC)の採用により、ノイズ低減と分析安定性の向上を実現したプロテインシーケンサ PPSQ-31A/33Aを発売します(発売日:8月31日)。
【 新製品発売の背景 】
タンパク質の研究は、食糧、医療の分野、さらに、病気の原因究明、診断、治療、予防などとの関連から、ますますその重要度が高まっています。ライフサイエンス分野においてタンパク質の配列決定は研究開発の基本として欠かせないものになっています。
近年、タンパク質の配列解析は、質量分析のピークデータとデータベースを比較して同定する方法が広く行われています。一方、プロテインシーケンサは、データベースに依存せず、タンパク質のN末端*2からのアミノ酸を誘導体化し、それを1個づつ切り離して、HPLCで分析し、正確にアミノ酸配列を決定することが可能です。この特長から、データベースの無い生物種の配列解析、生体内で実際に機能しているタンパク質のN末端からのアミノ酸配列解析、大腸菌などで人工的に作らせたタンパク質のN末端からのアミノ酸配列確認などに有効で、根強い需要があります。
当社はこれまで、このような需要に応えるため、PTH-アミノ酸の単一移動相組成分離法(アイソクラティック法)による安定したベースライン、再現性の良いリテンションタイム*3、移動相を循環して使用することによる低ランニングコスト、また、 移動相の消費量を少なくして、廃液を減らし環境負荷に配慮したことなどを特長とするPPSQシリーズを提供してまいりました。
【 新製品の特長 】
今回の新製品は、上記の特長に加え、新規開発のシーケンスソフトウェアにより、従来のPPSQシステムとHPLCシステムの2系統のソフトウェアをシーケンサソフトウェアとして1つに集約し、分析条件の選択/入力、反応ステップ、分析結果などを1画面で簡単に行えるようになり操作性が大幅に向上しました。また、アミノ酸配列決定を行う上で、重要なクロマトグラムの再処理を新規開発のシーケンサソフトウェアにより、サンプル単位毎にまとめて複数のクロマトグラムを処理することで、データ解析機能の大幅な向上を実現しました。さらに、最新のHPLC分析系を採用することにより、ノイズレベルが低減され、PTH-アミノ酸の高感度検出を可能としました。
当社は、タンパク質解析を行っている大学や、製薬、食品、化学分野の市場に新製品を投入し、2007年度に販売台数20台以上を目標としています。
【 設置仕様 】 机上:幅 1200mm×奥行 600mm×高さ 550mm、重さ 80kg(PC本体、ディスプレイ除く)
【 定 価 】 PPSQ-31Aシステム 1,200万円(税抜)、 PPSQ-33Aシステム 1,900万円(税抜)
(システム構成:PPSQ-31A/33A本体、HPLCシステム、LCsolution PCセット、付属品)
*1 PTH-アミノ酸
1950年にエドマンにより開発されたタンパク質のN末端からの配列を化学的に決定する方法を用いて、タンパク質のN末端のアミノ基にフェニルイソチオシアネートを反応させ誘導体化した後、N末端のアミノ酸を切りだし、最終的に安定なフェニルチオヒダントインアミノ酸(PTH-アミノ酸)に転換します。このPTH-アミノ酸をHPLCで分析を行い、リテンションタイムによりアミノ酸の決定を行います。上記反応を繰り返すことにより、タンパク質のN末端からのアミノ酸配列を逐次決定します。
*2 タンパク質のN末端配列解析
タンパク質はアミノ酸が鎖状に一直線に連なってできており、それぞれのタンパク質特有のアミノ酸の並び方をしています。このタンパク質の一端である、アミノ基を有する側をN末端、カルボキシル基を有する側をC末端と呼びます。タンパク質のN末端からのアミノ酸の配列を解析することをいいます。
*3 リテンションタイム
分析対象成分は、HPLC内のカラムという管を通り、そこで分離されます。カラムに詰められている充填材という物質と成分とが相互干渉することにより、各成分が検出部に到達するまでの時間に差が出てきます。この時間差をリテンションタイムといいます。