インフォコム、農林水産業生産者向け知的財産権管理システムの販売を開始
インフォコム、農林水産業生産者向け知的財産権管理システムの販売を開始
インフォコム株式会社(東京都千代田区:取締役社長吉野隆、以下インフォコム)は、生産地間競争や国際競争が激しくなっている農林水産業生産者(以下、生産者)及び研究者向けに、育成者権※や品種等の知的財産権を管理できる「品種管理システム」の販売を開始しました。
本システムは、すでに特許管理システムとして大手製造業を中心に約140 社と多くの導入実績を誇る自社開発システム「TOPAM(R)」に、農林水産関連の知的財産権について、「出願情報管理」「品種間の紐付け」「補償金管理」等の情報を、生産者や研究者が容易に管理できる機能を追加したものです。
生産者が育成者権を取得し活用するためには、権利取得の出願以前から対象となる新品種の譲渡状況を正確に把握しておく必要があります。インフォコムが提供を開始する「品種管理システム」は、譲渡情報をもとに各国での販売管理、出願期限管理、各国制度に応じた管理データを記録/保管する事が可能です。
また、出願後は審査請求等の中間処理について、登録後は権利維持/活用のための管理等を行う事も可能です。
品種管理面では、新品種の父母関係の情報管理や育種上の引用関係を表すのに最も重要な「品種系統図」の作成や、新品種の外形について、高解像度のイメージ画像を記録/保管する事が可能です。
これらの情報は、「TOPAM(R)」の包袋※管理システムを用いて一元管理する事により、例えば果実や枝葉の外形的な形質の差異をイメージ画像で明示する事も可能とし、育成者権の審査において重要な資料とする事ができます。
さらには、関連する育成者権や特許の情報、共同研究や販売に関する契約の情報、生産者/研究者別の寄与度と開発費を紐付ける事による補償金に関する情報等の管理も可能です。出願地域による特性への対応として、例えば米国の育成者権は特許の中に植物特許として存在していますが、このような情報も一元管理できます。
日本の生産者/研究者は、生産物の開発/生産について品種と生産技術を共有する習慣により、より多くの優良な品種/技術を産み出しています。しかし、この習慣が生産地間競争、国際競争の中で、「コピー生産物」「成りすまし生産物」を産み出す事にもなっています。日本の生産者/研究者が育成者権を取得し正しく管理していく事で、相応の利益を得る事ができ、更なる優良新品種/新技術が開発されていきます。
インフォコムが提供を開始する「品種管理システム」は、育成者権を本格的に管理する事ができる国内初のシステムです。本システムは、今後増加する「地域ブランド産物」等の育成者権や商標管理等に取り組むことが想定される農業協同組合や漁業組合などの生産者団体及び研究機関を中心に販売を進め、今後3年間で50ライセンスの販売を目標とします。
インフォコムの知的財産システム事業では、今後も農林水産業界を含めた産業界において、様々な知的財産の出願/管理をより有効に進められるよう「TOPAM(R)」の機能強化/追加を積極的に推進します。また、将来的には、より安価で用意に知的財産の管理ができるように「TOPAM(R)」シリーズ製品のASP サービスでの提供や、各種ワークフローの提供を検討していきます。
インフォコムグループは、今後もお客様のニーズに合ったソリューションやサービスの提供、機能向上を進め、更なる事業展開の加速を推進していきます。
【 製品情報 】
「TOPAM(R) 品種管理システム」
出願情報管理/譲渡情報管理/国・地域別販売管理/出願期限管理/父母関係情報管理/品種系統図作成等
「TOPAM(R) 包袋管理システム」
文書・イメージ画像等の電子ファイル一括管理/データベース管理
「TOPAM(R) 契約管理システム」
関連育成者権・特許情報管理/関連契約管理/補償金情報管理等
【 稼働環境 】
サーバ:SUN、Windowsサーバー
ソフト:ORACLE
<製品・ソリューションに関するお問合せ先>
インフォコム株式会社
フロンティア事業本部知的財産システム部
東京都千代田区神田駿河台3-11
Tel:03-3518-3710
patent@infocom.co.jp
http://www.infocom.co.jp/
※本リリースに記載された会社名及び製品名等は該当する各社の登録商標または出願中の商標です。
【 ご参考:農林水産分野における知的財産の状況 】
農林水産業界では、種苗法※等によって国内の農林水産植物(以下、生産物)の新品種における生産者/研究者の権利(以下、育成者権)を、工業製品の特許と同様に保護しています。海外においても、UPOV※(植物新品種保護国際同盟)国際条約の加盟国で先に登録された育成者権は、各国において他の者が出願した場合にも優先的に守られる事となっており、まず生産者/研究者が権利を取得する事が重要となっています。もともと知的財産の宝庫といわれている農林水産業界ですが、知的財産を権利化し活用する意識が醸成されてなく、多くの知的財産がそのまま休眠状態等となっているのが現状です。
このような状況を払拭するために、内閣府知的財産戦略本部では農林水産分野における知的財産の保護の強化を推進し、また本年2月には農林水産省内にも知的財産戦略本部が設置され、農林水産分野における知的財産の創造・保護・活用のための施策を戦略的・総合的に推進し始めました。
【 用語解説 】
■育成者権
国内の農業生産者や地方公共団体などが新種の野菜や果樹を開発した権利。
■種苗法
植物についての特許制度で、植物の新品種を国に登録して育成者の権利を保護する。
植物新品種開発者の国際的保護制度として、植物新品種保護国際条約(UPOV条約)がある。農林水産省はこの条約に準拠して、1978 年に農産種苗法を種苗法に改正、98 年に国際的な調和を図るとともに育成者の権利を適切に保護するための改正を行った。
■包袋
特許出願、商標出願等の出願経過。現在は電子データとして保存されているが、昔は、袋の中に保存していたため包袋と呼ばれている。
■UPOV(Union Internationale pour la Protection des Obtentions V.g.tales〈仏〉)
植物新品種保護に関する国際条約。