旭化成建材、鉄骨梁貫通孔補強鋼材「フリードーナツ」を全国販売開始
鉄骨梁貫通孔補強鋼材「フリードーナツ」を全国販売開始
-溶接量の大幅削減によるコスト削減と簡単施工を実現-
旭化成建材株式会社(本社:東京都港区 社長:佐次 洋一)は、溶接量を低減し施工品質の向上及び安定化を実現した鉄骨梁貫通孔 補強用鋼材「フリードーナツ」を9月11日より全国発売しますのでお知らせ致します。
「フリードーナツ」は、(株)イシハラ(本社:栃木県足利市 社長:石原 正己、以下「イシハラ」)が考案し、当社とイシハラとの共同開発により製品化した画期的な鉄骨梁貫通孔補強用鋼材です。当社は、これを本年4月より市場リサーチを兼ねて関東地区で販売しておりましたが、お客様のご好評を受けこの度全国展開することと致しました。
なお、「フリードーナツ」は(財)日本建築センターの一般評定を取得しております。
当社は、「フリードーナツ」の販売で平成20年度に10億円の売上を目指します。
1.背景
建物の天井高さを有効に確保するために、空調設備管や上下水道管、電気配線等はH形鋼梁のウェブ※に開口を設け、貫通させる方法が多く用いられます。この場合、開口部はトラス作用※による応力の影響を十分に考慮して、適切に補強、評価することが必要とされています。
従来の方法としては、H形鋼梁のウェブ開口部分に補強用の板材を全周隅肉溶接※で取り付ける方法や適当な長さに切断した円形鋼管をウェブ開口に全周隅肉溶接で取り付ける方法、あるいはその組み合わせによる方法等が用いられてきました。しかし、これらの補強方法は、溶接量が多大であるといった作業性の問題と溶接熱によって梁の変形やゆがみが生じるといった強度上の問題が指摘されていました。
「フリードーナツ」は、これら梁貫通孔補強の諸問題を解決し、鉄骨加工の省力化と品質の向上に役立つ製品と考えています。
当社では、鉄骨建築の構造分野でのシステム化を提案する構造資材事業を今後の成長事業として位置付け、本年発売20周年を迎える露出型弾性固定柱脚工法「ベースパック」や、柱梁接合工法「ファブラックス G」、柱柱接合工法「イーカプラ」等を既に販売しておりますが、この「フリードーナツ」を新たに加えることで更に製品の充実を図って参ります。
2.「フリードーナツ」の概要
「フリードーナツ」は、H形鋼梁ウェブ開口部の専用補強金物であり、内側をねじ加工したFDリング(SM490A)2個と外側をねじ加工したFDスリーブ(STK400)1個で構成されています。
「フリードーナツ」の施工方法は、鉄骨加工業者において円形に明けられた開口部にFDスリーブを挿通し、ウェブを挟み込むように両側からFDリングをFDスリーブにねじ込んだ後、FDリングに設けられた溶接用孔を溶接補強して完了です。
(1)製品の特長
1)スリーブ管(部品名:FDスリーブ)とリング(部品名:FDリング)をねじ接合し、リングに設けられた溶接用孔を溶接する施工方法で、梁貫通孔補強作業の工数を約1/3以下に削減できます。
2)溶接量が大幅に低減されるため、溶接熱影響による鉄骨梁の変形、縮みがほとんど生じず、鉄骨躯体の性能を十分に発揮させることができます。
3)製品が規格化・部品化されているため、製作手待ちのロスが軽減できます。
4)梁の塑性化領域※(梁端部から梁スパンの1/10 以内または梁せい※の2倍以内の範囲)にも使用することができます。
(2)製品の種類
梁孔100φ~300φ(呼び径※)に対応するFD100、FD125、FD150、FD175、FD200、FD250、FD300の7種類です。
(3)適用梁材
「フリードーナツ」は、F値325N/mm2※以下のH形鋼梁を適用梁材としており、適用H形鋼梁のサイズは、梁せいが900mm以下、ウェブ厚が16mm以下です。
(4)販売価格
7,600円/個(FD150、関東地区参考価格)
(5)販売目標
平成20年度 10億円
3.販売開始日と販売地域
発売開始 : 平成18年9月11日
販売地域 : 国内全域。当社から系列販売網を通して一般鉄骨加工業者(ファブリケーター)を主な販売先として見込んでおります。
<用語の説明>
※ 梁のウェブ:H型鋼の場合、「H」の横1本の部分のこと。
※ トラス作用:構造物を構成する部材が軸力のみを受ける骨組み構造。棒状の部材を三角形に組み合わせた形になっている。
※ 全周隅肉溶接:梁貫通補強の場合、補強板材の全集に渡って隅肉溶接を行うこと。
※ 梁の塑性化領域:梁端部の大きな曲げモーメントが生じる部分。
※ 梁せい:梁の高さ。
※ 呼び径:FDスリーブの内径を丸めた数値。FDスリーブの内径が、孔のあいた梁に本工法を使用した場合の孔径になる。
※ F値325N/mm2:F値は材料の基準強度のことで、通常は降伏強さの値が用いられる。
以上