富士経済、特定保健用食品・有望成分市場の調査結果を発表
特定保健用食品・有望成分市場の調査を実施
－ ポストコエンザイムＱ１０はコラーゲン・ギャバ －
総合マーケティングビジネスの（株）富士経済（東京都中央区日本橋小伝馬町 代表取締役 阿部英雄０３－３６６４－５８１１）は、特定保健用食品・有望成分市場の調査を６～８月にかけて行った。その結果を調査報告書「特定保健用食品＆有望成分市場 ２００６」にまとめた。
健康食品市場は、参入企業各社の商品投入意欲は非常に高くなっているが、市場が成熟期を迎えつつあることに加え、粗悪な商品の問題や、健康被害に対応する形で規制が強化されているということもあり、以前のような高成長が期待しにくい状況にある。この状況を打破するために、健康食品をいかに食生活に密着させていくかが課題となっている。
＜調査結果の概要＞
１．特定保健用食品市場
（※参考表あり）
７分野の２００５年合計市場規模は、３，４２７億円で、前年比１％減だった。２００６年は整腸効果とミネラル吸収が減少するものの、その他の効能分野は拡大し、２％増の３，４９７億円の見込みである。
２００６年は、コレステロール改善、高血圧予防、血糖値改善、中性脂肪値改善が、１０％以上成長する見込みである。特に血糖値改善分野では、２００５年９月にカルピスが「健茶王」に新アイテムを投入し、ヤクルト本社も「蕃爽麗茶」の立て直しに注力しており市場は今後更に拡大すると見込まれる。
一方、「ミネラル吸収」は、ネスレ日本「ミロ」がリキッドタイプの特定保健用食品表示を終了することで市場の縮小が続くと見られる。
特定保健用食品注目市場
■高血圧予防
高血圧予防に対する需要は患者数の多さからも大きいと考えられる。カルピス「アミールＳ」は、発酵乳のカテゴリーのみならずサプリメントや野菜飲料など多彩な商品展開で新規ユーザーを獲得し、巻き返しを図った。今後は食事シーンでの飲用を自然な形で誘導できるかが安定した需要確保の鍵となる。また理研ビタミンが「わかめペプチドゼリー」に採用している「わかめペプチド」など、新規成分の広がりによって新規参入企業が増加しており市場の拡大は今後も続くと予測される。
■中性脂肪値改善
中性脂肪値改善市場は、花王の「健康エコナ」が牽引する形で拡大してきた。「健康油」が市場を牽引している構図であるものの、２００３年５月花王「ヘルシア緑茶」の投入によりドリンク類でも需要拡大が図られた。２００５年にはヘルシア緑茶の爆発的なブームが落ち着き、拡大を続けてきた市場も前年を大幅に下回る結果となったが、２００６年は「ヘルシアウォーター」投入によるヘルシアブランドの再訴求が図られていることに加えて、サントリー「黒烏龍茶」の発売により、市場は再び拡大すると見込まれる。脂肪の多い食事が主流の現代社会において中性脂肪値改善に対する需要は大きいとみられる。量的な拡大が難しい中で、マルハ「ＤＨＡ入りリサーラソーセージ」のようにＤＨＡを関与成分とする商品など、高付加価値による単価アップなど質的拡大を図っているマヨネーズ、マーガリン、ソーセージなどの商品カテゴリーが活性化していることからも、日常生活に密着した幅広いカテゴリーで商品化が進むことにより市場の底上げが期待される。
■コレステロール改善
コレステロール改善は、２００２年にＪ－オイルミルズ（発売時は味の素製油）が健康油「健康サララ」を投入し、市場は５０億円を超えた。その後も市場は拡大を続け、２００５年は前年９月に味の素から発売されたマヨネーズタイプ調味料の「ピュアセレクトサラリア」に加え、キユーピーからも同カテゴリーの新商品「ディフェ」が投入されたことで市場の底上げが急速に進んでいる。食用油やマヨネーズなど日常の食生活で利用頻度が高い調味料による需要開拓が今後も期待できる状況にある。コレステロール改善は効能面で体感性を求めることが難しい領域ではあるが、生活習慣病と関連性があることから今後も需要が見込める市場である。
２．有望成分市場
対象有望成分市場の概要
有望成分市場とは、対象各成分を主成分とする健康食品全般（健康志向食品も含む）の市場を指す。
調査対象１３品目中９品目の成分の市場が拡大しており、中でも「アスタキサンチン」や「コラーゲン」、「ギャバ」は１５％以上拡大している。「コエンザイムＱ１０」は、ブーム的拡大が一段落し市場は縮小傾向にある。「野菜サプリメント」や「ブドウ種子」は健康に気を遣うリピーターを獲得することで安定した実績を確保している。
注目市場
コラーゲン ２００５年 １６０億円 ２００６年見込み ２２５億円（前年比 １４１％）
コラーゲンは比較的早い時期から商品化されてきた素材であり、美容素材としては高い認知度を誇っており、１９９０年代より順調に推移してきた。原料の溶解性や味覚、消化吸収性などに関する研究が進み、商品として具現化する動きが加速したことにより、味覚や効果面でユーザーの満足度向上が図られた。特に目に見える効果により口コミでの需要拡大が進行し、２００４年以降も市場規模は拡大した。好調な市場推移から、新規参入や商品投入が活性化している。特にドリンク類では美容系ドリンクの位置付けで商品化が相次いでおり、売上が拡大している。またドリンク以外でも人気が高まり、美容ニーズを取り込み２００６年以降も市場の拡大が続くと見込まれる。
ギャバ ２００５年 １００億円 ２００６年見込み １４１億円（前年比 １４１％）
２００４年にヤクルト本社がギャバを含有した乳酸菌飲料「プレティオ」を投入し、発売時に積極的な広告宣伝活動を展開したことでギャバ自体の認知度の向上が進み、市場は拡大した。２００５年には江崎グリコが「メンタルバランスチョコレート ＧＡＢＡ」を、２００６年にはコカ・コーラボトラーズが「ジョージアＧＡＢＡ」を投入しており、これらの商品はストレスへの対応を訴求して売上を順調に伸ばしている。これら、健康志向食品分野の健闘により、２００６年も成長が見込まれる。健康食品やサプリメント分野では需要開拓が進んでいないが、快眠や生活習慣病予防に対応可能な素材であることから、商品訴求や機能告知活動を活発化させることにより需要を掘り起こしていくとみられる。
アスタキサンチン ２００５年 ４億円 ２００６年見込み ８億円（前年比 ２００％）
アスタキサンチンは、抗酸化作用や美容面でアンチエイジング効果に対する注目度が高まりつつある。２００５年にテレビ番組、雑誌などで取り上げられたことや化粧品のヒット商品の登場により話題性も高まった。食品分野では２００５年～２００６年にかけて新商品投入が相次ぎ、市場を本格的に形成しはじめたばかりと言える。今後は成分内容に関する認知度を高めることが市場拡大には不可欠となる。効能、効果や研究成果などに基づいた高い機能性に対する理解が広がることで市場は拡大すると見られる。
＜調査期間＞
２００６年６月～８月
＜調査方法＞
富士経済専門調査員による参入企業へのヒアリング
＜調査対象＞
対象 品目
特定保健用食品 整腸効果（オリゴ糖、乳酸菌、食物繊維）、コレステロール改善、高血圧予防、ミネラル吸収、虫歯予防、血糖値改善、中性脂肪値改善
有望成分 コエンザイムＱ１０、コラーゲン、ヒアルロン酸、松樹皮エキス、アスタキサンチン、α－リポ酸、セラミド、コンドロイチン、ブドウ種子、野菜サプリメント、ノニ、ギャバ、ナットウキナーゼ
以上
資料タイトル：「特定保健用食品＆有望成分市場 ２００６」
体 裁 ：Ａ４判 １９８頁
価 格 ：１００，０００円（税込み１０５，０００円）
ＣＤ－ＲＯＭ付 １１０，０００円（税込み １１５，５００円）
調査・編集 ：富士経済 東京マーケティング本部 第二事業部
ＴＥＬ：０３－３６６４－５８３１ （代） ＦＡＸ：０３－３６６１－９７７８
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