ナナオ、カラーユニバーサルデザインを支援する色覚シミュレーションモニター発売
世界初※1、色弱者に配慮したカラーユニバーサルデザインを支援する、色覚シミュレーションモニターを新発売
※1 2006年9月時点のコンピュータ用カラー液晶モニターにおいて。当社調べ。
1.概要
株式会社ナナオ(本社:石川県白山市、代表取締役社長:実盛 祥隆)は、色弱者に配慮したカラーユニバーサルデザインを支援する、19型の色覚シミュレーションモニター EIZO FlexScan(R) L797-U(オープン価格※2)を、2006年10月20日より新発売します。
※2:オープン価格の商品は標準価格を定めていません。
色覚シミュレーションモニター FlexScan L797-Uは、色弱者が見分けにくい色の組み合わせをシミュレーションすることができる、CUDマーク(用語解説の項参照)を取得した世界初※1のモニターです。印刷物や表示物等の制作に携わるデザイナーや管理者はFlexScan L797-Uを使うことにより、色弱者の視点に立ったカラーユニバーサルデザインを実践することができます。
独自のハードウェアでの色変換であるため、一般的なソフトウェアでは実現できなかったリアルタイムでの画像確認・動画対応ができ、さらにシミュレーションした画像をキャプチャーすることもできるので、作業効率アップに大きく貢献します。
2.製品化の背景~カラーユニバーサルデザインの重要性
色が重要な伝達手段になっている現代において、カラーユニバーサルデザインは、ますます重要になっています。カラー印刷技術の発達で、以前は白黒が当たり前だった新聞、一般書籍、地図などはカラーになりました。電子機器の操作画面や電光掲示板でも多色づかいのものが増え、電子機器や家電製品のパイロットランプは、昔は点灯と消灯だけだったのが、最近は何色も違う色に点灯して情報を伝え分けるのが当たり前になりました。公共施設でもカラフルな説明表示があふれ、鉄道の駅では各路線が色分けされて誘導表示され、路線図や時刻表はさまざまな色の線や文字で塗り分けられています。このように色を使って情報を伝えるケースが、現代では10年前20年前に比べてはるかに多くなっています。ところがこれらの表示は一般色覚者の色の見え方だけを考えて設計される場合が多いため、右の写真の充電アダプターのように、色弱者が情報を読み取れずに不便さを感じるケースが増えています。色弱者にとって、現代社会は昔より暮らしにくくなっているのです。
そこで、これを解決するのがカラーユニバーサルデザインです。カラーユニバーサルデザインに配慮することにより、色を上手に使い、全ての人に美しく感じられるカラフルなデザインを創りつつ、なおかつ情報を正確に伝えることが可能になります。
色弱者が不利にならないような色づかいを配慮することは、色覚バリアフリーとも呼ばれます。政府機関の総務省行政評価局は、駅や空港など交通関連施設の情報表示について実態調査の報告を発表し、色覚バリアフリーの観点も含めた基準の充実を図るよう国土交通省に対して勧告を出しています。また、日本工業規格JIS X8341「高齢者・障害者等配慮設計指針」(特にX8341-5:事務機器編)や日本医学放射線学会電子情報委員会の発行する、デジタル画像の取り扱いに関するガイドラインVer.2.0にも、利用者の色覚に配慮するための各種指針が盛り込まれています。さらに政府のIT新改革戦略にも、2010年までに誰もが安心して生活できるユニバーサル化されたIT社会の構築を目指し、ユニバーサルデザインに配慮した機器の導入や開発を促進していくことが明記されております。
カラーユニバーサルデザインの重要性が高まる中で、当社は、バリアフリーについての研究を進めていた石川県工業試験場 前川満良研究員とNPO法人 カラーユニバーサルデザイン機構CUDOの協力の元、色弱者の被験者テストを重ね、見分けにくい色の検出精度を上げ、製品化を実現しました。
3.製品特長
● 当社独自技術による色覚シミュレーション機能
通常表示のオリジナルモード、代表的な色弱者(P型/D型)の見分けにくい色を表示する、P型モード、D型モードの3つのモードを搭載。
画面上に表示される右記アイコンをクリックするだけで、各モードをリアルタイムに切り替えてシミュレーション表示することができます。
この色覚シミュレーション機能には、当社の3つの技術が使われています。
・モニター内部の、自社開発のモニター用画像処理ASIC
・ASICにセットする色弱者用パラメータを作成し、それをUSB経由でモニターへ送りこむ機能を持ったアプリケーションソフトウェア「UniColor Pro」
・モニターに組み込まれた通信用ソフトウェア
● ハードウェアリアルタイム色変換により作業効率が向上
一般的なソフトウェアでは1度の色変換に数秒~10秒程かかるため、実現できなかった動画への対応やリアルタイムでの画像確認と動画への対応が可能になり、大幅に作業効率をアップします。
● 低色度変位タイプのIPSパネルの採用による、優れた色再現性
● 画面の明るさを自動的に一定に保つ、調光機能搭載
● 安心の5年間製品保証
【 参考:用語解説 】
● カラーユニバーサルデザインとその対象者
人間の色の感じ方は一様ではなく、遺伝子のタイプの違いやさまざまな目の疾患によって色の見え方が一般の人と異なる人が、多く存在します。この中で、いわゆる色弱者(色覚異常・色盲・弱・色覚障害・色覚特性とも称されます)は、日本では男性の20人に1人、女性の500人に1人と言われ、日本全体では300万人以上いるとされています。世界では2億人を超え、血液型がAB型の男性の比率に匹敵します。これらの人たちは、視力(目の分解能)は普通と変わらず細かいものまで十分見えますが、一部の色の組み合わせについて、一般色覚者と見え方が異なります。このため、色の使い方や明度差などに配慮が必要になります。こうした多様な色覚を持つさまざまな人に配慮して、全ての人に情報が正確に伝わるように利用者側の視点に立ってつくられた配色のデザインをカラーユニバーサルデザインと言います。
● カラーユニバーサルデザインが有効な事例
病院、役所などの公共施設における案内表示や警告表示、駅や空港の路線図表示、新聞・雑誌・操作マニュアル・自治体や企業の広報パンフレット・ホームページにおける文字の色合いや説明図の配色、パソコンソフトの各種画面の表示など。
● CUDOとCUDマーク
カラーユニバーサルデザインマーク(CUDマーク:右図)とは、カラーユニバーサルデザインのモニター・検証事業を行う、特定非営利活動法人Color Universal Design Organization(カラーユニバーサルデザイン機構、CUDO)による検証の結果、カラーユニバーサルデザインを満足していると認められた場合、その印として発行される認証です。CUDOとCUDマークについての詳細は、下記ウェブサイトをご覧ください。
http://www.cudo.jp/
(※ 詳細は添付資料「オリジナルリリース」を参照してください。)
* FlexScan、EIZOは株式会社ナナオの登録商標です。その他記載されている会社名および商品名は、各社の商標または登録商標です。外観および仕様は改善のため予告なく変更することがあります。Copyright (c) 2006 株式会社ナナオ All rights reserved.
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