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ニュースリリースのリリースコンテナ第一倉庫

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2025'03.06.Thu
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2007'03.11.Sun

産総研、最新の画像センシング技術を用いたインテリジェント電動車いすを開発

■全方向ステレオカメラを搭載したインテリジェント電動車いす

-安心・安全な電動車いすの実現-


●ポイント
・死角の無い全方向の3次元情報をリアルタイム取得するインテリジェント電動車いすを開発。 
・全方向にわたって衝突防止や段差の確認を同時におこなう。 
・搭乗者のジェスチャーや乗車姿勢の異常を検出して緊急停止し、外部に通知する。 


概要

 独立行政法人 産業技術総合研究所【理事長 吉川 弘之】(以下「産総研」という)情報技術研究部門 坂上 勝彦 部門長および同部門ユビキタスビジョン研究班【班長 依田 育士】佐藤 雄隆 研究員は、厚生労働省 国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所(以下「国リハ研」という)の協力を得て、最新の画像センシング技術を用いたインテリジェント電動車いすを開発した。

 自動車においては、追突の危険性を事前に予測して自動的にブレーキをかけたり、自動的に前走車に追従するなどのインテリジェントシステムが既に開発され、実用化されている。このような機能は障害者や高齢者がユーザーとなる電動車いすにおいても重要であるが、道路を走行する自動車と異なり電動車いすは人混みなどを含む様々な生活空間での共存が前提となるため、その実現のためには次世代のセンシング技術を用いる必要があった。

 そこで、360度全く死角の無い全方向のカラー動画像と物体までの距離の情報(3次元情報)を、同時かつリアルタイムに取得する能力を持つ「全方向ステレオシステム」を電動車いすに搭載し(1)走行環境における危険検出(2)ユーザーを見守る機能など、ユーザーを支援するための様々な機能を持つインテリジェント電動車いすを開発した。

 なお、本技術については、2006年9月27~29日に東京ビッグサイトで開催される第33回国際福祉機器展(H.C.R.2006)の国リハ研ブースで展示・発表する予定である。


写真:インテリジェント電動車いす(左)と全方向ステレオカメラ(右)
 ※添付資料参照 


開発の社会的背景

 障害者や高齢者のQOL向上のための技術開発は社会的に重要な課題であり、まさに最先端のIT技術の活用が望まれる分野である。近年電動車いすの普及により、従来は外出が困難であった障害者でも、外出できるようになりつつある。しかし一方で、衝突・転倒や移動中突然の体調不良などの事故も増加しており、走行環境における様々の危険を検出し安全な走行を確保する機能とユーザーの意図や異常を機械がキャッチする「ユーザーを見守る」ための機能の実現が望まれている。


研究の経緯

 本研究は産総研と国リハ研などが中核機関となって推進している独立行政法人 科学技術振興機構(以下「JST」という)の科学技術振興調整費「障害者の安全で快適な生活の支援技術の開発」(2004年度~3年間)の一部であり、技術のみ先行するのではなく、ユーザーに関する深い知識を持つ国リハ研とのディスカッションを生かしながら開発が進められている。

 なお、全方向ステレオシステムは、JSTの岐阜県地域結集型共同研究事業(産総研 佐藤 雄隆 研究員が前職で参加)で世界に先駆けて開発されたカメラシステムで、今回のプロジェクトにおいてその先端的成果の障害者支援への応用に関する研究が行われた。


研究の内容

※添付資料参照


今後の予定

 今後は、実走行実験を重ね、走行環境危険検出機能の高度化を進める。また、今回開発した試作機は全方向のカラー動画を無線LANで外部に配信する機能を持つが、今後は携帯電話回線で配信する実験を行い「遠隔支援」機能の可能性について検討を行う予定である。


用語の説明

◆画像センシング技術
 画像データを画像処理技術によって処理し、情報を取り出す技術。人間の「視覚」に相当する機能を機械で実現する。

◆インテリジェント
 単純な機械的動作だけでなく情報処理機能を持った状態。

◆全方向ステレオシステム
 周囲方向だけでなく天地方向も含めた完全に全方向のカラー動画像と距離情報(3次元情報)を同時且つリアルタイムに取得する能力を持つカメラシステム。JSTの岐阜県地域結集型共同研究事業(産総研 佐藤 雄隆 研究員が前職で参加)で世界に先駆けて開発され、今回のプロジェクトにおいてその先端的成果の障害者支援への応用に関する研究が行われた。

◆QOL
 生活の質。有意義に快適に生活するために生活の質の向上が必要とされる。

◆パノラマ画像
 一目で広い範囲を見渡すことが出来る画像。

◆ジェスチャー認識
 画像処理技術などを用いてコンピュータが人間の身振りや手振りなどの動作を認識する技術。

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