大日本コンサルタント、高精度浅部地下探査システムの開発に成功
高精度浅部地下探査システムの開発に成功
当社は京都大学と共同で、平成15年3月から3ヶ年に渡って行ってきた、高精度浅部地下探査システムの開発に成功しました。これは独立行政法人科学技術振興機構の独創的シーズ展開事業委託開発の適用を受けた開発となります。
現在、地下を掘らずに非破壊で探査するには、弾性波探査、電気探査など様々な方法がありますが、測定点ごとに機器をセットする必要があるため、連続測定ができず非常に手間がかかっていました。また、これらは一つの物性だけを測定する方法のため、探査対象によっては不得意とする場合があるうえ、地表から浅い地点の分解能は必ずしも十分ではありません。
一方、近年、道路防災や河川防災の観点から、道路のり面や河川堤防等の内部構造調査、さらには工場跡地等の土壌汚染調査の必要性が増しています。
今回開発した高精度浅部地下探査システムは、電磁波の伝搬定数を構成する誘電率、透磁率、導電率の3物性を3つのセンサで同時かつ連続的に測定し、地下浅部の多種多様な構造に対応する3物性の3次元分布を決定するシステムです。各センサは従来品を超える性能を有するものとするため、以下を始めとする様々な工夫を行い、地表から浅い地点の分解能を上げ、人がゆっくり歩く程度のスピードで連続的に測定できるシステムとしました。
システムの概観(*添付資料参照)
1)地中レーダ:誘電率測定
2組の直交する送受信アンテナを用いることにより、測定方向に依存しない測定を可能としました。
2)電磁誘導測定装置:比抵抗(導電率の逆数)測定
高速度電流遮断、高速度サンプリングを実現することにより、花崗岩のような硬岩の2,000Ωm程度の高比抵抗地盤でも測定可能となり、ほとんどの地質に対応できるようにしました。
3)磁力計:透磁率測定
上下50cm離れた2箇所で直交する3方向の地磁気強度を測定し、その差分を用いることにより磁気異常体の探知能力の向上を図りました。
これにより、従来の探査技術では探知困難とされてきたもの、例えば空洞やプラスチック埋設物等の探知が可能になるとともに、経済的にも他の探査手法より安価になります。なお、探査深度は地中レーダおよび磁力計で2~5m程度、電磁誘導測定で10~20m程度となります。
適用市場は道路、トンネル、河川堤防の空洞・亀裂・土質調査、土壌汚染調査、埋設物調査、遺跡調査などがあります。それぞれの分野に対してフィールドテストを重ねて、早期に実業務への展開を図っていくつもりです。
以上
※添付資料あり