アナログ・デバイセズ、医療用・産業用電子機器向けに最新PulSAR ADCを発売
アナログ・デバイセズ、医療用および産業用電子機器向けに
画期的な携帯性と性能を提供するPulSAR(R) ADC「AD7980」を発表
ワイヤレス患者監視装置、高速高精度の試験およびデータ・アクイジション機器向け
競合ADCよりもコンバージョン当たり80%も省スペース、低消費電力を実現
アナログ・デバイセズ社(ニューヨーク証券取引所:ADI)は、同社の最新の高精度PulSAR(R) A/Dコンバータ(ADC)の最新製品となる1-MSPS(百万サンプル/秒)16ビットADC「AD7980」を発表しました。AD7980は、医療用および産業用電子機器向けで消費電力の大幅な低減を実現したことが特長です。AD7980は、患者監視装置や産業用監視装置の携帯性と、自動試験装置(ATE)やデータ・アクイジション・システムの性能とスループットを向上するように設計されており、このクラスの最も近い16ビットADCの競合製品に比べても、80%も低消費電力で省ボード・スペースになっています。
アナログ・デバイセズ社高精度信号処理担当ヴァイス・プレジデント、ディック・ミーニー(Dick Meaney) は、次のように述べています。
「消費電力は、データ・コンバータ性能の評価基準の中でもADIが特に注力している性能です。AD7980は、コンバージョン当たり1/5という低消費電力と卓越したACとDCリニアリティ性能をあわせて提供するため、多種多様なアプリケーションにおいてエンド・ユーザにもわかる際だったメリットを提供します」
■患者の快適性の増大
小型パッケージ・サイズと低消費電力化を特長とするAD7980は、軽量のウェアラブル心電計(EKG)、血圧監視装置、酸素センサーなどで得られた患者の情報を、データ・センターやナース・ステーションにワイヤレス送信する医療用計測機の設計に適しています。携帯性に優れており、患者はPDAサイズの監視装置を着用できるようになります。病院内を移動する際にも大きな医療用機器を引いていく必要がなく、患者の快適性が増します。
■産業用計測機器の高速化と高精度化
産業用機器においては、AD7980の高速サンプリング・レートと低消費電力によって、設計者は重要な部品を密接して配置することが可能となり、システムの性能とスピードの改善がはかれます。たとえば、今日のATEシステムでは、各半導体ウェハーのテスト用に何百という測定ピンが用いられています。さらに、コストのかかるテスト時間を短縮するためには、各ピンに個別のADCが必要となります。測定ピンを測定器に接続するためには、ワイヤ、スイッチ、そしてマルチプレクサが用いられますが、その反面コストもかさみ、測定誤差のリスクが増え、システムの応答速度が遅くなります。さらに、熱放散も非常に大きくなるため、データ・コンバージョンはテスト・ヘッドから別のメインフレームに移さなければならないのが現状です。AD7980は、既存のADCに比べて、画期的な低消費電力を実現するため、設計者はこの新しいデバイスを各測定ピンに隣接して配置することができるようになり、設計の簡素化と、全体的な精度とスループットの増加が可能となります。このメリットにより、これまでATEシステム・ユーザにとって、コスト面での主要な課題であったテスト時間の短縮が実現できます。
■センサー性能の改善
競合デバイスと異なり、AD7980は消費電力とサイズの双方の点で優れているため、設計者はこの新しいADCとデジタル・インターフェースを、アナログ・センサー・パッケージ内に組み込めるようになります。革新的なこの高集積「スマート・センサー」により、信号ケーブルを用いてADCをセンサーから物理的に離した時に生じる寄生効果、信号伝達誤差、および応答速度の遅延がなくなります。産業用センシング・アプリケーションにおいては、機器のオペレータはシステムの作動を劣化させる可能性がある振動、圧力、および温度の変化を容易に、そして正確に測定することができるようになります。
ナショナル・インスツルメンツ社のプリンシパル・ハードウェア・エンジニアKurt Mandeville氏は次のように述べています。「ナショナル・インスツルメンツでは、ADIのPulSARコンバータを、当社の測定および産業用I/Oの主要製品の数種に用いています。AD7980の投入により、PulSARアーキテクチャが従来からもつ性能を維持しながら、新しいレベルの高速、低消費電力、および小型サイズの組み合せの提供へとさらなる性能向上へのロードマップを提供してくれるものと期待しています」
■AD7980 1-MSPS 16ビットPulSAR ADCについて
PulSAR ADCのAD7980は、1 MSPSで7.5 mW、10 kSPSで75 μWの消費電力を特長としており、あらゆるサンプル・レートにおいて既存の16ビットADCの中で最も低消費電力となっています。その他にも、20 kHzにおいて、INLが最大2 LSB、S/N比が91.5 dBという性能強化もされています。AD7980は、LFCSP/QFN(リード・フレーム・チップ・スケール・パッケージ/クワド・フラット・ノーリード)およびMSOP(ミニ・スモール・アウトライン・プラスチック)パッケージで提供しており、それぞれ、競合ADCパッケージと比べても、1/5および1/3ほど小型サイズになっています。AD7980は、サンプル・レートを1 MSPSにアップグレードしようとしている設計者用に、16ビットPulSAR ADCのMSOPファミリ「AD768x」とピン互換になっており、また、ドライバ&バッファ・オペアンプである「ADA4841」電圧リファレンスの「ADR42x」、「ADR43x」、「ADR44x」は最適の組み合わせです。
■価格と供給について
AD7980 1-MSPS 16ビットPulSAR ADCは、現在、10ピンMSOPおよびLFCSPパッケージで供給しており、量産出荷は2007年第2四半期の予定です。AD7980の単価は、1,000個受注時で19.50ドルです。(米国における参考価格です)
詳細情報に関しては、ウェブサイトhttp://www.analog.com/pr/AD7980をご覧下さい。
■医療用、産業用分野におけるアナログ・デバイセズについて
ADIは、40年間にわたり医療用、および産業用アプリケーション向けに最適化された完全なシグナル・チェーン・ソリューションの定義、開発、提供に産業用機器製造業界の顧客と協力して取り組んできました。産業用分野向け製品の長期間にわたる製品ライフサイクルをサポートするADIの伝統は、同社の知識・経験が豊富な営業部隊、技術に良く精通したフィールド・アプリケーション・エンジニア、および評価ボードやSPICEモデルを含む高度な設計サポートツールによって、さらに強化されています。
■アナログ・デバイセズについて
アナログ・デバイセズ(ADI)は、半導体市場において40年という長い間成長を続けてきましたが、その成長を支えてきたのが技術革新、高性能、および卓越した技術力を受け継いできた企業文化です。ADIは、データ・コンバージョンおよびシグナル・コンディショニング技術の世界的リーディング企業として、業界で高い評価を得ており、実質的にあらゆる種類の電子機器分野を網羅する世界各国の60,000社以上の顧客にサービスを提供しています。アナログおよびデジタル信号処理アプリケーションに用いられる高性能集積回路の世界的なリーディング・メーカーとして、40年以上の歴史を誇るADIは、本社をマサチューセッツ州ノーウッドに構え、従業員数は8,900名です。マサチューセッツ州、カリフォルニア州、ノース・キャロライナ州やアイルランド、フィリピンに製造拠点があります。
アナログ・デバイセズの普通株はニューヨーク証券取引所に上場しており、ADIはS&P 500インデックスに挙げられています。
http://www.analog.com
※PulSARはアナログ・デバイセズ社の登録商標です。
【 製品に関する読者からのお問い合わせ先 】
アナログ・デバイセズ株式会社
techsupport.japan@analog.com