日本ペイントとヒロセ電機、光インターコネクション用多チャンネルコネクタの開発・事業化で合意
ヒロセ電機と日本ペイント
光インターコネクション用多チャンネルコネクタの開発と事業化を行うことで合意
ヒロセ電機株式会社(本社:東京都品川区、社長:中村 達朗)と日本ペイント株式会社(本社:大阪市、社長:松浦 誠)は、ヒロセ電機の持つコネクタ開発技術と日本ペイントが持つ光学材料「グラシア」※注1の技術を融合させ、光インターコネクション用多チャネルコネクタ(1チャネル当り10Gbpsの伝送能力)の開発・事業化を共同で行うことで合意しました。
※注1「グラシア」に関する詳しい説明に関しましては、日本ペイントのホームページをご参照下さい。
http://www.nipponpaint.co.jp/r&d/tc19/k4.pdf
<光インターコネクション技術とは>
光インターコネクション技術はマイクロプロセッサーの高性能化に伴いその処理能力を生かす技術として現在各方面で期待されている新しい技術です。
近年、光ファイバーに代表される高速情報通信インフラの整備が家庭やオフィスまで急速に広まり、大容量のデータ伝送を取り扱う環境ができてきました。それに伴い、大容量のデータ演算、蓄積、表示を行うデジタル関連機器が急速に発展してきており、その中心となるLSIなどの半導体デバイスの高速化・高密度化が精力的に検討されてきました。
これまでは半導体の微細加工をさらに極小化することでクロック周波数を上げ、処理能力を上げることが開発の中心でしたが、発熱や消費電力の問題でこれからはプロセッサー内のコアをマルチ化することで処理能力を上げる技術が主流となりつつあります。このようにマイクロプロセッサーは今後も処理能力が向上しますが、メモリーやバスのインターフェースでの処理能力の限界が見えてきており、特にマイクロプロセッサーを搭載したバスシステムは電気伝送の場合5Gbpsが限界とされるために、2008年度以降は光バスシステムの導入が必須となります。(資料1参照)
このように処理能力の面で光部品の導入が進むことは明らかです。現在の光インターコネクション技術の市場は、多チャネル化とレーザーダイオードやフォトダイオードの実装性(電気レベルの実装が可能なこと)を要求しています。
<光インターコネクション技術の用途>
(1)伝送容量の飛躍的拡大と省電力化を要求する市場
※ハイエンドサーバー、ハイエンドルーター市場
(2)小型化、省電力化、ノイズ対策を必要とする市場
※携帯電話、電子写真、デジタル家電など
(1)の市場のハイエンド商品から光インターコネクション技術が導入されると見られましたが、現在は (2) のコンシューマー商品での導入の検討が加速してきています。特に携帯電話市場で高周波化に伴うノイズ対策として、積極的な検討が行われている模様です。(資料2参照)
ヒロセ電機はコネクタ専業メーカーとして、特に携帯電話向けコネクタでは高いシェアを誇っています。5万数千種にもおよぶ製品開発を手がけ、技術者も得意先エンジニアのもとに積極的に足を運ぶ「マーケティングと技術革新」という技術開発指針で、常に商品全体の30%を新製品として生まれ変わらせ、付加価値の高い製品を市場に送り続けています。
一方、日本ペイントは塗料メーカーとしての重合技術・配合技術を生かして、新材料の開発に取り組み、独自のフォトブリーチング法※注2による光導波路作製方法を開発しました。ここで使われる日本ペイント開発のポリシラン系の材料「グラシア」は、平滑な導波路形成が可能で、接着剤レスによる貼り合わせ可能という特長を持っており、これらを利用して三次元の多チャネル構造の積層導波路が可能となりました。
※注2フォトブリーチング法=UV露光により屈折率を低下させる方法です。
ヒロセ電機および日本ペイントは相互の持つこれらの技術を活用・協力して光インターコネクション用の多チャネルコネクタを開発・事業化し、2010年には同コネクタの売上を10億円~30億円と見込んだ事業化を計画しています。
なお、今回の開発技術に関しては2006年10月1日~4日にアメリカ、ボストン市で開催の米国「SPIE(国際光工学会)・OpticEast」において共同で発表いたしました。
今後、新たな展開につきましては逐次お知らせする予定にしております。
ヒロセ電機株式会社のウェブサイト
http://www.hirose.co.jp/
