マンダム、多様な肌状態に対応できるデオドラント処方を開発
マンダムが業界で初めて実証
2種の殺菌成分[塩化リゾチーム](酵素)と[イソプロピルメチルフェノール]の併用で
多様な肌状態に対応できるデオドラント処方を開発
株式会社マンダム(本社:大阪市社長執行役員:西村元延以下マンダム)は、殺菌成分である溶菌酵素、塩化リゾチームとイソプロピルメチルフェノール(以下IPMP)の併用技術により、優れたデオドラント効果を発揮することを実証しましたのでお知らせいたします。
なお、この研究成果について10月14日に開催される「日本防菌防黴学会2006年度若手の会(近畿大学農学部)」において発表を予定しています。
<臭いの発生メカニズムと殺菌効果>
腋臭や汗の嫌な臭いは、汗や皮脂、皮膚についた汚れなどが微生物により分解され、悪臭物質を産生することにより発生します。このような臭いを防止する方法の一つとして、微生物の働きを抑えるために殺菌成分を配合したデオドラント剤を使用することが一般的です。しかし、汗や皮脂の分泌は一様ではなく気温の上昇や運動、湿度などの環境に大きく左右され、皮膚上の汗(水分)や皮脂(油分)の量はそれに伴い大きく変化します。そこで、マンダムでは2004 年にトリクロサンとIPMP の2 種類の殺菌剤を用いることにより、様々な肌の状態において高いデオドラント効果を得られることを実証し、日本で初めて商品化しました。
(2004年防菌防黴学会秋季合同シンポジウムにて発表、2005年2月ギャツビーダブルシステムシリーズ発売)
マンダムではさらに、変化する肌状態において殺菌効果を十分に発揮し、臭いを抑えるデオドラント剤の開発に取り組み殺菌効果について研究を進めてきました。
その結果、塩化リゾチーム(酵素)とIPMP(殺菌剤)の組み合わせにより、トリクロサンとIPMPの組み合わせを上回る高い殺菌効果を実証しました。
<塩化リゾチームとIPMPの併用することによるデオドラント効果の発見>
(1) 塩化リゾチームとは
塩化リゾチームは生体成分の一つである酵素の一種であり、古くから殺菌剤として知られてきました。特に、カゼの菌を殺菌するために、カゼ薬などに配合されています。塩化リゾチームの殺菌効果は微生物の細胞壁(膜)を破壊する『溶菌効果』であることが報告されており、IPMPの殺菌効果とは異なります。
また、塩化リゾチームは水溶性が非常に高いなど、従来デオドラントに使用されている殺菌剤とは性質が違っています。
(2) 塩化リゾチームとIPMPの併用効果について
塩化リゾチームをIPMP と併用したところ、通常の肌状態を想定した条件と、皮脂が多く分泌された条件で優れた殺菌効果を示すことが明らかとなりました。<表1>
殺菌効果の比較は最小殺菌濃度(MBC)で比較しました。MBCは微生物を殺菌させるために最低限必要な殺菌剤の量を表すもので、値が小さいほど効果的です。塩化リゾチームは単独で使用するとMBCが5000μg/mL以上であり、IPMPと比較して殺菌力が弱く、デオドラントとしての効果性は低くなります。
IPMP単独の場合は皮脂成分がない場合は150μg/mLですが皮脂成分の添加によりMBCが270μg/mLとなり、効果性が約半分に落ちます。一方、塩化リゾチームとIPMPの併用の場合は皮脂成分による影響は小さく、皮脂成分なしの状態で70μg/mL、皮脂成分を添加した場合でも54μg/mLとなり、皮脂成分の有無に関わらず優れた効果性を発揮することが明らかとなりました。
以上のことから、IPMPと塩化リゾチームの併用は、汗(水分)が多い肌状態や皮脂が多い肌状態など様々な肌状態でも優れたデオドラント効果を発揮することが考えられます。
なお、この技術に関しましては関連特許を出願済みです。
マンダムではこれらの技術を応用したデオドラント製品の開発を進めていきます。
以上