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ニュースリリースのリリースコンテナ第一倉庫

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2024'11.29.Fri
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2007'04.13.Fri

富士通と富士通研究所、熱アシスト磁気記録のヘッド向け積層型光素子を開発

熱アシスト磁気記録HDDヘッド用の光素子の開発に成功


 富士通株式会社と株式会社富士通研究所(注1)は、次世代の大容量ハードディスクドライブ(以下、HDD)を支える技術として有望視されている熱アシスト磁気記録(注2)のヘッドに用いるための、微細な光スポットを発生する積層型の光素子を開発し、世界初の100ナノメートル(以下、nm)を下まわる光スポット径が得られることを確認しました。今回開発した技術により、HDDのさらなる大容量化が可能となります。

 本技術の詳細は10月15日から19日まで香川県高松市のサンポート高松で開催されている国際会議ISOM2006(International Symposium on Optical Memory)にて発表します。なお、本研究は、平成14年度に経済産業省から(財)光産業技術振興協会が受託したプロジェクト「大容量光ストレージ技術の開発事業」(平成15年度から独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクト)の一環として行われました。


【 開発の背景 】
 デジタルコンテンツの増加にともない、パソコンや家電市場においても年々HDDの大容量化が求められています。HDDの記録方式として、垂直磁気記録方式(注3)の開発が行われていますが、さらに1平方インチあたり1テラビット以上の記録密度の実現に向けて、磁気記録と、光による熱記録を併用した熱アシスト磁気記録の研究開発が活発化しています。このためには、データの書き込み時に、HDDの記録媒体上の微細な領域に効率的にスポット状の光(熱)を加えることのできる素子が必要になります。

【 課題 】
 この目的の光素子の実現には、各種の方式が提案されていますが、この光素子を、HDD記録・再生ヘッドと一体化する必要があります。低コスト化を考えると、通常のHDD記録・再生ヘッドの作製で用いられるような、ウェーハ基板に薄膜を形成することで素子を積み上げて、大量に作製する技術と同じプロセスで、光素子も作ることが望まれています。しかし、従来の薄膜で作製した光素子では、ビームが十分に絞れないことや、ビームの形状が歪みを持つなどの問題があり、高い光利用効率を持った100nm以下のスポット径は得られていませんでした。

【 開発した技術 】
 今回、HDDヘッドと同様な薄膜形成プロセスで、17パーセントという高い光利用効率をもち、88nm x 60nmと微細なビーム径を有する光素子を実現しました(図1)。
 光学の薄膜で、微細な光スポットを発生させるために、光透過層を、複数の層ではさんだ積層型の光素子を考案しました。
 光透過層は、ある条件で光を通すようにした薄膜で、可能な限り薄くし、高効率に光を通せる材料(Ta2O5 :酸化タンタル)を組み合わせました。入射光を薄膜で絞るため、簡単でスポット径の制御も容易な構造です。さらに外側の層や横方向に入射した光を、光透過層に集めるような構造を薄膜の積層構造で実現し、光の強度を強くしました。
 このような構造の光素子を実現するにあたり、設計時点で厳密な電磁界計算を行い、最適な構造を設計しました。ここでは、FDTDシミュレーター「Poynting for Optics」(注4)を使用しました。

●図1 開発した光素子の構造 
 (※ 関連資料を参照してください。)

【 効果 】
 今回作製した光素子に波長400nmの光を入射し、光スポットを測定した結果、88nm x 60nm(半値全幅)(注5)という微細なスポットが得られたことを確認しました(図2)。積層型で、100nmを下回る光スポットは世界で初です。今回開発した技術により、熱アシスト磁気記録用HDDヘッドに適した光素子が可能となりました。

●図2 今回得られた光スポット 
 (※ 関連資料を参照してください。)

【 今後 】
 今後、この光素子を、記録用、再生用HDD ヘッドと一体化し、2012年頃の実用化(製品化)を目指します。また、大容量化に向けたさらなる光スポットの微細化や、他分野への応用を進めていきます。 


以上

[ 注釈 ]
注1 株式会社富士通研究所:
 代表取締役社長 村野和雄、本社 神奈川県川崎市。 

注2 熱アシスト磁気記録:
 熱揺らぎ対策のために保磁力を高めた媒体を、記録時に加熱し、保磁力を下げ、高密度な磁気記録を行う方式。 

注3 垂直磁気記録方式:
 磁界が、磁気記録面に対して、垂直に向くように磁性体を配置する方式。 

注4 FDTDシミュレーター「Poynting for Optics」:
 FDTD( Finite Difference Time Domain, 時間領域差分法) 2003年に富士通が発表。ナノサイズの物体内での光の伝播をシミュレートできる技術。
 汎用3次元電磁波解析ソフトウェア Poynting ( http://jp.fujitsu.com/solutions/plm/analysis/poynting/ )

注5 半値全幅:
 強度が半分になるときの、光ビームの幅。 
 

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